国際かきシンポジウム
[ 2008/1/20 ]
世界かき学会が先日、中国の浙江省杭州市で開催された。
同会は、世界中の水産、特にかきに関する名士たちが一同に会する学会であり、その学会内で「第2回国際かきシンポジウム」が行なわれ、カキについて4つのテーマに沿った基調講演が行なわれた。世界10カ国から約100名のカキを専門とした研究者が集い、各々の研究成果を発表する場となった。
この4つのテーマとは、カキの疾病と防御及び環境品質観察と改良、カキ産業とカキ養殖管理における持続可能な発展に向けての戦略と技術、カキ資源の回復とカキの遺伝改良、カキ産業と人類の健康との関係におけるカキ生産プロセスと健康食品の4つであるが、最後のテーマが健康食品素材としてのカキについての発表であった。
これまで“カキ”のイメージはというと、単に海産物としての食材というイメージが強かったように思われる。しかし、カキをアンチエイジング素材として捉え、世界に対して発表が行なわれるということは初めての試みである。
もともとカキ肉は「海のミルク」と呼ばれるほど高タンパク食品であり、必須アミノ酸もバランス良く含有し、グリコーゲンや亜鉛、銅などの微量元素が豊富に含まれている。そのため、カキ肉自体に豊富に含まれる亜鉛や銅、鉄、セレンなどにより活性酸素の消去に役立つのではと言及されていただけに過ぎなかった。事実、西洋ではカキは食材として楽しむという風潮であり、ワインなどのアルコールと一緒に嗜むことが多い。
今回かき学会に参加した研究者も、シンポジウム開始前まではそのような認識であったのだが、アンチエイジング素材としてカキ肉エキスを取り上げた発表を聞き、驚きつつもカキ肉の健康に対する作用について意識付けられたのだという。
渡辺 貢氏
(JHM 第70号より)