拡大する医療流通に乗り遅れるな サプリ取り扱いクリニック急増中 [JHM]
[ 2010/3/5 ]
静観している間に、着実に医療機関でのサプリメントの使用は拡大している。そして、その流通量は、他の流通ルートが軒並み右肩下がりを続ける中で、年々増加していることは間違いない。クリニックでの導入率は、診療報酬の低下と反比例して年々向上しており、特に歯科において、物品販売を行っていないクリニックはほとんどないといって良い。医療流通に魅力を感じる企業であれば、布石を打っておく時期は、今しかない。また、医療関係者の読者においては、今後の具体的なメニュー展開の参考となるよう、サプリメント・遺伝子検査・再生医療について紹介する。
医療機関とのやり取りは無理?医療機関での販売は面倒?人材がいない・・・etcサプリメントや美容機器のサプライヤーがクリニックを敬遠する理由だ。しかし、表を見て欲しい。この表は本紙がそれぞれの企業に直接聞き取り調査を行った数字である。調査対象は、基本的に、クリニック専用ブランドを持ち、国内法に準拠した健康食品を直接クリニックに販売している企業に限定している。ようは、他での流通チャンネルでも売ることの出来るサプリメントを、クリニック専業で販売している企業である。
それぞれの企業が、サプリメントを納入しているクリニック数に注目して欲しい。
それぞれ、企業としての立ち位置は異なるが、医療機関向けの営業担当はせいぜい1〜2人だ。それで、これだけのクリニック数をカバーしているのだ。
それぞれのメーカーが対応しているクリニック数だが、実は、それほど重なっていない。例えば富士化学工業は眼科、ニチモウは婦人科、B&Sは代替医療と歯科、グロービアは認知症外来というように、それぞれ、そのサプリメントに適した標榜科目を中心に広げているからだ。
それを考えると表のクリニックの件数が、意外に大きなものであることに気づくはずだ。
そして、売り上げの伸び率について、各社に聞き取り調査をしているが、それぞれの伸びが、クリニック数の増加によるものなのか、それとも一軒のクリニックからの発注量が増加しているのかを聞いてみたところ、ほとんどが取り扱いのクリニック数が増えたことによって、売り上げが伸びていると語った。
つまり、どの企業も昨年1年間で約100件、取り扱いクリニックが増加している。今年も同様にクリニック数が増加するのであれば、担当のスタッフも増加し、加速度的に扱いのクリニック数は増加していくであろう。その一方で、当然ながら、取捨選択されながら、生き残るブランドが確立されてくるであろう。しかし、ここに挙げた企業の多くは、切り捨てられることなく、生き残っていくに違いない。
それはなぜか?現時点で医療機関を開拓して行こうという意思を持てるということは、その製品に絶対の自信があるからだ。
以下に、それぞれのサプリメントの簡単な特徴を挙げてみる
医療機関専業サプリメント各社の特徴
富士化学工業『アスタリールACT』
同社はアスタキサンチンの世界的な原料サプライヤーで、メディカル向けの専業の部署を持ち、ここに上げた企業の中では、クリニック向けの営業が最も充実していると言える。
アスタキサンチンは、臨床分野では当初、眼精疲労など眼に関してのエビデンスが先行していたことから、眼科医を中心に展開を行っていた。近年、さらに臨床的なエビデンスの構築が進み、紫外線による皮膚老化の保護作用や、細胞膜の抗酸化作用、抗疲労など多様な機能を持つ抗酸化物質として、美容皮膚やスポーツなど、幅広い目的で使用されている。
現在、アスタキサンチンは世界的に期待されているサプリメント素材であることは間違いない。その礎を築いたのは富士化学工業といっても過言ではない。その同社が自社ブランドで製造するサプリメントは、絶対の自信の裏づけである。
グロービア『フェルガード』
米ぬかから抽出されたフェルラ酸とガーデンアンゼリカというハーブを原料とするサプリメント。東海圏を中心に認知症専門医が使用する。認知症の症状に対応し、アリセプトなど使用薬剤の処方のコントロールを行う『河野メソッド』の中で紹介され、使用されている。
日本ダグラスラボラトリーズ
説明の必要も無いかもしれないが、米国のドクター向け専業のサプリメントメーカー。代表的な製品はマルチビタミン・ミネラルの『UPX』などだが、DHEAやメラトニンなどホルモン製剤なども取り扱う。
製品のラインナップでは、医療機関向けで最大規模。どの診療科目でも必要なサプリメントは必ず揃う。モノによっては、錠剤が大きすぎるものがあるので、ピルカッターなどの工夫が必要だが、粒が大きいのは、必要量を少ない粒で摂取するための工夫。主要商品には、小粒のものもラインナップする。
B&Sコーポレーション『アルベックス』
日本の医療向け専用サプリメントの草分け的な存在。液剤の個食包装という独自の形態を持つ『アルベックス』は乳酸菌生成エキスで、基本的には腸内環境の正常化のための、プロバイオティクス・プレバイオティクスとして用いる。
単独でのがん予防効果やアレルギー抑制効果、カリエスリスクの低減効果など、エビデンスを多数持つが、サプリメントや医薬品の吸収効率を上げるための腸内環境の改善やデトックスの一環としてなど、他の治療やサプリメントとの併用効果も良く知られている。
当初は代替医療のクリニックを中心に活用が広がったが、キレーションなどアンチエイジングクリニックや、最近では歯科での活用が活発になっている。
サプリメントを使用してみて、反応や体感に疑問があるとき、『アルベックス』を併用することで、その効果を体感させたりする目的で使用できる。また、『アルベックス』単独の体感としては、便通や便臭などの改善として、実感できる。
医療機関での使用実績が長いだけに、サプリメント取り扱いのノウハウも多く持っていることも、同社の特徴である。
ニチモウ『AglyMax』
大豆イソフラボン・アグリコンの原料サプライヤー。『AglyMax』は同社が医療機関のみに供給するサプリメント。更年期障害のホットフラッシュ抑制や、不妊に対する効果など、エストロゲンと関連する、婦人科系の疾患に臨床試験の結果を多数持っている。女性更年期のホルモン補充の代替医療として、婦人科クリニックで使用されている。
また、女性だけでなく、男性の前立腺がんの抑制などの効果も示唆されている。
ヘルシーパス
日本人による日本人のためのサプリメント。医療機関向けのサプリメントとしては、この中では最後発。それだけに品質には気を配られており、体感も大きい。主要商品は、マルチビタミン・ミネラルや抗酸化サプリメントなどのベーシックなもの。
エル・エス コーポレーション『DPA』など
エルエスコーポレーションは、補完代替医療を行うクリニックに、医療グレードのメシマコブや核酸のサプリメントを提供してきた。
近年では、ヒアルロン酸やDPA(ドコサペンタエン酸)というω3脂肪酸のサプリメントの提供を始めている。
特にDPAについては、高脂血症治療薬のEPAと比較しても、血管内皮細胞の遊走能が高く、動脈硬化予防のサプリメントとして、期待の持てる製品だ。
立山化成『α‐リポ酸
医薬品・サプリメントのα‐リポ酸の原料メーカー。最終製品の販売ではないが、原末をハードカプセルに入れたものをバルク供給している。
甲陽ケミカル『グルコサミン』
グルコサミンの原料サプライヤー。早くから整形外科向けにグルコサミン単剤のサプリメントを供給している。単価は安い。しかし、原料メーカーが医療機関向けにボトリングしているため、変形性膝関節症などでは、かなりの患者がリピートしており、臨床現場でのエビデンスも充実している。
兼松ウェルネス・メディカルユース事業部
同社は、これまで紹介してきた企業とは別で、自社商品ではなく、一定のエビデンスのある各社のサプリメントを医療機関向けに卸販売を行っている。
サプリメントの使い方
食生活の不足を補うマルチビタミンやω3などは、万人に進めることが出来るが、それよりも一歩進めた機能性を求めるサプリメントには、使い方の工夫が必要だ。
CoQ10やL-カルニチン、α‐リポ酸など、もともと医薬品であったサプリメントは医療機関でも、比較的使いやすいと思われがちである。
しかし、うまく使いこなしている例は少ない。医薬品とサプリメントはその用途が違うことが多く、サプリメントとしての使い方を考えないとリピートはしない。
佐賀県の産婦人科でα‐リポ酸を肥満治療に応用し、成功している医師の例を紹介してみたい。
もともと妊婦の肥満治療目的に、食事療法を始めた光武産婦人科の光武和彦院長。食事療法に漢方薬を併用することで、驚くべき減量効果を得る。口コミで肥満患者が、数多く来院するが、高度な肥満の症例には、体重減少の停滞期が来る。
その停滞期にα‐リポ酸の市販サプリを試してみたが、思うような効果が得られなかったが、医薬品のチオクト酸アミドを試してみると、使用している漢方薬との高い相乗効果を感じたと言う。
そこで医薬品のチオクト酸の原料メーカーであり、サプリメントのα‐リポ酸の原料も供給している立山化成にコンタクトを取った。
立山化成に依頼したのはα‐リポ酸単剤の80mgハードカプセル。これを朝夕2回に大目の水で摂取することで、治療成績は飛躍的に向上したのだと言う。
具体的には既に10kg以上の減量をしていて、さらに減量が必要な患者に限って使用している。また、目標達成後も、体重維持のために継続する患者も多い。
体重の減少に対して、光武院長は大きな手ごたえを感じているが、患者さんからは、体重減少に加え、美容的な反響も大きいのだと言う。そのため、一度使用した患者は長期のリピーターとなってくれている。
光武院長はこれまで何種類ものサプリメントを使用してきたが、06年から今日まで、使用し続けているサプリメントとして、α‐リポ酸は同院の肥満治療のサポートに無くてはならない存在の一つになっている。
このように、必然性のある使用法であれば、クリニック、患者双方にとってサプリメントは継続するコミュニケーションツールとなりえるのである。
そうした意味ではグルコサミンもまた、整形外科にとっては、長期継続するサプリメントであることは間違いない。変形性膝関節症に対して、通常医療では、消炎鎮痛剤の処方が行われるが、あくまでも痛みを抑える対処療法でしかなく、グルコサミンはこれら、消炎鎮痛剤と比較しても、治療効果が高いことが、使用する臨床医から報告されている。
点滴療法とサプリメント
高濃度ビタミンC点滴のブームと共に、点滴療法を行うクリニックの急増は今後も続く。本紙編集部には最近ビタミンCと併用される点滴製剤、アミグダリンの問合せも寄せられている。
アミグダリンは、杏由来のビタミンB17製剤で、米国の代替医療では古くから使用されている。
また、高濃度ビタミンCと合わせて使用する経口のビタミンCサプリメントにも注目が集まっている。
本紙でも何度か紹介している扶桑化学工業の『持続型ビタミンC500&クエン酸』などのように、血中濃度を高く保つ工夫がされている製品に注目が集まっている。
もともと米国の高濃度ビタミンC点滴は、経口のサプリメントとの併用が大前提であった。その意味でも高濃度ビタミンC点滴を行うクリニックにおいては、経口のビタミンCサプリメントの導入は必須と言える。
厳密な点滴療法とは違うが、ビタミンC点滴と相性のよい血液クレンジングも、導入クリニックが増加している。血液クレンジングは、体外に出した血液にオゾンを暴露させ体内に点滴するが、同様の手法で、オゾン以外の刺激で血液を活性化させる方法も、日本に上陸しつつある。詳細は今後、本紙を通じて紹介してゆく。
遺伝子検査の今
こうしたサプリメントに代表される、アンチエイジング医療を行うとき、必要となるのは検査だということは、前号でも強調した。
抗酸化であればFRASの検査や、マルチビタミン関連では、血中のビタミンやマーカーを測定する、健康寿命ドックやサプリメント・ビタミンドックなどが、標準化されている。また、通常の健康診断レベルの血液検査を、単純に数値だけを読むのではなく、別の見方をするオーソモレキュラーメディスンの方法を用いる医師もいる。
さらに今年、拡大するであろう検査が遺伝子検査だ。G&Gサイエンスやジーンサイエンスなど数社がパッケージ化された遺伝子検査を提供している。
また、新たにこの分野に参入を始めるのが、代替医療や栄養療法の研究を行っているライフサイエンス研究所。同研究所の統括研究ディレクターの高橋芳樹氏は、遺伝子と栄養に関した事業を始めるなら、被験者の遺伝子の情報という先天的なものだけでなく、後天的な体質を合わせて、どのように評価し、伝えていくのか、また、個人情報を含めた論理的管理が重要です、と語る。
そのために同研究所が提供を始めようとしているのが、生活習慣病に関した遺伝子診断。生活習慣をコントロールすることで、疾病のリスクをコントロールすることが、他の分野に比べ容易だからだ。
同研究所の遺伝子診断は基本検査となる問診・血液検査と、遺伝子検査を組み合わせたもの。検査するSNPsは、がん物質の感受性と関わるCYP1A1、アルコール感受性と関わるALDH2、肥満に関わるβ3AR・UCP1・β2AR、食塩の感受性に関わるAGTなど。これらに尿中8‐OHdGによる遺伝子酸化損傷の度合いなども組み合わせる。
この遺伝子検査の特徴は、単にSNPsの有無から疾病リスクを判断するものではなく、そこから得た情報を被験者にどのように伝えるか、カウンセリングとフォローアップに力を入れている。そのための人材育成までもが視野に入れられている。
また、SNPsも尿酸排泄のトランスポーターやアディポネクチン関連遺伝子も視野に入れており、検査にラインナップする予定だ。
さらに、SNPsがあるかないか、だけではなく、遺伝子の量的な違いや発現量の違い、個体差なども考慮し、環境的な要因までを含めて、複合的に診断していくことを最終的な目的としている。加えて、従来ある血液や尿中のマーカー、タンパク質の解析などの手法も検討されている。
ライフサイエンス研究所では、この検査に賛同し、提携するクリニックを模索している。
遺伝子検査は基本的に、体質を把握し、疾病リスクを判断し、生活習慣をコントロールすることで、疾病リスクを減じるために用いられる。
しかし、SNPsから生活習慣病リスクを診るのとは別に、がん検診として、発がん遺伝子の発現や血中のフリーDNAなどから、『発がん状態』を診ているのがUDXヒラハタクリニックだ。
これはPETなどよりも早く、微小な状態のがんを発見するために用いられているものだ。
UDXヒラハタクリニックは、遺伝子検査のみならず、培養した自己のP53を用いた治療や、がん遺伝子治療までを行うことが出来る、がん検診・治療施設としては、日本最先端の施設と言える。同クリニックも、提携するクリニック受け付けている。
再生医療の今
再生医療が今後、日本の医療に果たす役割は大きい。ではアンチエイジング医療には、どのように活用したら良いのであろうか?
現在、再生医療の応用といえるアンチエイジング医療には、PRP注入、自己線維芽細胞培養、幹細胞由来タンパク抽出物の注入などがある。
自己血から血小板リッチな血漿を取り出して注入する、PRP注入については、マイセルのキットを使ったものが主流。
チリメンジワの改善などに使用されており、クリニック数も増加している。
幹細胞由来タンパク抽出物は、HARG療法などのように、発毛・育毛治療として活用される例や、フラクショナルレーザーやメソローラーと組み合わせて、皮膚の若返りに使用されるものなどがある。
注入される成長因子は、特定のドナーから採取された脂肪由来幹細胞が、培養される過程で産生するものを抽出している。多くは韓国製の製剤を使用している。
自己線維芽細胞培養は、耳の後ろの皮膚を採取し、そこから取り出した線維芽細胞を培養、活性化したものを注入するもので、顔全体に注入するものや、特定のシワに注入するものなどがあるが、コストが高いのが難点で、それほど普及するに至っていない。
これらに加え、自己の幹細胞を培養し、点滴したり、注入する再生医療も行われ始めてはいるが、まだまだ少数と言ってよい。
これから再生医療と取り入れようとするクリニックであれば、まずは先述したマイセルPRPなどを使用しながら、再生医療についての知識を深め、その上で踏み出すことをお勧めする。
今後、アンチエイジングクリニックでの現実的なメニュー展開について、参考となるよう、サプリメント・遺伝子検査・再生医療について紹介してみた。
(JHM91号より)
医療機関とのやり取りは無理?医療機関での販売は面倒?人材がいない・・・etcサプリメントや美容機器のサプライヤーがクリニックを敬遠する理由だ。しかし、表を見て欲しい。この表は本紙がそれぞれの企業に直接聞き取り調査を行った数字である。調査対象は、基本的に、クリニック専用ブランドを持ち、国内法に準拠した健康食品を直接クリニックに販売している企業に限定している。ようは、他での流通チャンネルでも売ることの出来るサプリメントを、クリニック専業で販売している企業である。
それぞれの企業が、サプリメントを納入しているクリニック数に注目して欲しい。
それぞれ、企業としての立ち位置は異なるが、医療機関向けの営業担当はせいぜい1〜2人だ。それで、これだけのクリニック数をカバーしているのだ。
それぞれのメーカーが対応しているクリニック数だが、実は、それほど重なっていない。例えば富士化学工業は眼科、ニチモウは婦人科、B&Sは代替医療と歯科、グロービアは認知症外来というように、それぞれ、そのサプリメントに適した標榜科目を中心に広げているからだ。
それを考えると表のクリニックの件数が、意外に大きなものであることに気づくはずだ。
そして、売り上げの伸び率について、各社に聞き取り調査をしているが、それぞれの伸びが、クリニック数の増加によるものなのか、それとも一軒のクリニックからの発注量が増加しているのかを聞いてみたところ、ほとんどが取り扱いのクリニック数が増えたことによって、売り上げが伸びていると語った。
つまり、どの企業も昨年1年間で約100件、取り扱いクリニックが増加している。今年も同様にクリニック数が増加するのであれば、担当のスタッフも増加し、加速度的に扱いのクリニック数は増加していくであろう。その一方で、当然ながら、取捨選択されながら、生き残るブランドが確立されてくるであろう。しかし、ここに挙げた企業の多くは、切り捨てられることなく、生き残っていくに違いない。
それはなぜか?現時点で医療機関を開拓して行こうという意思を持てるということは、その製品に絶対の自信があるからだ。
以下に、それぞれのサプリメントの簡単な特徴を挙げてみる
医療機関専業サプリメント各社の特徴
富士化学工業『アスタリールACT』
同社はアスタキサンチンの世界的な原料サプライヤーで、メディカル向けの専業の部署を持ち、ここに上げた企業の中では、クリニック向けの営業が最も充実していると言える。
アスタキサンチンは、臨床分野では当初、眼精疲労など眼に関してのエビデンスが先行していたことから、眼科医を中心に展開を行っていた。近年、さらに臨床的なエビデンスの構築が進み、紫外線による皮膚老化の保護作用や、細胞膜の抗酸化作用、抗疲労など多様な機能を持つ抗酸化物質として、美容皮膚やスポーツなど、幅広い目的で使用されている。
現在、アスタキサンチンは世界的に期待されているサプリメント素材であることは間違いない。その礎を築いたのは富士化学工業といっても過言ではない。その同社が自社ブランドで製造するサプリメントは、絶対の自信の裏づけである。
グロービア『フェルガード』
米ぬかから抽出されたフェルラ酸とガーデンアンゼリカというハーブを原料とするサプリメント。東海圏を中心に認知症専門医が使用する。認知症の症状に対応し、アリセプトなど使用薬剤の処方のコントロールを行う『河野メソッド』の中で紹介され、使用されている。
日本ダグラスラボラトリーズ
説明の必要も無いかもしれないが、米国のドクター向け専業のサプリメントメーカー。代表的な製品はマルチビタミン・ミネラルの『UPX』などだが、DHEAやメラトニンなどホルモン製剤なども取り扱う。
製品のラインナップでは、医療機関向けで最大規模。どの診療科目でも必要なサプリメントは必ず揃う。モノによっては、錠剤が大きすぎるものがあるので、ピルカッターなどの工夫が必要だが、粒が大きいのは、必要量を少ない粒で摂取するための工夫。主要商品には、小粒のものもラインナップする。
B&Sコーポレーション『アルベックス』
日本の医療向け専用サプリメントの草分け的な存在。液剤の個食包装という独自の形態を持つ『アルベックス』は乳酸菌生成エキスで、基本的には腸内環境の正常化のための、プロバイオティクス・プレバイオティクスとして用いる。
単独でのがん予防効果やアレルギー抑制効果、カリエスリスクの低減効果など、エビデンスを多数持つが、サプリメントや医薬品の吸収効率を上げるための腸内環境の改善やデトックスの一環としてなど、他の治療やサプリメントとの併用効果も良く知られている。
当初は代替医療のクリニックを中心に活用が広がったが、キレーションなどアンチエイジングクリニックや、最近では歯科での活用が活発になっている。
サプリメントを使用してみて、反応や体感に疑問があるとき、『アルベックス』を併用することで、その効果を体感させたりする目的で使用できる。また、『アルベックス』単独の体感としては、便通や便臭などの改善として、実感できる。
医療機関での使用実績が長いだけに、サプリメント取り扱いのノウハウも多く持っていることも、同社の特徴である。
ニチモウ『AglyMax』
大豆イソフラボン・アグリコンの原料サプライヤー。『AglyMax』は同社が医療機関のみに供給するサプリメント。更年期障害のホットフラッシュ抑制や、不妊に対する効果など、エストロゲンと関連する、婦人科系の疾患に臨床試験の結果を多数持っている。女性更年期のホルモン補充の代替医療として、婦人科クリニックで使用されている。
また、女性だけでなく、男性の前立腺がんの抑制などの効果も示唆されている。
ヘルシーパス
日本人による日本人のためのサプリメント。医療機関向けのサプリメントとしては、この中では最後発。それだけに品質には気を配られており、体感も大きい。主要商品は、マルチビタミン・ミネラルや抗酸化サプリメントなどのベーシックなもの。
エル・エス コーポレーション『DPA』など
エルエスコーポレーションは、補完代替医療を行うクリニックに、医療グレードのメシマコブや核酸のサプリメントを提供してきた。
近年では、ヒアルロン酸やDPA(ドコサペンタエン酸)というω3脂肪酸のサプリメントの提供を始めている。
特にDPAについては、高脂血症治療薬のEPAと比較しても、血管内皮細胞の遊走能が高く、動脈硬化予防のサプリメントとして、期待の持てる製品だ。
立山化成『α‐リポ酸
医薬品・サプリメントのα‐リポ酸の原料メーカー。最終製品の販売ではないが、原末をハードカプセルに入れたものをバルク供給している。
甲陽ケミカル『グルコサミン』
グルコサミンの原料サプライヤー。早くから整形外科向けにグルコサミン単剤のサプリメントを供給している。単価は安い。しかし、原料メーカーが医療機関向けにボトリングしているため、変形性膝関節症などでは、かなりの患者がリピートしており、臨床現場でのエビデンスも充実している。
兼松ウェルネス・メディカルユース事業部
同社は、これまで紹介してきた企業とは別で、自社商品ではなく、一定のエビデンスのある各社のサプリメントを医療機関向けに卸販売を行っている。
サプリメントの使い方
食生活の不足を補うマルチビタミンやω3などは、万人に進めることが出来るが、それよりも一歩進めた機能性を求めるサプリメントには、使い方の工夫が必要だ。
CoQ10やL-カルニチン、α‐リポ酸など、もともと医薬品であったサプリメントは医療機関でも、比較的使いやすいと思われがちである。
しかし、うまく使いこなしている例は少ない。医薬品とサプリメントはその用途が違うことが多く、サプリメントとしての使い方を考えないとリピートはしない。
佐賀県の産婦人科でα‐リポ酸を肥満治療に応用し、成功している医師の例を紹介してみたい。
もともと妊婦の肥満治療目的に、食事療法を始めた光武産婦人科の光武和彦院長。食事療法に漢方薬を併用することで、驚くべき減量効果を得る。口コミで肥満患者が、数多く来院するが、高度な肥満の症例には、体重減少の停滞期が来る。
その停滞期にα‐リポ酸の市販サプリを試してみたが、思うような効果が得られなかったが、医薬品のチオクト酸アミドを試してみると、使用している漢方薬との高い相乗効果を感じたと言う。
そこで医薬品のチオクト酸の原料メーカーであり、サプリメントのα‐リポ酸の原料も供給している立山化成にコンタクトを取った。
立山化成に依頼したのはα‐リポ酸単剤の80mgハードカプセル。これを朝夕2回に大目の水で摂取することで、治療成績は飛躍的に向上したのだと言う。
具体的には既に10kg以上の減量をしていて、さらに減量が必要な患者に限って使用している。また、目標達成後も、体重維持のために継続する患者も多い。
体重の減少に対して、光武院長は大きな手ごたえを感じているが、患者さんからは、体重減少に加え、美容的な反響も大きいのだと言う。そのため、一度使用した患者は長期のリピーターとなってくれている。
光武院長はこれまで何種類ものサプリメントを使用してきたが、06年から今日まで、使用し続けているサプリメントとして、α‐リポ酸は同院の肥満治療のサポートに無くてはならない存在の一つになっている。
このように、必然性のある使用法であれば、クリニック、患者双方にとってサプリメントは継続するコミュニケーションツールとなりえるのである。
そうした意味ではグルコサミンもまた、整形外科にとっては、長期継続するサプリメントであることは間違いない。変形性膝関節症に対して、通常医療では、消炎鎮痛剤の処方が行われるが、あくまでも痛みを抑える対処療法でしかなく、グルコサミンはこれら、消炎鎮痛剤と比較しても、治療効果が高いことが、使用する臨床医から報告されている。
点滴療法とサプリメント
高濃度ビタミンC点滴のブームと共に、点滴療法を行うクリニックの急増は今後も続く。本紙編集部には最近ビタミンCと併用される点滴製剤、アミグダリンの問合せも寄せられている。
アミグダリンは、杏由来のビタミンB17製剤で、米国の代替医療では古くから使用されている。
また、高濃度ビタミンCと合わせて使用する経口のビタミンCサプリメントにも注目が集まっている。
本紙でも何度か紹介している扶桑化学工業の『持続型ビタミンC500&クエン酸』などのように、血中濃度を高く保つ工夫がされている製品に注目が集まっている。
もともと米国の高濃度ビタミンC点滴は、経口のサプリメントとの併用が大前提であった。その意味でも高濃度ビタミンC点滴を行うクリニックにおいては、経口のビタミンCサプリメントの導入は必須と言える。
厳密な点滴療法とは違うが、ビタミンC点滴と相性のよい血液クレンジングも、導入クリニックが増加している。血液クレンジングは、体外に出した血液にオゾンを暴露させ体内に点滴するが、同様の手法で、オゾン以外の刺激で血液を活性化させる方法も、日本に上陸しつつある。詳細は今後、本紙を通じて紹介してゆく。
遺伝子検査の今
こうしたサプリメントに代表される、アンチエイジング医療を行うとき、必要となるのは検査だということは、前号でも強調した。
抗酸化であればFRASの検査や、マルチビタミン関連では、血中のビタミンやマーカーを測定する、健康寿命ドックやサプリメント・ビタミンドックなどが、標準化されている。また、通常の健康診断レベルの血液検査を、単純に数値だけを読むのではなく、別の見方をするオーソモレキュラーメディスンの方法を用いる医師もいる。
さらに今年、拡大するであろう検査が遺伝子検査だ。G&Gサイエンスやジーンサイエンスなど数社がパッケージ化された遺伝子検査を提供している。
また、新たにこの分野に参入を始めるのが、代替医療や栄養療法の研究を行っているライフサイエンス研究所。同研究所の統括研究ディレクターの高橋芳樹氏は、遺伝子と栄養に関した事業を始めるなら、被験者の遺伝子の情報という先天的なものだけでなく、後天的な体質を合わせて、どのように評価し、伝えていくのか、また、個人情報を含めた論理的管理が重要です、と語る。
そのために同研究所が提供を始めようとしているのが、生活習慣病に関した遺伝子診断。生活習慣をコントロールすることで、疾病のリスクをコントロールすることが、他の分野に比べ容易だからだ。
同研究所の遺伝子診断は基本検査となる問診・血液検査と、遺伝子検査を組み合わせたもの。検査するSNPsは、がん物質の感受性と関わるCYP1A1、アルコール感受性と関わるALDH2、肥満に関わるβ3AR・UCP1・β2AR、食塩の感受性に関わるAGTなど。これらに尿中8‐OHdGによる遺伝子酸化損傷の度合いなども組み合わせる。
この遺伝子検査の特徴は、単にSNPsの有無から疾病リスクを判断するものではなく、そこから得た情報を被験者にどのように伝えるか、カウンセリングとフォローアップに力を入れている。そのための人材育成までもが視野に入れられている。
また、SNPsも尿酸排泄のトランスポーターやアディポネクチン関連遺伝子も視野に入れており、検査にラインナップする予定だ。
さらに、SNPsがあるかないか、だけではなく、遺伝子の量的な違いや発現量の違い、個体差なども考慮し、環境的な要因までを含めて、複合的に診断していくことを最終的な目的としている。加えて、従来ある血液や尿中のマーカー、タンパク質の解析などの手法も検討されている。
ライフサイエンス研究所では、この検査に賛同し、提携するクリニックを模索している。
遺伝子検査は基本的に、体質を把握し、疾病リスクを判断し、生活習慣をコントロールすることで、疾病リスクを減じるために用いられる。
しかし、SNPsから生活習慣病リスクを診るのとは別に、がん検診として、発がん遺伝子の発現や血中のフリーDNAなどから、『発がん状態』を診ているのがUDXヒラハタクリニックだ。
これはPETなどよりも早く、微小な状態のがんを発見するために用いられているものだ。
UDXヒラハタクリニックは、遺伝子検査のみならず、培養した自己のP53を用いた治療や、がん遺伝子治療までを行うことが出来る、がん検診・治療施設としては、日本最先端の施設と言える。同クリニックも、提携するクリニック受け付けている。
再生医療の今
再生医療が今後、日本の医療に果たす役割は大きい。ではアンチエイジング医療には、どのように活用したら良いのであろうか?
現在、再生医療の応用といえるアンチエイジング医療には、PRP注入、自己線維芽細胞培養、幹細胞由来タンパク抽出物の注入などがある。
自己血から血小板リッチな血漿を取り出して注入する、PRP注入については、マイセルのキットを使ったものが主流。
チリメンジワの改善などに使用されており、クリニック数も増加している。
幹細胞由来タンパク抽出物は、HARG療法などのように、発毛・育毛治療として活用される例や、フラクショナルレーザーやメソローラーと組み合わせて、皮膚の若返りに使用されるものなどがある。
注入される成長因子は、特定のドナーから採取された脂肪由来幹細胞が、培養される過程で産生するものを抽出している。多くは韓国製の製剤を使用している。
自己線維芽細胞培養は、耳の後ろの皮膚を採取し、そこから取り出した線維芽細胞を培養、活性化したものを注入するもので、顔全体に注入するものや、特定のシワに注入するものなどがあるが、コストが高いのが難点で、それほど普及するに至っていない。
これらに加え、自己の幹細胞を培養し、点滴したり、注入する再生医療も行われ始めてはいるが、まだまだ少数と言ってよい。
これから再生医療と取り入れようとするクリニックであれば、まずは先述したマイセルPRPなどを使用しながら、再生医療についての知識を深め、その上で踏み出すことをお勧めする。
今後、アンチエイジングクリニックでの現実的なメニュー展開について、参考となるよう、サプリメント・遺伝子検査・再生医療について紹介してみた。
(JHM91号より)