「クリニックサプリ」 成功の道は?〜JHM編集部 その2
[ 2013/6/3 ]
成功事例は増える傾向
診療科目と相性よく、クロスセルしやすい素材サプリを選べ
ヘリオケア(飲む日焼け止め)の代替版サプリも可能
前稿では「低投資でクリニックの第二の収益源」となる、サプリメントの院内販売について概要を紹介した。内容を振り返ると、〝成功請負人〝の栗山氏が手掛けるクリニックサプリの導入案件が増えている理由は、導入費用が低コストなだけではなく、医師にほとんど手を煩わせずに企画から販売までをサポートするからだ。診療以外の新しい収入増を考えるクリニックはもちろん、患者のグリップ力を強めたい、近隣の競合クリニックとの差別化を図りたいドクターにとっても、オリジナルサプリは低コストで導入しやすく、また費用対効果が大きいことが魅力的だ。そこで今回は具体的な導入事例などを中心にレポートする。
「クロスセルしやすい商品を選ぶことが大事です。あくまで『クロスセル』であり、診療や施術の患者数が減ってしまっては意味がありません。診療と絡めて販売できる商品を取り扱うからこそ、患者さんもますます喜んでくださるのです」そう話す栗山 雄司氏(アンチエイジング・プロCOO)。確かに実際にサプリ導入を検討すると、どんなサプリが適しているのか迷うこともありそうだ。だがこの点についても、栗山氏にはすでに多くの導入実績があるため、成功しやすい導入例をいくつか提示してくれる。
あくまで一例ではありますが…、と事前に前置きをしつつ、プラセンタはどの診療科目でも相性はいいが、特に婦人科、皮膚科、美容外科での導入が多いと話す。同様の傾向では、ベースサプリとしての導入が多いビタミン・ミネラル系は皮膚科・内科など、長寿・アンチエイジングとして話題のレスベラトロールは内科・歯科、コラーゲン生成を促すアルギニンは美容外科や婦人科などで導入事例が多い。
とくにアンチエイジングに効果的なレスベラトロールについては、2012年7月に「ヒミツの赤ワイン (レスベで楽してアンチエイジング)」を共著で出版。大手エステサロンの女性オーナーにも推薦してもらうなど、レスベラトロールに関してはブームの第一人者ともいえる存在だ。原料に対する知識だけではなく、実際にレスベラトロールを使ったサプリ開発・販売実績が多い点もクリニックへの売上貢献の裏付けになるであろう。
なお、レスベラトロールについては昨年の日本抗加齢学会総会にて慶応義塾大学の老年病内科の新村医師が、レスベラトロールの濃度によって効果効能が異なることを発表したとのこと。多ければよし、濃ければよし、という論ではないために、最新のエビデンスや情報収集が重要となる。
栗山氏の手掛けた商材の中には、年商数億円程度にまで育ったオリジナルドリンクもある。販売から2年強で、累計販売本数は100万本を超えた。
また、医師1名、受付1名体制で運営している港区のクリニック(内科・皮膚科)では、1年前からアンチエイジングやダイエットなどのサプリメントを数種類取り扱い始めた。とくに積極的に患者に勧めることはないが、診察やカウンセリングの際に患者の症状や悩みに気づいた際にはサプリを紹介しているという。購入は受付で行う形だが、医師が案内することで購入につながる割合が多いそうだ。
とはいえ、小さなクリニックであるため1日の来院数も限られている。サプリ販売といっても月間数十個程度かと思いきや、購入後のリピート率が70〜80%になるため、現在では定期購入の患者を含めると月間300本弱ほどのサプリが売れているそうだ。
導入規模によってはサプリ販売のためのスタッフ研修も行う栗山氏。その研修資料には難しい学術用語ではなく、老若男女が知っているアニメや有名人等を活用して、アンチエイジングの必要性がとても分かり易く表現されていた。「商品の売り方を教えるのではなくて、『なぜアンチエイジングが大事なのか』という根本についての理解を深めてもらうのが研修の意義だと思っています」と栗山氏は語る。
さらに、患者のサプリ需要はより細分化している。
先述以外に最近話題になっているのが、天然型のDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)と言われるヤムイモ由来のDHEAサプリだ。
アメリカではDHEAそのものを含有したサプリメントが流通し「若返りの健康食品」として販売される。若返り、代謝向上、精力アップ、不妊治療などの効果・効能があり、1996年にはアメリカで大ブームになった。それ以降中年以降の男女には人気のサプリではあるが、日本ではDHEAそのものを使った製品は薬事法上、医療成分となるため販売できない。ヘルスクレイムはできないが、天然成分ヤムイモを処方したサプリは可能で、原料調達と処方はできる、と栗山氏は話す。
また、最近クリニックで需要が増えているのが「飲む日焼け止め」のヘリオケアだ。イギリスから個人輸入されているこの商品、特許成分であるFernBlock(Polypodium Leucotomos)によって、紫外線により体内に発生したフリーラジカルを破壊することができる。
主成分のFernblockは中央アメリカに生息しているシダ植物のPolypodium leucotomos(ポリポディウム属)の抽出物が原料となっている。紫外線を防御する他、皮膚がん予防、抗炎症作用などもある。ハーバード・メディカル・スクールによる15年間にわたる調査・研究の結果、Fernblockは、市販製品の中で最も安全で有効な成分という認知されるようになった。
ヤムイモ由来DHEAと同じく、同じような製品化は可能(栗山氏)だ。
「特許成分は使えないが、同様の薬効をもちエビデンスが立証された成分を使うことで、より廉価に同じようなものを作ることができます」
このように、すでに実績が出ている原料を活用しサプリメントをオリジナルで委託製造したり、もしくは日本で販売されていない新しい商品を個人輸入するなど、クリニックの特性を活かしたサプリ導入が重要といえそうだ。
(つづく)
■本稿内容「クリニックサプリ」導入にご関心のあるクリニックは、本紙編集部宛てご連絡ください。電話03‐6222‐3121またはkumag4649@gmail.comまで。
(JHM110号より)
診療科目と相性よく、クロスセルしやすい素材サプリを選べ
ヘリオケア(飲む日焼け止め)の代替版サプリも可能
前稿では「低投資でクリニックの第二の収益源」となる、サプリメントの院内販売について概要を紹介した。内容を振り返ると、〝成功請負人〝の栗山氏が手掛けるクリニックサプリの導入案件が増えている理由は、導入費用が低コストなだけではなく、医師にほとんど手を煩わせずに企画から販売までをサポートするからだ。診療以外の新しい収入増を考えるクリニックはもちろん、患者のグリップ力を強めたい、近隣の競合クリニックとの差別化を図りたいドクターにとっても、オリジナルサプリは低コストで導入しやすく、また費用対効果が大きいことが魅力的だ。そこで今回は具体的な導入事例などを中心にレポートする。
「クロスセルしやすい商品を選ぶことが大事です。あくまで『クロスセル』であり、診療や施術の患者数が減ってしまっては意味がありません。診療と絡めて販売できる商品を取り扱うからこそ、患者さんもますます喜んでくださるのです」そう話す栗山 雄司氏(アンチエイジング・プロCOO)。確かに実際にサプリ導入を検討すると、どんなサプリが適しているのか迷うこともありそうだ。だがこの点についても、栗山氏にはすでに多くの導入実績があるため、成功しやすい導入例をいくつか提示してくれる。
あくまで一例ではありますが…、と事前に前置きをしつつ、プラセンタはどの診療科目でも相性はいいが、特に婦人科、皮膚科、美容外科での導入が多いと話す。同様の傾向では、ベースサプリとしての導入が多いビタミン・ミネラル系は皮膚科・内科など、長寿・アンチエイジングとして話題のレスベラトロールは内科・歯科、コラーゲン生成を促すアルギニンは美容外科や婦人科などで導入事例が多い。
とくにアンチエイジングに効果的なレスベラトロールについては、2012年7月に「ヒミツの赤ワイン (レスベで楽してアンチエイジング)」を共著で出版。大手エステサロンの女性オーナーにも推薦してもらうなど、レスベラトロールに関してはブームの第一人者ともいえる存在だ。原料に対する知識だけではなく、実際にレスベラトロールを使ったサプリ開発・販売実績が多い点もクリニックへの売上貢献の裏付けになるであろう。
なお、レスベラトロールについては昨年の日本抗加齢学会総会にて慶応義塾大学の老年病内科の新村医師が、レスベラトロールの濃度によって効果効能が異なることを発表したとのこと。多ければよし、濃ければよし、という論ではないために、最新のエビデンスや情報収集が重要となる。
栗山氏の手掛けた商材の中には、年商数億円程度にまで育ったオリジナルドリンクもある。販売から2年強で、累計販売本数は100万本を超えた。
また、医師1名、受付1名体制で運営している港区のクリニック(内科・皮膚科)では、1年前からアンチエイジングやダイエットなどのサプリメントを数種類取り扱い始めた。とくに積極的に患者に勧めることはないが、診察やカウンセリングの際に患者の症状や悩みに気づいた際にはサプリを紹介しているという。購入は受付で行う形だが、医師が案内することで購入につながる割合が多いそうだ。
とはいえ、小さなクリニックであるため1日の来院数も限られている。サプリ販売といっても月間数十個程度かと思いきや、購入後のリピート率が70〜80%になるため、現在では定期購入の患者を含めると月間300本弱ほどのサプリが売れているそうだ。
導入規模によってはサプリ販売のためのスタッフ研修も行う栗山氏。その研修資料には難しい学術用語ではなく、老若男女が知っているアニメや有名人等を活用して、アンチエイジングの必要性がとても分かり易く表現されていた。「商品の売り方を教えるのではなくて、『なぜアンチエイジングが大事なのか』という根本についての理解を深めてもらうのが研修の意義だと思っています」と栗山氏は語る。
さらに、患者のサプリ需要はより細分化している。
先述以外に最近話題になっているのが、天然型のDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)と言われるヤムイモ由来のDHEAサプリだ。
アメリカではDHEAそのものを含有したサプリメントが流通し「若返りの健康食品」として販売される。若返り、代謝向上、精力アップ、不妊治療などの効果・効能があり、1996年にはアメリカで大ブームになった。それ以降中年以降の男女には人気のサプリではあるが、日本ではDHEAそのものを使った製品は薬事法上、医療成分となるため販売できない。ヘルスクレイムはできないが、天然成分ヤムイモを処方したサプリは可能で、原料調達と処方はできる、と栗山氏は話す。
また、最近クリニックで需要が増えているのが「飲む日焼け止め」のヘリオケアだ。イギリスから個人輸入されているこの商品、特許成分であるFernBlock(Polypodium Leucotomos)によって、紫外線により体内に発生したフリーラジカルを破壊することができる。
主成分のFernblockは中央アメリカに生息しているシダ植物のPolypodium leucotomos(ポリポディウム属)の抽出物が原料となっている。紫外線を防御する他、皮膚がん予防、抗炎症作用などもある。ハーバード・メディカル・スクールによる15年間にわたる調査・研究の結果、Fernblockは、市販製品の中で最も安全で有効な成分という認知されるようになった。
ヤムイモ由来DHEAと同じく、同じような製品化は可能(栗山氏)だ。
「特許成分は使えないが、同様の薬効をもちエビデンスが立証された成分を使うことで、より廉価に同じようなものを作ることができます」
このように、すでに実績が出ている原料を活用しサプリメントをオリジナルで委託製造したり、もしくは日本で販売されていない新しい商品を個人輸入するなど、クリニックの特性を活かしたサプリ導入が重要といえそうだ。
(つづく)
■本稿内容「クリニックサプリ」導入にご関心のあるクリニックは、本紙編集部宛てご連絡ください。電話03‐6222‐3121またはkumag4649@gmail.comまで。
(JHM110号より)