アンチエイジングEBMファイル-FGF-7(発毛促進因子)の塗布による頭髪環境の改善度合い
FGF-7(発毛促進因子)の塗布による頭髪環境の改善度合い
日本EGF協会
(序)
FGFは繊維芽細胞のみならずさまざまな細胞に対し増殖、分化などの活性を示す多機能シグナル分子である。現在確認されているFGFファミリーは23種類でその一つが、FGF-7(別名KGF)である。KGFは、日本では角化細胞増殖因子、角質細胞増殖因子、ケラチノサイト増殖因子と訳され、その受容体は、舌、口腔粘膜、食道、胃腸、唾液腺、肺、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、乳腺、皮膚、眼球水晶体といった多くの組織上皮細胞に存在していることが明らかになっている。
発毛に関しては、FGF-7が毛乳頭細胞から産生され、毛母細胞に作用して毛母細胞の増殖、分裂を促すことで毛髪を成長させると解釈されている。こうしたことから、別名「発毛促進因子」と呼ばれ、多数の発毛研究に利用されてきた。しかし、多くの市販される発毛剤は、このメカニズムにおいてFGF-7を誘発するだけで、FGF-7そのものは全く配合されていないのが現状である。また、臨床データもほとんどない。
こうしたなか、日本EGF協会(NPO法人)では、外来性FGF-7での臨床試験を実施。使用したヒトFGF-7はE.Coli由来の凍結乾燥粉で日本化粧品工業連合会より表示名称:ヒトオリゴペプチド-5として化粧品原料登録された成分である。
(試験方法)
被験者(20歳代後半〜60歳代前半の薄毛を気にする人で、過去は発毛剤の使用や発毛サロンに通った経験がある)をA,B,C,Dの4グループ各10名にわけ、Aは男性で一日4μgのFGF-7を頭髪に塗布、Bは男性でFGF-7の配合していない溶液を頭髪に塗布、Cは女性で一日4μgのFGF-7を頭髪に塗布、Dは女性でFGF-7の配合していない溶液を頭髪に塗布した。A,Cグループには、60mlの水溶液に対してFGF-7を120μg配合した。
4グループ共、一日1回2ml(FGF-7 4μg)を清潔にした頭皮に直接塗布し、軽くマッサージをすることにし、90日間投与し続けた。
3ヶ月間の観察は、試験開始前に薄毛を観察し、投与終了後に毛量(本数)、毛髪の太さについて調べた。
(結果)
FGF-7投与群である、A(男性)グループでは毛量で70%、毛髪の太さでは80%が改善し、Cグループ(女性)では毛量で90%、毛髪の太さでも90%の改善率をみた。男性よりも女性でその効果が顕著だった。
一方、プラセボ群のB,Dグループは明らかに投与群に比べて改善率は落ちていたが、Dグループでは水溶液にヒアルロン酸、コラーゲンを配合したため、頭皮の環境を改善した可能性が示唆された。また投与群Aグループで、新たに発毛した毛髪の一部が白髪だった被験者が3名おり、その後の経過をみる必要がある。