難治性のがんに血流改善の新治療 [JHM]
[ 2010/8/5 ]
従来とは逆の発想で効果上げる
旭川医科大らの研究グループは、骨髄細胞を移植し、がんの周辺の血管を修復・再生、血流を改善するという新しい方法で、マウスの膵臓がんの増殖を抑えることに成功した。
これまで、がんの周辺での血管新生を食い止め、がん細胞に栄養をとらせないようにする従来法とは正反対のアプローチといえる。この研究結果は、米がん学会誌キャンサー・リサーチ電子版に発表されている。
がん細胞は増殖する時、通常細胞よりも酸素や栄養を必要とするため、無秩序に細い血管を増加させる。近年、血管新生を防ぐ治療法が注目され、大腸がんや肝がんなど、血流量の多い臓器がんに用いられている。
同大消火器内科学の水上裕輔講師らが、膵臓がんを研究した結果、細い血管の乱造が血流を乏しくし、腫瘍内ががん細胞の好む低酸素状態になっていたという。
これに対し、血管再生を促す骨髄細胞をマウスから採取・培養して注入し、がん組織周囲の血管を正常に形成し抗がん剤を投与すると、腫瘍の増大を大幅に遅らせることができたのだという。この治療を行ったマウスでは、抗がん剤を排除する遺伝子の発現も50%以上も低下したという。
水上講師は骨髄細胞ではなく、簡単に採取できる血液細胞による方法も研究中で、難治性のがんの治療法としての確立を目指す。
(JHM95号より)
旭川医科大らの研究グループは、骨髄細胞を移植し、がんの周辺の血管を修復・再生、血流を改善するという新しい方法で、マウスの膵臓がんの増殖を抑えることに成功した。
これまで、がんの周辺での血管新生を食い止め、がん細胞に栄養をとらせないようにする従来法とは正反対のアプローチといえる。この研究結果は、米がん学会誌キャンサー・リサーチ電子版に発表されている。
がん細胞は増殖する時、通常細胞よりも酸素や栄養を必要とするため、無秩序に細い血管を増加させる。近年、血管新生を防ぐ治療法が注目され、大腸がんや肝がんなど、血流量の多い臓器がんに用いられている。
同大消火器内科学の水上裕輔講師らが、膵臓がんを研究した結果、細い血管の乱造が血流を乏しくし、腫瘍内ががん細胞の好む低酸素状態になっていたという。
これに対し、血管再生を促す骨髄細胞をマウスから採取・培養して注入し、がん組織周囲の血管を正常に形成し抗がん剤を投与すると、腫瘍の増大を大幅に遅らせることができたのだという。この治療を行ったマウスでは、抗がん剤を排除する遺伝子の発現も50%以上も低下したという。
水上講師は骨髄細胞ではなく、簡単に採取できる血液細胞による方法も研究中で、難治性のがんの治療法としての確立を目指す。
(JHM95号より)