免疫の維持がアンチエイジング
“予防”を組み込むことでクリニックの特色が
オリジン生化学研究所 所長 前田 浩明 農学博士
昨年、風評被害の影響で打撃をうけた免疫素材。しかし、免疫は身体を司る重要なファクターであるため、見過ごすことはできない。糖鎖という新たな視点から免疫を見つめなおす、オリジン生化学研究所の所長 前田 浩明農学博士に免疫と消化機能について述べていただいた。
「免疫を維持することは一つのアンチエイジングです」と前田先生は語る。「免疫は加齢と共に低下します。免疫が低下した時こそ、生活習慣病に気をつけなければなりません。」と、免疫の重要性について述べていただいた。
「最近、食べ物との関わりをあまり重視していない風潮のような気がします。腸(消化)の機能を維持することがアンチエイジングにつながるのです。」と、食との関わりを重視することがアンチエイジングにつながるのだという。
「消化機能は粘膜を保持することで保たれます。粘膜は繰り返し再生される細胞なため、老化で低下しやすいのです。正直なところ、消化機能はまだまだ分からない部分が多いですが、フォーカスをあてることが重要だと考えています。」
「消化機能は抗がん剤や抗生物質などの薬物を服用することで低下します。そのため、抗生物質をあまり使いすぎないで欲しいと思っています。消化機能を温存することで、健康食品の供給によって薬物の代替となることもあります。」
「どんな機能を持つ“食”でも、粘膜が低下していると全く働きを示しません。だからこそ、腸管を健康に保つことが重要なのです。」と、消化機能を“温存”することが免疫に深く関わるのだという。
消化機能を温存するためには、薬物を使用しないことが一番であるが、それにはどうしたらいいのか、「薬物を使わないようにするには予防や衛生管理に気をつけることです。衛生観念の欠如も問題だと思っています。」と、予防だけでなく衛生管理についての問題点も挙げられた。
これからのクリニックでのビジネス展開について、「今後行なわれるであろう規制緩和(混合診療など)により、サプリメントが治療の補助として貢献すると思います。既存の対処療法に“病気にならない体作り”としての予防を加えることで、各クリニックの特色が出て、差別化となるのではと思っています。」と、語っていただいた。
オリジン生化学研究所が販売する発酵古代米「スーパーオリマックス」は、先述した前田先生の考えが存分に組み込まれた機能性食品。発酵古代米にはヘミセルロースオリゴ糖(オリザロース)、アントシアニン、GABAが主な成分となっている。
オリザロースは古代米の発酵過程で種皮の部分が酵素分解されることで生成されたオリゴ糖である。ガラクトース、アラビノース、キシロース、マンノースなどから構成されるヘテログリカンで複雑な構成となっていることから、他のオリゴ糖と比べても強い活性を有しているのだという。
オリザロースは弘前大学との協同研究により、マクロファージの活性化作用が確認されており、発酵古代米は千葉大学との協同研究によりNK細胞の活性化が確認されている。
同社では、医師や薬剤師など医療業界を中心とした「日本臨床食物機能研究会」の設立に係っており、今後更なる多糖類の研究・発表に力を注ぐという。
食とは“噛む”こと
大手がやらない事をやる事がビジネスチャンスに
富士見養蜂園 代表取締役 角田 汎造氏
今、健康食品業界は岐路に立たされている。
健康食品でもトクホだけが健康にいいとチラつかせているように見え、単一成分の機能性だけで健康食品の良し悪しを語っているように感じられる。
そこで、これまで不可能と言われた事に対しコロンブスの卵的発想で覆し、現在も新たなアイデアを形にしつつある富士見養蜂園 代表取締役 角田 汎造氏に、健康食品のあり方を述べて頂いた。
「食とは噛むことです。なので、世間一般の剤型サプリメントは極論すると薬といっても過言ではないでしょう。健康食品が薬化しつつある現状に疑問を感じています。」と独自の考えを持つ角田氏。「健康で一番大切なのは脳と心だと思います。ただ単にサプリメントを摂取するのではなく『おいしい』と感じることが必要です。おいしいと感じるには噛むことが不可欠だと思います。」
食とは噛むという観点から同社では、「現在、噛むサプリを試作中です。ごま、大豆、納豆菌とカスピ海ヨーグルトを混ぜたフリーズドライの非加熱クッキーの様なものです。」と新たな構想を話していただいた。
「最近では、代替食が売れていますが、納豆とヨーグルトの組み合わせというのは聞いたことがありません。様々な文献を見たところ、納豆とヨーグルトの両者共に含まれる“ポリアミン”が、健康にはとても重要であることが窺えます。この商品は、老人食として最適であると考えています。」
噛むサプリとは別に、「トランス脂肪酸が世界中で問題となっていますが、国内でもすぐに問題となるでしょう。そのため、トランス脂肪酸ゼロのマーガリンも企画しています。それはカスピ海ヨーグルトマーガリンです。」と、こちらもこれまでヨーグルトからオイルは取り出せなかったという前例を、コロンブスの卵的な発想により実現しつつある。
なぜこのように新たなアイデアが生まれてくるのかを聞いてみたところ、「ビジネスに対し常に危機感を持っているので、色々なアイデアを考えつくのだと思います。」と語る。さらに、「私自身が健康でありたいと思っているので、自分が食べたいものを作っていくことが、ひいては世の中の役にたつと思っています。」
アンチエイジング医療をビジネスとして捉えた際、クリニックの採るべき道を尋ねると、「大手が行なわない事を中小が行なわなければ生き残っていけないと考えています。医療でも同じ事が言えるのではないでしょうか。足下を見ないで先だけを見ると失敗することが多いです。足下を見つめなおすことで、新たなビジネスチャンスが見つかると思います。」