ケトン体(βヒドロキシ酪酸)に医師から高い関心
[ 2016/8/1 ]
俄かに注目されるサプリメントがある。ケトン体サプリメント「KetoCaNa」で海外からの医師個人輸入で入手できる。βヒドロキシ酪酸のカルシウム/ナトリウム塩の粉末品で、アメリカではスポーツニュートリションとして最近、愛用されているようだ。本紙でも紹介した福田 一典医師(銀座東京クリニック院長)が論文を引用しながらその有用性を述べているので、紹介したみたい。
ケトン体の一種、βヒドロキシ酪酸は体内で脂肪酸が分解して産生される脂肪酸代謝産物で、飢餓時にグルコース(ブドウ糖)の代わりに脳の神経細胞のエネルギー源として利用される。
βヒドロキシ酪酸には抗炎症作用や抗老化作用などさまざまな健康作用が報告されており、最近の論文でも、「βヒドロキシ酪酸はヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、酸化ストレス耐性遺伝子の発現を亢進させ、酸化ストレスを抑制する」ことが示されていると福田医師は強調する(Suppression of oxidative stress by β-hydroxybutyrate, an endogenous histone deacetylase inhibitor.)(内在性のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるβヒドロキシ酪酸による酸化ストレスの抑制)Science 339(6116): 211-4, 2013年
一方、絶食や飢餓状態やケトン食で産生されるケトン体のβヒドロキシ酪酸は酪酸のHがOHに変わっただけで化学構造が似ている。βヒドロキシ酪酸は長期的な飢餓状態では6~8mMにも達するので、飢餓状態などで産生されるβヒドロキシ酪酸がヒストンのアセチル化を介して遺伝子発現に作用して、細胞機能に影響するのではないかという仮説のもとに、βヒドロキシ酪酸にヒストン脱アセチル化酵素阻害作用があるかどうか検証する研究が行われているという。
その研究結果では、 1)培養細胞やマウスの動物実験でβヒドロキシ酪酸はクラスⅠヒストン脱アセチル化酵素を阻害する。
2)飢餓や直接βヒドロキシ酪酸を投与する方法でマウスの血中のβヒドロキシ酪酸の濃度(0.6~1.5mM)を上昇させると、腎臓など複数の臓器においてヒストンのアセチル化が増えていることが確認できた。
3)βヒドロキシ酪酸によって発現が亢進する遺伝子として、細胞周期の停止や酸化ストレス耐性にかかわる転写因子をコードしているFoxo3a遺伝子や、酸化ストレス耐性遺伝子のMt2が同定された。
4)酸化ストレス耐性に重要は働きを果たしているMnスーパーオキシドジスムターゼおよびカタラーゼは転写因子FOXO3aの標的遺伝子である。βヒドロキシ酪酸の投与によって、マウスの腎臓において、FOXO3aのみならず、Mnスーパーオキシドジスムターゼとカタラーゼの発現量もタンパク質レベルで顕著に増加していた。
5)除草剤のパラコートをマウスに投与して酸化障害によるタンパク質のカルボニル化を測定すると、βヒドロキシ酪酸を投与されたマウスでは、酸化ストレスによって引き起こされるカルボニル化を顕著に抑制した。
こうした結果から、βヒドロキシ酪酸は内在性のヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、酸化ストレスに対して抵抗性を高める遺伝子のプロモーター部分におけるヒストンの高アセチル化を引き起こし、これらの遺伝子発現を亢進することによって酸化ストレスを軽減するということが証明されたと福田医師は導き出した。
酸化ストレスに対する抵抗性の亢進は寿命延長やがん抑制に有効であることが明らかになっており、さらにヒストン脱アセチル化酵素の阻害が、寿命の延長やがん細胞の分化誘導や増殖抑制に効果があることも多くの研究で明らかになっています。 つまり、絶食やケトン食による健康作用や寿命延長作用や抗がん作用の一部は、βヒドロキシ酪酸によるヒストン脱アセチル化酵素の阻害作用が関与している可能性を示唆していると結論付けた。
福田医師は、がん治療の観点から中鎖脂肪酸を多く使ったケトン食を推奨しているが、ケトン体を増やすことは、最近では美容やダイエットに有効であることも報告されているという。 糖質を制限し、脂肪酸の燃焼を増やし、ケトン体を多く出させる中鎖脂肪ケトン食に関しては、その効果を信じない人もいる一方で、福田医師からは「実際にがん治療に使ってみてその効果を実感している」と肯定の立場をとる。
いずれにしてもケトン体に関しては、多くの基礎研究から美容と寿命延長と抗がん作用を同時に達成できることを示す科学的エビデンスが増えていることは間違いない。 こうしたケトン体(βヒドロキシ酪酸)の有用性をもつケトン体サプリメント「KetoCaNa」は、医師個人輸入として購入することができるが、その際薬款申請などの手続きが必要となるため面倒さを嫌うドクターは、輸入代行業者を通じて購入されてみてはどうだろうか?
また、本稿で紹介したケトン体については、8月28日の「メディカルニュートリションマスター」第2回講座で、福田医師が「アンチエイジングとがん予防の接点~がん予防の立場からみたアンチエイジングのメカニズムと具体的方法」として講義する。さらにJAAS東京ライブフォーラムの初日9月25日(日)にも、「ケトン食とケトンサプリメント」の内容で講演いただく。
ケトン体の一種、βヒドロキシ酪酸は体内で脂肪酸が分解して産生される脂肪酸代謝産物で、飢餓時にグルコース(ブドウ糖)の代わりに脳の神経細胞のエネルギー源として利用される。
βヒドロキシ酪酸には抗炎症作用や抗老化作用などさまざまな健康作用が報告されており、最近の論文でも、「βヒドロキシ酪酸はヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、酸化ストレス耐性遺伝子の発現を亢進させ、酸化ストレスを抑制する」ことが示されていると福田医師は強調する(Suppression of oxidative stress by β-hydroxybutyrate, an endogenous histone deacetylase inhibitor.)(内在性のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるβヒドロキシ酪酸による酸化ストレスの抑制)Science 339(6116): 211-4, 2013年
一方、絶食や飢餓状態やケトン食で産生されるケトン体のβヒドロキシ酪酸は酪酸のHがOHに変わっただけで化学構造が似ている。βヒドロキシ酪酸は長期的な飢餓状態では6~8mMにも達するので、飢餓状態などで産生されるβヒドロキシ酪酸がヒストンのアセチル化を介して遺伝子発現に作用して、細胞機能に影響するのではないかという仮説のもとに、βヒドロキシ酪酸にヒストン脱アセチル化酵素阻害作用があるかどうか検証する研究が行われているという。
その研究結果では、 1)培養細胞やマウスの動物実験でβヒドロキシ酪酸はクラスⅠヒストン脱アセチル化酵素を阻害する。
2)飢餓や直接βヒドロキシ酪酸を投与する方法でマウスの血中のβヒドロキシ酪酸の濃度(0.6~1.5mM)を上昇させると、腎臓など複数の臓器においてヒストンのアセチル化が増えていることが確認できた。
3)βヒドロキシ酪酸によって発現が亢進する遺伝子として、細胞周期の停止や酸化ストレス耐性にかかわる転写因子をコードしているFoxo3a遺伝子や、酸化ストレス耐性遺伝子のMt2が同定された。
4)酸化ストレス耐性に重要は働きを果たしているMnスーパーオキシドジスムターゼおよびカタラーゼは転写因子FOXO3aの標的遺伝子である。βヒドロキシ酪酸の投与によって、マウスの腎臓において、FOXO3aのみならず、Mnスーパーオキシドジスムターゼとカタラーゼの発現量もタンパク質レベルで顕著に増加していた。
5)除草剤のパラコートをマウスに投与して酸化障害によるタンパク質のカルボニル化を測定すると、βヒドロキシ酪酸を投与されたマウスでは、酸化ストレスによって引き起こされるカルボニル化を顕著に抑制した。
こうした結果から、βヒドロキシ酪酸は内在性のヒストン脱アセチル化酵素を阻害し、酸化ストレスに対して抵抗性を高める遺伝子のプロモーター部分におけるヒストンの高アセチル化を引き起こし、これらの遺伝子発現を亢進することによって酸化ストレスを軽減するということが証明されたと福田医師は導き出した。
酸化ストレスに対する抵抗性の亢進は寿命延長やがん抑制に有効であることが明らかになっており、さらにヒストン脱アセチル化酵素の阻害が、寿命の延長やがん細胞の分化誘導や増殖抑制に効果があることも多くの研究で明らかになっています。 つまり、絶食やケトン食による健康作用や寿命延長作用や抗がん作用の一部は、βヒドロキシ酪酸によるヒストン脱アセチル化酵素の阻害作用が関与している可能性を示唆していると結論付けた。
福田医師は、がん治療の観点から中鎖脂肪酸を多く使ったケトン食を推奨しているが、ケトン体を増やすことは、最近では美容やダイエットに有効であることも報告されているという。 糖質を制限し、脂肪酸の燃焼を増やし、ケトン体を多く出させる中鎖脂肪ケトン食に関しては、その効果を信じない人もいる一方で、福田医師からは「実際にがん治療に使ってみてその効果を実感している」と肯定の立場をとる。
いずれにしてもケトン体に関しては、多くの基礎研究から美容と寿命延長と抗がん作用を同時に達成できることを示す科学的エビデンスが増えていることは間違いない。 こうしたケトン体(βヒドロキシ酪酸)の有用性をもつケトン体サプリメント「KetoCaNa」は、医師個人輸入として購入することができるが、その際薬款申請などの手続きが必要となるため面倒さを嫌うドクターは、輸入代行業者を通じて購入されてみてはどうだろうか?
また、本稿で紹介したケトン体については、8月28日の「メディカルニュートリションマスター」第2回講座で、福田医師が「アンチエイジングとがん予防の接点~がん予防の立場からみたアンチエイジングのメカニズムと具体的方法」として講義する。さらにJAAS東京ライブフォーラムの初日9月25日(日)にも、「ケトン食とケトンサプリメント」の内容で講演いただく。