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MSMはイオウの運び屋 [JHM]

[ 2009/7/2 ]
生体内でカルシウム、リンに次いで豊富なミネラルがイオウである。イオウはタンパク質の豊富な魚や肉、卵、牛乳などに含まれるが、生体内では含硫アミノ酸やMSMなどのかたちでイオウとして摂取することになる。そしてビタミンB1や補酵素の構成要素として糖質、脂質の代謝に関与して、解毒としての有害物質の体外排出や胆汁の分泌を助けたりする。
含硫アミノ酸はS-アデノシルメチオニン、グルタチオン、タウリン、N-アセチルシステインの合成を促進し、また、植物に含まれるMSMは動物によって移行して、体内で含硫アミノ酸に取り込まれ体内で必要な組織へイオウを供給することになる。
いわばMSMは、「イオウの運び屋」としての役割をもつと言っていい。このMSMはアメリカで10年ほど前から関節の痛みや炎症の緩和に有効として、サプリメントとして注目され、日本でも8年前に健康補助食品としてその利用が認められた素材である。
MSMのエビデンスには、関節炎、関節リウマチ、季節性アレルギー性鼻炎などが報告されているが、日本のクロレラ工業では、米国バーグストロームニュートリション社の「MSM」を使って、抗炎症作用について、3タイプのモデルマウスを使用した基礎研究を行っている。
その結果、紫外線頻回照射による皮膚炎症モデル、卵白アルブミンに対する即時型膨張モデルそしてヒスタミン注射による●破行動モデル共に、MSMがそれぞれ炎症作用を有することが明らかにされている。
まず紫外線頻回照射による皮膚炎症モデルを使った試験では、ヘアレスマウスを用いてマウス背部皮膚に週1回、4週間43.2J/cm2のUVB照射を行った後、照射回数を増やし背中皮膚に炎症を起こさせて、MSMの防御効果をみた。塗布したMSMの効果測定には、炎症部位の面積を楕円形に近似させて皮膚 炎症面積を算出した。その結果、コントロール群では照射回数を増やした頃から顕著に炎症が生じたが、MSM群ではその炎症は軽度に留まっている。
また、炎症マーカーとして紫外線照射後の血清シアル酸含量の測定を行ったところ、コントロールでは顕著に増加したが、MSM群ではその増加は認められなかったという。
卵白アルブミンに対する即時型膨張モデルを使った試験では、OVA/アラムによってアレルギー反応を起こさせて、経時的に足の腫れを測定した。MSM水をマウスに飲用させた群では、膨張は抑えられたことがわかった。MSMにより、即時型の膨張反応が抑えられることが示唆されている。
ヒスタミン注射によってマウスの引っ掻き行動を観察した試験でも、コントロール群ではヒスタミンの用量依存的に引っ掻き行動がみられているが、MSM水を飲ませたマウスではその行動が抑えられることがわかった。




(JHM85号より)
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