いつまで続く脱毛エステの集客合戦
違法すれすれの宣伝は成果報酬Webサイト(アフィリエーター)も加担
脱毛ニーズがひと段落する季節になってきた。(本来エステでは除毛、減毛という表記が正しいが文脈上あえて脱毛としています)
そして年末頃から持ち直すのが例年の動きだが、今年はこの時期でも電車の中吊りやインターネットで脱毛エステの広告を多く見る。
大手脱毛エステサロンの中には、会員数が200万人を超える規模にまで成長している企業もある。脱毛事業の他、会員向けに化粧品や美容機器の通販や旅行事業等も行っており、脱毛事業で囲い込んだ顧客へ多角的なサービス紹介を行っているようだ。
これらの脱毛サロンは、初回のトライアル金額を数百円~1000円程度の廉価な価格にすることで来店を促進し、その後カウンセリングと称し他コースの追加提案によりセルアップをしていく。
機種にもよるが、毛周期の関係で実際に来店する周期は2~4か月に一度程度になる。前述の大手エステサロンの場合、人気のため予約が数か月待ちということもあるため、消費者は脱毛を行いたい時期になかなか通えないというトラブルも起きつつあるようだ。
その他の脱毛サロンも同様に、初回のトライアルを目玉にしたキャンペーンを実施しているところが多いが、このところよく目につくのが月額制のコース設定である。
たとえば、初月のみ500円程度のキャンペーン価格で、次月以降は月額1万円前後を支払っていくプランだ。一括前払いの場合、広告等に表示される金額も大きくなってしまうため、特に若い消費者の心理的抵抗が大きい。月額制の導入はこういった消費者の不安を軽くすることが目的のようだが、この月額制のサービス内容や定義がサロンによって様々なため、仕組みを理解できないまま初月の価格の安さに惹かれてカウンセリングに行ってしまう消費者もいるようだ。
脱毛サロンの月額制にはいくつかのパターンがある。ひとつは、脱毛に行かなくても毎月固定の金額を支払っていくタイプで、この場合、初期の契約の際に施術回数等は決めないサロンが多い。体毛が濃い場合は安い月額費用で何度も通うことができるためリーズナブルといえるかもしれない。
もう一つの月額制は、今までの一括前払いをそのまま月額支払いに変更した、いわゆる分割払いのパターンだ。以前はエステのローンは規制が厳しくなっていたが、ここに来て再び分割払いを行うサロンが増えてきている。中には、信販会社のローン審査が通らなかったのか、通常のクレジットカードで回数指定の分割払いをさせるサロンもある。
クレジットカードの金利は、15回以上での支払いの場合は年利15%前後となるため、エステ通いだけではなく日常の消費生活にも影響を与えかねない。
逆に、ローン払いの手数料をサロン側で負担するというところもあるのだから、脱毛エステ業界の過酷な集客戦争の一面を垣間見ている気さえする。
さらにこの分割払いによる脱毛には二通りがあり、施術回数に対して料金を設定しているケースと、契約期間によって料金を設定しているケースの2つがある。回数を決めている場合には、分割で支払った後でも脱毛の施術に行くことができる。逆に期間で縛っている場合は、店舗の空き状況や自分のスケジュールによっては満足いく回数を通えない可能性もあるというのだから、何とも言えない。
競合が増えていくにつれ、脱毛サロンの集客合戦も激しくなっていく。
一括前払いの大手サロンは、安く見せるため初回トライアルキャンペーンを数百円に設定し、大々的に広告を出稿し新規顧客を集める。そして集まった顧客が払う一括前払い金を次の〝軍資金〝として、さらに大規模な広告出稿を行っていく。
逆に広告費が限られている中小の脱毛サロンは、成果報酬型の広告(アフェリエイト)を利用し、アフェリエイター(広告主に代わってWebサイト上でサービスを紹介する人)が運営する様々な口コミサイトで、美味しい部分ばかりが強調された記事として、どんどんWeb上に氾濫していく。
脱毛サロンの認知度もあがり手軽な価格になったため、10代でも通っている女性が増えてきた。
だが、そもそも脱毛は医療行為である。しかし平然と「エステの脱毛行為」がまかり通っている。合法と違法のスレスレと言われる脱毛エステ業界は、売上を上げたいサロン運営会社と、そこに送客することで業務を行っているアフェリエイターのみで成立しているような気さえする。
モラルも顧客への視点も欠落しているように感じる脱毛エステ業界の戦いは、いつまで続くのだろうか。
(JHM123号より)