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人材リクルート活発化 [JHM]

[ 2011/4/12 ]
医療機関で、優秀な医師、看護師の手当てに苦慮

多くの医療機関で今、医師、看護師が不足している。特に地方では深刻だという。どこの病院、クリニックでも人材の確保に躍起だが、そう簡単にはいかないのが実情だ。優秀な医師、看護師を採用し、また、つなぎとめておくことができるのか。一方、美容医療、アンチエイジング分野でも、こうした有能な技術をもつスペシャリスト医の確保が求められている。自らが施術のスキルアップを図ると同時に、治療テクニックを磨いた専門医の招聘、連携を望むところも少ない(1面アンケート結果からも明らかに)。こうした中、医療機関への求人を手がける人材リクルート業の動きが活発になっている。

ナースの求人を手掛けて28年目の老舗、日本ナースセンター(NNC)。社長の桜井康晴氏は看護師不足の原因をお金にあまり魅力を感じず、とりあえず衣食住がこと足りればといった若者の価値観の変化によるものだと指摘する。給与よりも楽な職場を優先し、売り手市場を背景にいやになればまた転職する。最近の傾向として常勤者の数は確実に減ってきたという。しかも看護師に憧れて就く比率は格段に低下し、異業種に転職するケースも多い。
このような状況の中で人材を確保するためには、自らのクリニックを客観的に見つめなおし、求職者が求めるようなメリットを設定できるかどうかだと桜井氏は強調する。NNCのサポートもそこから始まる。クリニックのよい面もわるい面も含めプレゼンを行い、受け入れ側の体制整備をアドバイスしていく。


求職者の優先順位は「休日数」、美容クリニックでは「給与」

一方、求職者に対しても、紹介先のクリニックの状況をよく説明し、こういうことをすれば楽しく仕事ができるなどとアドバイス。経験してきた科目の情報しか持っていない場合がほとんどなので、当人の希望を基に他の業務も提案しながら方向付けをしてやったりもする。要望等はクリニック側に伝えて再度体制作りを促す。ここまでやらないと、売り手市場のもと求職者側には幻想があり入職後多くの場合幻滅を迎え、すぐまた別の就職先を探すことになるという。ところで気になるのは求職者側の要望する優先事項だが、通勤時間や休日数がやはり上位にくるという。だが美容・アンチエイジング系になると給与が第一にくる。

本当の勝負は採用したあとだ。NNCでは採用後も双方が直接言えないようなことを間に入って聞きとり、調整を行う。アフターケアをきちんとやってくれる紹介業者と組むことが大事と桜井氏は力説する。紹介した看護師を半年後にまた別のクリニックに紹介して、二重に紹介料を稼ぐような悪徳業者がこの2、3年増えてきているという。

NNCの場合、登録から採用までの流れは次のようになっている。まず電話、メールで問い合わせると、コンサルティングスタッフがシステムの詳細を説明してくれる。ホームページ内の登録フォームあるいは郵送されてきた求人票に施設概要、採用条件などの必要事項を書き込み、登録する。その内容を同社が確認したのち、求職者の中から最適な候補者の資料を送付してくる。これを基に書類選考し、気に入った求職者があれば面接を行う。その際にはNNCのスタッフも同席する。合否はNNCから求職者へ伝えられ、採用したい場合は求人者・求職者の双方合意ののちに同社が雇用契約確認書を作成し、正式決定となる。

ただし、すぐに本採用という形はとらず、その後3カ月間程度はNNCからの派遣という形でお見合い採用期間を設け、実際の勤務内容を見ることができる。この間もNNCが双方の意見・要望の調整に当たる。3カ月が経過したところで本採用か否かを判断。医療業界の紹介料は年収の15%〜20%が相場だが、NNCではクリニックに対しては10%でやっている。
東大卒の医師2人で始めたメディカルリサーチアンドテクノロジー(MRT)は、医師紹介の分野で定評がある。求人、求職の際に会員登録(双方とも無料)させてネット上で仲介するもので、求人・求職が成就したのちも会員として勉強会や医薬品等の情報を受けることができる。特に営業をかけることもなく口コミで会員登録が進み、今では東京都の開業医5人に1人が会員だという。


求人側は、「技能・経験」よりも「人柄」重視

アルバイトの場合は基本的に当事者同士にやり取りを任せるが、常勤者の場合はMRTが間に入って条件の交渉等を行う。社長の馬場稔正氏は言う。「医師の売り手市場で求人側は言いたいことも直接言えません。そこで我々が間に入って医師をふるいにかけます」。求人側が決まって出してくる条件は実績や技能と思いきや、人柄だという。患者や他のスタッフとうまくやれる人で、馬場氏によるとこの10年間変わっていない。そのへんも口コミによる登録ならではの利点で正確にリサーチできるという。

医師側からも要望があればヒアリング後、条件にあったクリニックをいくつか紹介する。ドクター側から出される条件は基本的には収入と時間だという。その2つの兼ね合いで判断するケースが多い。ただし当座は時間に見合った収入が得られなくとも、そこで勉強して将来への投資になれば入職する医師は多いという。MRTでも双方が躊躇している場合は1カ月〜3カ月のトライアル期間を提案する。採用後、定期的に双方からヒアリングしてフォローしていくのも同様である。紹介料は年収の10%。「紹介業者を見分けるには、まずはそこのコンサルタントと話してみることです。本当に医療業界のことがわかっているのかどうか」(馬場氏)。さらにMRTでは、急に代診医が必要になるような場合に対応するため、スタッフが24時間常駐し対応する業務も行っている。
いずれにしても医療機関への人材供給は、今年さらに加速することは間違いない。



(JHM98号より)
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