背の高い女性は、がん発症リスク高まる [JHM]
[ 2011/10/18 ]
10cm高くなるほど16%増加、乳がん・卵巣がん・直腸がんなど10種
LancetOncologyに英国研究チーム掲載
130万人中年女性9年間追跡から明らかに
「背の高い女性ほど、がんになりやすい」こんなショッキングな論文が、先ごろ発表された。
英オックスフォード大などの研究チームが、医学誌「The Lancet Oncology」に掲載したもので、英国人女性の身長が4インチ、約10cm高くなるごとに、がんの発症率が16%増加するという(Height and cancer incidence in the Million Women Study)。研究チームの一人、オックスフォード大DR Jane Green博士によれば、こうした傾向はこれまでの研究から女性だけでなく男性でも認められているという。
また今回の結果は、別の10件の研究を同じように解析したところ欧州、北米、オセアニア、アジアなど世界各地でも同様の傾向が認められている。「Height and cancer」の関連は、多岐にわたる種類のがんや異民族間でも共通していることから、「人間の成長期での共通したメカニズムがあるのでは?」とGreen博士は示唆している。
一方、身長を伸ばす要因には、小児期の食生活や健康状態、遺伝子やホルモンレベルなどが関与しており、とりわけ成長に関わる関連ホルモンレベルが高い人が身長も高く、それががん発症のリスクを増大させていると指摘する研究者もいる。しかし、決定的な立証には至っていない。
今回のコホート試験は、1996年〜2001年に英国で実施された「Million Women Study」のデータをメタアナリシスで統計解析したもので、129万7124人の登録した中年女性が開始時に乳がんスクリーニング検査を受け、身長および体重などの質問票に回答。およそ9年にわたる追跡調査が行われた。被験者には非メラノーマ性皮膚がんを除いてはがんの既往歴は一切ない。
プロトコールでは、身長により5フィート1インチ(約155m)未満〜4インチごとに5フィート9インチ(約175cm)以上まで6グループに分け、解析していった。
質問票によれば、身長の高い女性ほどアルコール摂取量が多く、子どもの数が少なく、肥満・喫煙傾向が低い。また社会的にアッパークラというスの境遇の女性が多い。こうした要因に関係なく身長の高い女性にがんのリスクが有意に高いことがわかった。
10cmの身長増加は、がん発症リスクを16%上昇させる。またがんの種類は17種のうち、15種類で身長が高い人ほどリスクが高まる傾向を示している。さらに15種のうち10種のがん(直腸、結腸、子宮内膜、乳房、卵巣、白血病、メラノーマ、中枢神経系、腎臓、非ホジキンリンパ腫)でそのリスクは有意に上昇した。
因みに、身長の高い人ほど心臓病などほかの疾病に罹るリスクは低いという研究報告もあることを付け加えておく。
(JHM101号より)
LancetOncologyに英国研究チーム掲載
130万人中年女性9年間追跡から明らかに
「背の高い女性ほど、がんになりやすい」こんなショッキングな論文が、先ごろ発表された。
英オックスフォード大などの研究チームが、医学誌「The Lancet Oncology」に掲載したもので、英国人女性の身長が4インチ、約10cm高くなるごとに、がんの発症率が16%増加するという(Height and cancer incidence in the Million Women Study)。研究チームの一人、オックスフォード大DR Jane Green博士によれば、こうした傾向はこれまでの研究から女性だけでなく男性でも認められているという。
また今回の結果は、別の10件の研究を同じように解析したところ欧州、北米、オセアニア、アジアなど世界各地でも同様の傾向が認められている。「Height and cancer」の関連は、多岐にわたる種類のがんや異民族間でも共通していることから、「人間の成長期での共通したメカニズムがあるのでは?」とGreen博士は示唆している。
一方、身長を伸ばす要因には、小児期の食生活や健康状態、遺伝子やホルモンレベルなどが関与しており、とりわけ成長に関わる関連ホルモンレベルが高い人が身長も高く、それががん発症のリスクを増大させていると指摘する研究者もいる。しかし、決定的な立証には至っていない。
今回のコホート試験は、1996年〜2001年に英国で実施された「Million Women Study」のデータをメタアナリシスで統計解析したもので、129万7124人の登録した中年女性が開始時に乳がんスクリーニング検査を受け、身長および体重などの質問票に回答。およそ9年にわたる追跡調査が行われた。被験者には非メラノーマ性皮膚がんを除いてはがんの既往歴は一切ない。
プロトコールでは、身長により5フィート1インチ(約155m)未満〜4インチごとに5フィート9インチ(約175cm)以上まで6グループに分け、解析していった。
質問票によれば、身長の高い女性ほどアルコール摂取量が多く、子どもの数が少なく、肥満・喫煙傾向が低い。また社会的にアッパークラというスの境遇の女性が多い。こうした要因に関係なく身長の高い女性にがんのリスクが有意に高いことがわかった。
10cmの身長増加は、がん発症リスクを16%上昇させる。またがんの種類は17種のうち、15種類で身長が高い人ほどリスクが高まる傾向を示している。さらに15種のうち10種のがん(直腸、結腸、子宮内膜、乳房、卵巣、白血病、メラノーマ、中枢神経系、腎臓、非ホジキンリンパ腫)でそのリスクは有意に上昇した。
因みに、身長の高い人ほど心臓病などほかの疾病に罹るリスクは低いという研究報告もあることを付け加えておく。
(JHM101号より)