解剖実習というよりも『手術シミュレーショントレーニング』
[ 2014/1/6 ]
第14回JAAS美容外科解剖・執刀トレーニング終わる
JAAS日本アンチエイジング外科・美容再生研究会による第14回美容外科解剖・執刀トレーニング(Fresh Cadaver Dissection Workshop for Cosmetic Plastic Surgeons in China)が成功裏に終了した。
JAASが過去十数回にわたって実施してきた提携拠点・中国大連HoffenBio解剖施設(大連大医学部の提携)から提供された寄贈検体(FreshCadaver)は、JAASからの強い要望もあり、今回もその保存状態は際立っていた。特殊処理で保存された検体の良さや、同じアジア人の解剖検体を使い短い渡航日数で時間・研修コストも節約できることから、参加者からは高い評価を得た。そして何よりも治療・執刀トレーニングの手順において、指導医の山本 豊医師、中間 健医師2人が丁寧できめ細かい教え方と「料理教室」さながらの研修スタイルを貫いていることに讃嘆の声があがる。現実の患者を触ることなくして手術習得はない、手術を体験せずして前進はない。JAASの解剖実習シリーズでとくに大事にしていることである。しかし、現実的には患者に対して実習のように試すことはできない。臨床に携わる医師のこんなジレンマから生まれたのが、本シリーズだ。
今回も講習スタイルは、さながら「料理教室」のようで、寄贈されたご遺体に対して参加者が講師と同時進行で手術を実体験していく。解剖組織の観察に始まり、それぞれの治療部位ごとに、多彩な執刀手技を学んでいくスタイルは、他の解剖研修では決して真似ることはできない。講師の指導医が実演後、同じことをすぐ執刀・施術してやってもらい、問題があればその場で解決する。ある意味、解剖実習というよりも『手術シミュレーショントレーニング』という方が的を得ているかもしれない。
JAASでは2014年更なる内容の充実と進化させたトレーニングの進行を図るとして、11月28日(金)‐30日(日)の日程で第15回の開催を決定した(詳細は11面または差込チラシを参照)。多くの医師の参加をお待ちしている。
過去最多30名を山本医師、中間医師が指導
「美容の手術の80%はデザインで決まる」と、山本美容整形塾の塾長であり、解剖・執刀シリーズの主任講師を務める山本医師は力説する。
しかしこのデザインさえも、実際に検証するという機会には、なかなか恵まれないというのが現状だ。このデザインから始まり手術の実際を検証することに欠かせないのが、さながら生きているかのような寄贈されたご遺体である。このご遺体こそ主催側が最も苦労する問題だが、JAASが十数回にわたり実習を行い多くの医師や歯科医をミッション団として送ってきた経験と信頼から、解剖施設Hoffen側も最高の状態の検体を提供し続ける。現在、Hoffenと提携する日本の窓口はJAASであることはいうまでもない。
反面、費用と渡航日数がかかるハワイ、グアムなどに解剖実習を行うケースもあるが、コストがかかる割にはその検体の状態は最良とはいえない。寄贈される検体もアジア人とは違う顔面骨格をもつご遺体であるため、日本の医師が研修をするには不向きであることは否めない。
さらに、ともすると実習のやり方が講師の独りよがりになってしまい、とりわけ初級者にとってトレーニングが「消化不良」になってしまうミッションも少なくない。その点JAAS側では、指導医の丁寧できめ細かい教え方と「料理教室」さながらの研修スタイルを貫いていることが最大の特長であることは前述のとおりだ。
こんなJAASならではの解剖・執刀トレーニングとして今年も第14回を数え、参加した医師らはこの実習コースで大いなる財産を築き上げたことは疑いはない。
神経走行・血管の位置関係の確認だけでなく実際の手術での局所解剖や合併症引き起こす神経の位置関係も研修
「通常の解剖実習では神経走行や血管の位置関係等を確認することが目的だ。しかし、実際の手術に必要なのは、術野であり、局所解剖である。また、手術で合併症を引き起こす神経の位置には習熟する必要性もある」と、前夜の講義で山本医師は強調した。
その山本医師の趣旨を実効に移すべく、翌日の解剖・執刀トレーニングが行われる。
目的異なる実習班2班編成
(第1G)山本講師と同時進行で解剖、執刀
(第2G)フィラー注入、二重埋没と基礎解剖習熟
今回の講習スタイルは、昨年のスタイルを引き継ぎつつも、目的の異なる受講者のニーズに応えるべくグループ分けを行うことから始まった。まず、目的によって大きな2つのグループに分かれてもらうこととした。1つ目のグループは、講師が実演後、同じことをすぐに真似してやってもらう、問題があればその場で解決という昨年のやり方に準じて進行するグループだ。第2グループは、フィラー注入等に必要な解剖を学び、実際にフィラーを注入するというグループである。
参加者が過去最多の28名、総勢30名という大人数であったこともあり、指導にあたる講師は山本医師と中間医師の2人体制で行うことになった。
山本班は
眼瞼手術デザイン、上眼窩脂肪の同定方法、切開重瞼術の実際、眼瞼下垂手術、眉毛下切開術、経結膜脱脂のデザインや方法、ピットホールと言われる下斜筋の同定、経皮下眼瞼形成術のデザイン、下眼窩神経の同定、目頭切開のデザインと執刀、目尻切開術、鼻尖軟骨縫縮術の実演と執刀、鼻翼形成術のデザインと執刀
また当日の実習内容は、前日講義の中での話し合いで決まった。もちろん骨格的な内容は、本年度の講習会内容に基づいているが、参加医師のリクエストにも最大公約数的に応えるというのが狙いである。こうした流れの中で、実習内容として決定したのは、上眼瞼手術デザイン、上眼窩脂肪の同定方法、切開重瞼術の実際、眼瞼下垂手術の実際、眉毛下切開術の実際、経結膜脱脂のデザインや方法、ピットホールと言われる下斜筋の同定、経皮下眼瞼形成術のデザイン、下眼窩神経の同定、目頭切開のデザインとその実際、目尻切開とその実際、鼻尖軟骨縫縮術の実演とその実際、鼻翼形成術のデザインとその実際であった。
当日は、こうした流れの中で、ご遺体に対する手術手技を体験してもらう部分が多く、手術に対する質問が相次いだのもこの実習の特長であろう。
想定外の実習で人中短縮術(上口唇短縮術)も
また、これに人中短縮術(上口唇短縮術)が加えられた。さらに、昨年参加された医師や、目的が局所的な先生には自由実習を中心に行ってもらい、順次質問に対応していくという形式で進行していった。
鼻シリコン挿入術、鼻中隔延長術、耳介軟骨摘出術、スレッドリフト術を実際に体験されているドクターや、顔面神経の同定をされている先生、上眼窩神経の同定をされている先生など様々であった。実習中には、山本医師が多岐にわたる各々の質問に答えながら巡回していた。
このように終始『実際の手術では何が必要か』ということにポイントがおかれ、解剖実習というよりもさながら『手術シミュレーショントレーニング』という方が的を得ている感じの講習会となった。
『盛りだくさんな一日でした』と異口同音に聞かれ、主催者冥利に尽きるコメントをもらったり、初参加の医師らからは、『これだけ手術に即し、また手術内容や手技も一緒に教えていただける機会はありません。来年もぜひまた来たい』とする熱のこもったコメントも飛び出し、2人の指導医は
また決意新たにしていた。
前夜の夕食会そして、恒例となった打ち上げを兼ねた晩餐会では、初対面の医師同士が名刺交換しながら親睦を深めていたのが印象的であった。
JAASでは2014年更なる内容の充実と進化させたトレーニングの進行を図るとして、11月28日(金)‐30日(日)の日程で第15回の開催を決定した(差込チラシに申込書)。多くの医師の参加をお待ちしている。
(JHM115号より)
JAAS日本アンチエイジング外科・美容再生研究会による第14回美容外科解剖・執刀トレーニング(Fresh Cadaver Dissection Workshop for Cosmetic Plastic Surgeons in China)が成功裏に終了した。
JAASが過去十数回にわたって実施してきた提携拠点・中国大連HoffenBio解剖施設(大連大医学部の提携)から提供された寄贈検体(FreshCadaver)は、JAASからの強い要望もあり、今回もその保存状態は際立っていた。特殊処理で保存された検体の良さや、同じアジア人の解剖検体を使い短い渡航日数で時間・研修コストも節約できることから、参加者からは高い評価を得た。そして何よりも治療・執刀トレーニングの手順において、指導医の山本 豊医師、中間 健医師2人が丁寧できめ細かい教え方と「料理教室」さながらの研修スタイルを貫いていることに讃嘆の声があがる。現実の患者を触ることなくして手術習得はない、手術を体験せずして前進はない。JAASの解剖実習シリーズでとくに大事にしていることである。しかし、現実的には患者に対して実習のように試すことはできない。臨床に携わる医師のこんなジレンマから生まれたのが、本シリーズだ。
今回も講習スタイルは、さながら「料理教室」のようで、寄贈されたご遺体に対して参加者が講師と同時進行で手術を実体験していく。解剖組織の観察に始まり、それぞれの治療部位ごとに、多彩な執刀手技を学んでいくスタイルは、他の解剖研修では決して真似ることはできない。講師の指導医が実演後、同じことをすぐ執刀・施術してやってもらい、問題があればその場で解決する。ある意味、解剖実習というよりも『手術シミュレーショントレーニング』という方が的を得ているかもしれない。
JAASでは2014年更なる内容の充実と進化させたトレーニングの進行を図るとして、11月28日(金)‐30日(日)の日程で第15回の開催を決定した(詳細は11面または差込チラシを参照)。多くの医師の参加をお待ちしている。
過去最多30名を山本医師、中間医師が指導
「美容の手術の80%はデザインで決まる」と、山本美容整形塾の塾長であり、解剖・執刀シリーズの主任講師を務める山本医師は力説する。
しかしこのデザインさえも、実際に検証するという機会には、なかなか恵まれないというのが現状だ。このデザインから始まり手術の実際を検証することに欠かせないのが、さながら生きているかのような寄贈されたご遺体である。このご遺体こそ主催側が最も苦労する問題だが、JAASが十数回にわたり実習を行い多くの医師や歯科医をミッション団として送ってきた経験と信頼から、解剖施設Hoffen側も最高の状態の検体を提供し続ける。現在、Hoffenと提携する日本の窓口はJAASであることはいうまでもない。
反面、費用と渡航日数がかかるハワイ、グアムなどに解剖実習を行うケースもあるが、コストがかかる割にはその検体の状態は最良とはいえない。寄贈される検体もアジア人とは違う顔面骨格をもつご遺体であるため、日本の医師が研修をするには不向きであることは否めない。
さらに、ともすると実習のやり方が講師の独りよがりになってしまい、とりわけ初級者にとってトレーニングが「消化不良」になってしまうミッションも少なくない。その点JAAS側では、指導医の丁寧できめ細かい教え方と「料理教室」さながらの研修スタイルを貫いていることが最大の特長であることは前述のとおりだ。
こんなJAASならではの解剖・執刀トレーニングとして今年も第14回を数え、参加した医師らはこの実習コースで大いなる財産を築き上げたことは疑いはない。
神経走行・血管の位置関係の確認だけでなく実際の手術での局所解剖や合併症引き起こす神経の位置関係も研修
「通常の解剖実習では神経走行や血管の位置関係等を確認することが目的だ。しかし、実際の手術に必要なのは、術野であり、局所解剖である。また、手術で合併症を引き起こす神経の位置には習熟する必要性もある」と、前夜の講義で山本医師は強調した。
その山本医師の趣旨を実効に移すべく、翌日の解剖・執刀トレーニングが行われる。
目的異なる実習班2班編成
(第1G)山本講師と同時進行で解剖、執刀
(第2G)フィラー注入、二重埋没と基礎解剖習熟
今回の講習スタイルは、昨年のスタイルを引き継ぎつつも、目的の異なる受講者のニーズに応えるべくグループ分けを行うことから始まった。まず、目的によって大きな2つのグループに分かれてもらうこととした。1つ目のグループは、講師が実演後、同じことをすぐに真似してやってもらう、問題があればその場で解決という昨年のやり方に準じて進行するグループだ。第2グループは、フィラー注入等に必要な解剖を学び、実際にフィラーを注入するというグループである。
参加者が過去最多の28名、総勢30名という大人数であったこともあり、指導にあたる講師は山本医師と中間医師の2人体制で行うことになった。
山本班は
眼瞼手術デザイン、上眼窩脂肪の同定方法、切開重瞼術の実際、眼瞼下垂手術、眉毛下切開術、経結膜脱脂のデザインや方法、ピットホールと言われる下斜筋の同定、経皮下眼瞼形成術のデザイン、下眼窩神経の同定、目頭切開のデザインと執刀、目尻切開術、鼻尖軟骨縫縮術の実演と執刀、鼻翼形成術のデザインと執刀
また当日の実習内容は、前日講義の中での話し合いで決まった。もちろん骨格的な内容は、本年度の講習会内容に基づいているが、参加医師のリクエストにも最大公約数的に応えるというのが狙いである。こうした流れの中で、実習内容として決定したのは、上眼瞼手術デザイン、上眼窩脂肪の同定方法、切開重瞼術の実際、眼瞼下垂手術の実際、眉毛下切開術の実際、経結膜脱脂のデザインや方法、ピットホールと言われる下斜筋の同定、経皮下眼瞼形成術のデザイン、下眼窩神経の同定、目頭切開のデザインとその実際、目尻切開とその実際、鼻尖軟骨縫縮術の実演とその実際、鼻翼形成術のデザインとその実際であった。
当日は、こうした流れの中で、ご遺体に対する手術手技を体験してもらう部分が多く、手術に対する質問が相次いだのもこの実習の特長であろう。
想定外の実習で人中短縮術(上口唇短縮術)も
また、これに人中短縮術(上口唇短縮術)が加えられた。さらに、昨年参加された医師や、目的が局所的な先生には自由実習を中心に行ってもらい、順次質問に対応していくという形式で進行していった。
鼻シリコン挿入術、鼻中隔延長術、耳介軟骨摘出術、スレッドリフト術を実際に体験されているドクターや、顔面神経の同定をされている先生、上眼窩神経の同定をされている先生など様々であった。実習中には、山本医師が多岐にわたる各々の質問に答えながら巡回していた。
このように終始『実際の手術では何が必要か』ということにポイントがおかれ、解剖実習というよりもさながら『手術シミュレーショントレーニング』という方が的を得ている感じの講習会となった。
『盛りだくさんな一日でした』と異口同音に聞かれ、主催者冥利に尽きるコメントをもらったり、初参加の医師らからは、『これだけ手術に即し、また手術内容や手技も一緒に教えていただける機会はありません。来年もぜひまた来たい』とする熱のこもったコメントも飛び出し、2人の指導医は
また決意新たにしていた。
前夜の夕食会そして、恒例となった打ち上げを兼ねた晩餐会では、初対面の医師同士が名刺交換しながら親睦を深めていたのが印象的であった。
JAASでは2014年更なる内容の充実と進化させたトレーニングの進行を図るとして、11月28日(金)‐30日(日)の日程で第15回の開催を決定した(差込チラシに申込書)。多くの医師の参加をお待ちしている。
(JHM115号より)