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神経科学の学術誌 Neurochemistry International に論文掲載 [JHM]

[ 2010/6/18 ]
これまで、本紙では渡辺オイスター研究所の『ワタナベ活性型オイスター』のエビデンスについて、2型糖尿病や口内炎などのエビデンスを紹介してきた。そのエビデンスに新たな論文掲載が加わった。Neurochemistry International56号に掲載された、Susceptibility to stress in young rats after 2-week zinc deprivationがそれだ。2週間の低亜鉛食飼育ラットに対するストレスの影響をみたこの論文。オイスターがうつ様症状に効果があることを検証している。また、『ワタナベ活性型オイスター』は、摂取することで、不眠など、うつにつながる症状も軽減されることが、これまでも指摘されている。ミネラルと神経症状、それに対するソリューションとしての『ワタナベ活性型オイスター』について紹介する。


渡辺オイスター研究所は、静岡県立大などと、作用機序について検証する動物実験も行っている。それが、今回、Neurochemistry Internationalに掲載された論文で、亜鉛の栄養摂取状態と脳内の視床下部、下垂体、副腎皮質などと海馬の機能の変化と、その結果としてのうつ様行動について、ラットを用いて検証している。

この試験の目的は、うつ病患者では、血清亜鉛濃度が低下しており、生体内亜鉛低下がうつ病発症と関係する可能性があることから、低亜鉛食で飼育したラットを用いて、視床下部‐下垂体‐副腎皮質(HPA)系と海馬の機能変化とうつ様行動を観察した。

生体にストレスが負荷されると、HPA系が活性化され、グルココルチコイド分泌が亢進する。WHOの調査では約45%のうつ病患者でHPA系の負のフィードバック(副腎皮質からのグルココルチコイド分泌の抑制)が障害されていると報告され、この障害がうつ病の原因の一因であるとされている。さらに、ストレスで増加したグルココルチコイドは、海馬の神経終末からのグルタミン酸放出を促進し、その再取り込みを抑制する。その結果、細胞外液のグルタミン酸濃度を増加させる。グルタミン酸濃度の過剰な増加は、興奮毒性を惹起し、海馬の萎縮などを招くと考えられている。

試験では、低亜鉛食で2週間飼育したラットに対して、強制水泳試験を行うと、通常食のラットと比較して、うつ様の行動(無動時間の増加)を見せるが、通常食にもどすと、4日ほどで回復した。こうした早い回復は、HPA系の機能傷害は起こっていないのではないかと思われた。

通常食と低亜鉛食のラットに合成の副腎皮質ホルモン、デキサメゾンを投与し、血清中のグルココルチコイド濃度を測定した。すると低亜鉛食群のラットも通常食群と同様なレベルまで、血清グルココルチコイドである、コルチコステロン濃度が低下したので、HPA系の負のフィードバックが傷害されていないことがわかった。

低亜鉛食ラットは血中のグルココルチコイド濃度が高く、その分泌亢進がストレスに対しての応答性を高めていることが窺えた。

低亜鉛食ラットのストレスの応答性をみてみると、水侵ストレスや強制水泳ストレスなどの負荷をかけると、、血清コルチコステロン濃度は、通常食と比較すると、水侵ストレスでは増加傾向を、強制水泳ストレスでは有意な増加が確認され、ストレスの応答性が高まっていることが示唆された。
これまで、海馬のグルタミン酸興奮毒性の増大には、海馬シナプス小胞の亜鉛量の減少が関係していることが報告されているが、低亜鉛食2週間の飼育では、亜鉛量の減少は確認されていない。

しかし、通常時の血清グルココルチコイド濃度が高く、ストレス負荷後にさらに増大することから、海馬のグルタミン酸興奮毒性が増大する可能性がある。

そこで、海馬に過剰刺激を与えると、通常食群と比較して、細胞外亜鉛濃度が上昇しているにも関わらず、グルタミン酸の興奮性が増大していることが示唆された。

その増大のメカニズムを探るために、海馬のグルタミン酸作動性神経終末での開港放出を海馬スライスに蛍光プローブを用いて調べてみると、無刺激時、電気刺激を行った後ともに低亜鉛ラットでは開口放出の有意な増加が見られた。

さらに、グルタミン酸の再取り込みに重要なグルタミン酸トランスポーターGLT-1のタンパク発現を調べてみると、通常食群に比較して、低亜鉛食ラットでは、有意な増加が確認された。
以上の解析から、2週間の低亜鉛食ラットの細胞外グルタミン酸量の増加には、グルタミン酸の開口放出の増大が関係していることが示唆され、また、定常時においてもグルタミン酸開口放出は増加しているが、そのトランスポーターの発現も増加しており、そのために細胞外のグルタミン酸濃度は通常食ラットと同様なレベルで維持されていることが考えられる。

結果として、2週間の低亜鉛食では、HPA系の負のフィードバックは障害されておらず、うつ様の行動は通常食に戻すことで回復する、可逆的な状態であることが確認できた。この亜鉛欠乏によるうつ様行動の増加には、ストレス負荷による、海馬のグルタミン酸作動神経の興奮性増大が関係している可能性が示唆された。

こうした結果を元に、渡辺オイスター研究所は、うつ様症状と関連の深い、不眠などの症状についても、研究を進めており、近く発表する予定だという。

いずれにせよ眠りやうつ状態の改善のためには、脳へのアミノ酸、ミネラル、ビタミンなどの栄養素の補給が非常に大切であることは間違いない。
亜鉛不足でストレスを受けるとうつ状態を引き起こすが、亜鉛補給をすれば、その症状は改善する。

また、血清中の亜鉛濃度が高いとストレスに強く、低いとストレスに弱いことも報告されている。
『ワタナベ活性型オイスター』には、脳への栄養補給に必要な亜鉛、セレンなどのミネラル、アミノ酸、ビタミンなどがバランス良く豊富に含まれている。
現代病ともいうべきうつや不眠に対して、『ワタナベ活性型オイスター』は有効なソリューションの候補であることは、間違いない。




(JHM93号より)
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