DR中間の幹細胞Methodに受講者驚きの声
脂肪吸引と独自のSVF分離テクニックで肌細胞の若返り
JAASとして4回にわたり実施してきた「Stem Cell Therapyと美容アンチエイジング」シリーズは、学術団体としての一般社団法人JAASと、教育トレーンングの窓口JAAASアカデミーの住み分けに伴い、「再生医療塾」として昨年末、再スタートをきった。昨年12月に続き、指導医として同塾の塾長を務めたのは中間 健医師であったことはいうまでもない。4月に行われた「Stem Cell療法 美容アンチエイジング再生医療塾」では、昨年同様、動き出した幹細胞療法の最新の法案の流れを中間 健医師が解説しながら、自らが開発に関わりKFDA認可の韓国製・自動分離抽出装置を使った、幹細胞治療の実際を、講義とライブライブ実演で繰り広げた。今年1年をかけて決定する運用ガイドラインに抵触することなく、プライベートクリニックでも簡単にそして驚くほど効果的な新しい幹細胞注入メソッドは、昨年の発毛セラピーに続く応用編その2回目として、肌細胞の若返りの全貌を明らかにした。中間医師が考案した最大のポイントは、培養しない少量の幹細胞を含むSVFを如何に効果的に有用性をもたせるか?というもので、そのために特殊なScaffold製剤と成長因子を含むPRPあるいは、ヒアルロン酸(Scaffold)によって、StemCellの体内での固定化をはかり、幹細胞の活性化を促すもので、ライブ実演ではモデルの術直後の肌質の変化に受講者からは驚きの声があがった。
講演の前半を中間医師は、再生医療の規制の進展状況に費やした。概略の内容は以下のとおりである。
再生医療新法に関わる2法「安全性確保法案」と「改正薬事法」は、周知のとおり昨年11月20日の参議院本会議で可決成立し、同27日に公布された。これによりiPS細胞や体性幹細胞などの細胞加工物を用いた再生医療を実施する医療機関に対しては、ガイドラインに準じた治療をしているかどうかを第三者機関が審査し、厚労相に再生医療提供計画書の提出を義務付ける。
「培養しないSVF療法」は
新法の規制に抵触せず、有用なStemCellの回収率高い
一方、その再生医療や細胞治療をリスクに応じて第1種、第2種、第3種と分類し、レベルに相応した審査と実施手続きを設けることもほぼ固まった。しかし運用段階ではまだ紆余曲折の様相を呈していることは否めない。認定再生医療委員会など第三者機関の委員の選定や、想定しているリスクに応じた分類の変更などである。とりわけ危惧されているのが、分類いかんによっては治療の危険性が過大評価されかねず、実施する医療機関への負担が過度に増えることだ。
現在検討されているリスク分類の枠組みでは、中程度に自己脂肪幹細胞を用いた豊胸術、再建術(脂肪幹細胞による腎疾患治療は高リスクに分類)が位置づけられているが、これとてもまだ流動的だ。さらに、「リスク要因」の判断基準には、細胞の調整過程、新規性、純度、均一性、恒常性、安全性の項目があり、また、治療法でも投与部位、投与経路など分類をするうえでの多くのを指標が横たわっており、現在想定される枠組みが大きく崩れる可能性も否定できない。
新法では、安全性に関わる規制が強化されることは間違いないが、幹細胞を培養しない美容アンチエイジング治療は緩やかな基準となる公算が大きい。そしてクリニックには届出制のみしか求められないという。
多額の投資やイニシャルコストがかかる培養センター併設型クリニックと違い、多くのプライベートクリニックでは朗報といえる。
さて中間医師が次に本題の幹細胞をテーマにした講義に入った。
まず概説するのが幹細胞の定義と基礎だ。その定義と性質の説明に入りながら、「脂肪採取のあとに遠心分離にかけて分離したペレット状の塊がSVF(Stromal Vascular Fractio間質系幹細胞)だが、意外と知られていなのが酵素コラゲナーゼの役割」と断ったうえで、美容医療で導入されるある幹細胞分離法のなかには、この酵素処理をせずStemCell療法と謳うものがあると指摘。誤解を与えかねない幹細胞セラピーの流布にくぎをさした。
そして中間医師は、SVFには血管新生増殖作用、炎症反応を抑える働きがあることが科学的にも確認されており、脂肪細胞注入、培養幹細胞注入とSVF注入の3者比較をマウスで実験した知見を紹介した。「明らかに脂肪細胞に比べSVF群では血管新生がみられる。また培養群に比べてもSVFは遜色がなかった」として、多大なコストと申請許可を必要とする培養幹細胞を採用するよりも、SVFが有利であるとした。
こうしたSVFの分離にあたり、中間医師からは徒手による分離抽出と機械による抽出法の説明がされたが、治療にかかる時間と、細胞分離の均一性やSVF濃度を比較した場合、機械の優位性を指摘した。さらに自らが開発に関わりKFDA認可の韓国製・自動分離抽出装置「CID-300」と、従来機種とを比較しながら、その投資額とイニシャルコストにも言及した。
それによると、明らかに同機種の優位性は揺るぎがない。
SVFを得るための脂肪細胞は50cc(因みに豊胸治療で行われる同種の分離機では200ccの脂肪細胞を必要とする)を二の腕から吸引し、それを遠心分離して最低限のSVFを取り出す。
前回の発毛編で使った3種カクテル(SVF、PRP、特殊Scaffold製剤)とは違い、今回のSkin Rejuvenation編では、SVFのみの注入を眼窩周辺と頬に行い、それ以外のフェイスにはSVFと分離された脂肪細胞、PRPに加え、ヒアルロン酸を混合したものを注入していった(幹細胞の分離抽出、純度の高いSVFの作成法、吸引時の注意点、注入法など、まだまだ詳細な説明が講義とライブ実演を通して行われたが、講習会の性格上控えています)。
受講者からはライブ終了後、モデルの術直後の肌質の変化に驚きの声があがった。
(JHM118号より)