「スマイルリフト術」の 「肝」はデザインと切開ライン・範囲
『シリーズ山本美容整形塾ももちろんだが、番外編の海外ライブ講習会も非常に勉強になる』との声から、同塾では過去、数多くの海外ミッションを組んできた。昨春開催した「国境を越えた技術交流」Dr.Choi韓国ソウル現地派遣ライブ講習会「埋没重瞼+目頭切開、眼瞼下垂修正の切開重瞼、下眼瞼形成(経結膜脱脂+皮膚切除術)」もその一つだが、その際Dr Choiと共に、韓国式の連続埋没重瞼と目頭切開(平賀法)ライブをみせてもらった医師がLee院長で、今年3月そのLee医師が主役となって「スマイルリフト切開術・フィラー術2症例ライブ講習会」がソウル江南区のCSC Lauren Clinicで開催された。韓国美容外科手術のイメージとして、ダイナミックな手法が多いと考えられている日本の医師もいるかもしれない。しかし、Dr.Choiの手術同様、Lee医師の手さばき、手術の進行もまた非常に繊細で、15名の参加医師らが大いに参考になったことは想像に難くない。韓国国内の医師に対してはもちろん、海外ドクターにその手技を公開するのは本邦初で、需要増と共に、この口角リフト術を実践する医師は増えたものの、トラブルも目立つ。「口筋にある上下左右のmuscleを解剖的に熟知し表情筋がどのような動きをみせるのか?」「左右対称にするには?」術後の瘢痕をどのように目立たせないかを工夫するか?」「笑った時とそうでない時で極端な違いをみせないためには?」など手術のポイントを前夜のレクタチャーとライブ供覧の術中にLee医師は詳しく指導した。
スマイルリフトは未熟な医師ではリスクは高い。韓国のみならず日本でも実際「ジョーカーフェイス」になってしまう症例が少なくない。しかし韓国で数少ない執刀ができるLee医師には「手術の肝」とそれを実践できるスキル、そして3年間で1000症例をこなす経験ももつ。
韓国では、スマイルリフトのスペシャリストとして片手の数もいないうちの一人といわれ、ここCSC Lauren Clinicに患者が後を絶たない。国内で人気という女子プロゴルファー Yang su Jin選手は、Lee医師がスマイルリフトで創り上げる「笑顔美人」のお手本としている女性だという。
もちろん彼女、整形ではない。来院する患者に彼女の微笑をみせ、限りなくその笑顔に近い口角リフトをするのだという。「モナリザの微笑」を現代に甦らせるLee医師のテクニックがまずはミッション前夜の講義から始まった。
翌日行うライブでは2症例が用意されるが、一人は切開術もう一人の患者はヒアルロン酸注入となるため、それぞれの術式を克明に解説していった。
「目鼻立ち、唇の黄金比率は無視します。一律にずべての患者さんにあてはまるわけではないから」
冒頭こう述べたLee医師は最もポイントとなる唇の厚み、広がり、口角、上口唇の曲線(若年と高齢の違い)などを示しながら、自らの考えを披露した。要約すると、上口唇ではなく下口唇のLabial Fissure Lineが重要であること、韓国では「ピーナッツくちびる」が好まれていることから、その際の赤唇の5つのボリュウム箇所を説明した。
次に解剖にはいり、スマイルリフトの手術では大頬骨筋、口角下制筋、口輪筋、オトガイ筋を熟知することが欠かせないとしながら、(上唇をあげる時の)オトガイ筋と(口角をさげる時の)下制筋が交わる口角筋軸は、表情をつくる際には重要であるが、手術では触らないことを強調した。
つづいて最も大切なデザインの解説にはいる。
上唇のラインを決める、挙げる方向を決める、挙げる部位を決めるという流れに沿ってわかりやすくスライドで述べた(ミッションの性格上、詳細は控える)。
皮切の範囲と切開ラインを三角形にすることを示したが、受講者らには翌日の手術でもう一度説明することが約束された。
「初期のころのスマイルリフトでは下制筋を部分的に触っていましたが、表情が戻らないケースもあり、現在では皮切のみで行う」
こうした症例経験を積み重ねてきたこともあり、症例検討では必ず術後の表情と笑った時の表情を確認しているようだ。
またLee医師、上唇の厚すぎる患者にはリダクション手術を行うことが少なくない。口角リフトを同時に行い、バランスのとれた上唇、下唇そして口角挙上を完成させるという。
リダクションで重要となることは「ドライとウエットの境界線を見極め、境界線より内側を切開」することだと指摘し、参加医師からは初めて耳にする術式の肝に感嘆の声があがった。
そしてレクチャーの終盤は、ヒアルロン酸注入による上下唇のふくらみ、厚みの調整、カーブラインによって、スマイルリフトをより自然で美しいものにするためのポイントを述べた。
その際、15か所に及ぶ注入部位を示し、Lee医師が実践する重要な6か所について公開した。注入は上唇は上から下へ、下唇は下から上に入れていくことも確認された。
また、局麻の量、部位によるヒアルロン酸の注入量なども詳しく説明していった。
こうしたレクチャーを受け、翌日ライブ供覧がCSC Lauren Clinicで繰り広げられた。
因みに、クリニックでの治療費は切開術が200万ウオン(23万円)、フィラーが60万ウオン(6万5千円)、リダクションが160万ウオン(18万円)である。
(JHM126号より)