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美容、エステティックは 原点回帰の時? [JHM]

[ 2010/7/2 ]
先日、銀座2丁目に「スポーツクラブNAS」を運営する日本体育施設運営が高級スポーツクラブ「NAS銀座」をオープンさせた。

「NAS銀座」のコンセプトは、最上のホスピタリティ。そのため、会員一人一人の体調から食生活までを把握したコンシェルジュが、ワークアウト、エステティック、ゴルフ、そしてラウンジでのひと時を、個別に提案する。

スポーツクラブでありながら、施設内に高級エステティックサロンを併設し、スポーツクラブにありがちなストイックな雰囲気ではなく、夜景を楽しめるバーラウンジをはじめ、大人の社交場としての施設となっている。

本来、エステティックサロンの本質とは、こうした最上級のホスピタリティにあったはずだが、痩身や脱毛の“結果”を追い求めるあまり、サロン内部の雰囲気が、結果主義さらには売り上げ主義に傾倒してしまったことが、現在のエステティック業界不振の原因の一端ではないだろうか?

同様の不振に長くあえいでいた業態と言っていいスポーツクラブが、NAS銀座のようなコンセプトの施設を展開し始めている。エステティックサロンも定番メニューの回数チケットを多数乱売しての売り上げ稼ぎから、個別のクライアントの状況に対応できる、オーダーメイドな施術の提供にシフトして行かなければ未来はない。本来、エステティックサロンとはそういう場所であったはずだ。

では、単純に昔に返れば良いのか?当然ながら、事はそれほど単純ではない。エステティックサロンの不振のもう一つの原因は、消費者が賢くなってきたことだ。
ネットに情報が氾濫し、サロンの公式情報から口コミまでが瞬時に検索できるこの時代、通り一遍のカウンセリングだけでは、クライアントの財布のヒモは緩まない。

そこで登場したのが、診断に基づいて施術を行うことの出来るメディカルエステであったはずなのだが、多くのメディカルエステテックが、見事にメディカルとエステティックの悪い点ばかりが目立つ施設となってしまっている。

もともと、医療にはホスピタリティという視点が希薄だ。長く保険診療という横並びのメニューを提供しさえすれば商売として成り立ってきたからだ。近年ようやくホスピタリティに目を向け始めてはいるが、あくまでも“医療としては”という前置詞が付く。

本来のホスピタリティをエステティックサロンに学び、医療の最大の特徴である診断を武器に、真の美容を提供できる施設であれば、不景気とはいえ、賢い消費者の財布のヒモも緩むのではないだろうか?

少し前まで、一部の美容外科では、レーザーや脱毛の回数チケットが売られていた。これは、いわゆるエステ商法の最も悪しき点だ。こうした商法を続けているクリニックは、おそらくないと思うが、少なくとも“美容”を売りにするクリニックであれば、技術の確かさは当然として、他院との差別化のポイントは、間違いなくホスピタリティであろう。

本来、スポーツクラブもエステティックサロンも美容外科クリニックも、限られた顧客を対象にビジネスとして成立してきた業態である。その裾野を無理に広げようとすることで、価格破壊をはじめとする様々な弊害が生まれている。もう一度、原点に立ち返り、自らの施設に来訪してほしい顧客像を考え直す時期ではないだろうか?



(JHM94号より)
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