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ソウル解剖学実習から教えられる、襲侵術の研鑚の大切さ [JHM]

[ 2010/8/2 ]
21世紀の社会的基盤を構成する新たな医療の仕組み。この分野を担う全ての医療従事者と関連産業にとって、責任の重さはさらに増している。とりわけアンチエイジング医療や補完代替・統合医療などの予防型医療に重点をおく新たな医療の枠組みは無視できない。だからこそ、そうした診療体系と新たな医療技術が求められてくる。一方、こうした医療に対して健康・美容・診断技術などがさらに密接な関りをもつこともまた明らかである。本稿では医療・健康・美容分野のオピニオン達に論説をいただいている。第43回目は、本紙社説として述べてみたい。


本紙とJAAS日本アンチエイジング外科・美容再生研究会(Japanese Anti-Aging Surgery & Regenerative Medicine for rejuvenation)共催による、美容医療の解剖学実習が6月初旬に、韓国ソウルのカトリック医科大St.Mary’s病院で行なわれた。主宰はKCCS韓国美容外科大学連合会で、カトリック医大はじめ韓国内の医科大教授、元教授ら蒼々たる顔ぶれに加え、ソウル、釜山などで美容整形クリニックを開院するCocmeticSurgeon達が、それぞれのスペシャリティを参加者に検体(FreshCadaver)を使って教えるもの。参加した日本チームは2日間にわたり、通訳を介して解剖学の基礎を学び、顔面、眼瞼、鼻骨、口腔・顎やフェイスリフティングなどに対する解剖実習に臨んだが、一方で韓国の参加医師たちは3日間にわたり、フルボディの実習まで及んだ。

本紙では昨年から中国大連、桂林などで韓国KSAS、中国大連大との共催によって3回に及ぶ美容外科・形成解剖学実習のミッションをくみ、日本では難しいFreshな検体を使っての美容整形術のオペ研修を続けている。

6月のソウル、そして過去3回の実習でもそうであったように参加する韓国、中国の医師らの意気込みは強い。中国勢は貪欲にそして指導医の一挙手一投足に真剣なまなざしをむける。韓国勢は、競合激しい美容医療の世界で自らが生き残るワザを探し極めようと、検体解剖に没頭する。とりわけ韓国ではソウル大、慶熙大、カトリック大など優秀な医学部出身者が従来医療から美容整形医に転身し、美容医療のビギナーとしてこうした美容整形の解剖学コースに参加している。勢い、スキルアップに対する努力は半端ではない。
「韓国でも侵襲術から低襲侵、非侵襲へと一部の施術では変わりつつある。しかし侵襲を伴う整形術をまずマスターすることこそ美容外科医の出発点です。侵襲法の施術がベースとなって初めて、そのあとの非侵襲の施術が生かされるし、スペシャリティと認められる」というKSAS生みの親のLim JougHak医師の言葉が重く感じてならない。

本紙では昨年から、侵襲術こそ、美容外科の「登竜門」と主張してきたわけがここにある。
ソウルに参加した日本の医師たちは8名、その中に今春発足しJAAS理事のひとり、銀座いけだクリニック総院長・池田 欣生MDがいる。

「患者さんの痛みに対してデリケートな診療術をこなしてこそ、はじめてその医師の評価が決まる」と指摘し、患者満足度は痛みがなくしかも治療効果が高いことであるという。そして施術の施術はもちろん、徹底した医療器具、資材にこだわりをみせながら、自らもオリジナルのオペ関連商品を開発している。

そんな池田医師が、同院の医師らと共にこの解剖学実習に参加し、形成外科医の専門医にも関らず新たな治療術の検証のために、検体を借りて組織、神経などに対する侵襲や手技の手順、良し悪しをみていた。その貪欲さ、真剣さが何ら韓国の医師らと変わりはない。指導にあたった韓国の医師にも、教えながら自らの術式に使う器具や資材をアピールする指導医も何人かいて、スペシャリティを極めるとこだわりの"道具"が必要となるのは韓国も日本も同じとみえる。
池田MDは、いまアジア圏内で動き出す「メディカルツアー」に危機感を感じている美容形成医のひとりでもある。国をあげて海外からの患者誘致に力をいれる韓国は、かつて日本の技術を見習いそして切磋琢磨して新たな美容術を磨き、欧米などの海外からの技術にも逸早く眼を向け、吸収している。こうした状況を直視するべきだと池田医師はいう。 

いま、日本はもう一度韓国や世界の美容医療の技術を学び直し、日本の得意技ともいえる、デザイン、整形のきめ細かさや、痛みに対する配慮など、そして日本人が伝統的にDNAとして受け継がれてきたホスピタリティー、サービス精神などをMade in Japanの美容医療として築き上げていくことが大切だという。

そのためにも、もう一度美容術のための臨床解剖学を学び、トレーニングに参加して韓国をはじめ多くの海外のスペシャリストとの交流を深め、新たな施術を吸収していくことが大事だろう。

KSAS、KCCSと韓国ではそれぞれの団体が競い合って未来の後継にために現役の経験者が、労を惜しまずテクニックを教えている。 

技術の進化と発展は競うことから生まれる!歴史が物語っている通りである。
学びたいが教えてくれる場がない、と嘆く若手の美容医療医そして通常医療から転身をめざすドクターは少なくない。とりわけ競争が避けられない美容医療界にとって、その技術は門外不出!かも知れない。しかし、このままでは新たな美容医療の発展は疑わしい。

美容医療はもはや、その存在価値を高め、世界的にもアンチエイジング医療のひとつとして位置づけられてきている。整形顔をつくる、そのことがすべての目的ではなくなっている。

先述の池田医師の「美容医療でその患者さんの人生そのものをモデルチェンジして、仕事、生活、人間関係そして夢、希望すべてにわたって幸せのスパイラルへと導くことができる」という言葉が象徴している。

日本がそして日本から、より良いかたちの美容医療がさらに発展していくために、多くの方の経験と智恵をお借りして本紙も微力ながらお手伝いしたい。



(JHM95号より)
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