周知のとおり、再生医療新法に関わる２法「安全性確保法案」と「改正薬事法」は、０３年１１月２０日の参議院本会議で可決成立し同２７日に公布されたが、昨年１１月２７日に運用ガイドラインも正式に定められ施行された。そして約５か月を経過したが、２０１６年年初の段階で第２種、第３種の再生医療等提供計画がそれぞれ委員会を通じて地方厚生局や厚労省に提出され、２０９６施設の認可がおりた。しかしここにきて、第２種の特定認定再生医療等委員会のみならず、第３種分類に関わる委員会でさえ、その審査基準にバラツキがあり、審査基準の統一性に欠けるとの指摘をうけ、厚労省では見直しに向けた動きもあるという。

２０１６年年初の段階で第２種、第３種の再生医療等提供計画がそれぞれ委員会を通じて地方厚生局や厚労省に提出され、２０９６施設の認可がおりたが、おおよその内訳は三種が９割以上、残りが幹細胞治療を行う２種分類の医療施設だ。 ３種のうち７割を超えるのが歯科クリニックで、インプラントの骨造成で多用されるＰＲＰに対する認可で、２割ほどが美容医療でのＰＲＰ治療となっている。残り１割でリンパ球活性化療法や樹状細胞を使った治療施設とみられる。 ２種分類で委員会（表参照）に名を連ねるなかには、体性幹細胞などの細胞加工物を用いた再生医療を実施する医療機関として「湘南鎌倉総合病院特定認定再生医療等委員会」や「慶應義塾特定認定再生医療等委員会」もあり、すでに後者の委員会から審査を終え意見書が厚労省に提出されたのち、当該クリニックに認可を出したといわれている。そもそも「特定認定再生医療等委員会」は、高度な審査能力や第三者性をもつものとなっており、第１第２種に分類される再生医療は厳しい審査基準を課せられるため、認可されにくい。　 しかしここにきて先例がでてきたことから、幹細胞を使った再生医療施設に対する認可が続いている。 一方、リンパ球活性化療法の医療施設やＰＲＰ療法を行う歯科クリニックや美容医療施設などが対象となる第３種認可は、昨年の「駆け込み需要」から、「申請、認可待ち」となっていた１０００件を超える医療施設に対して、年を超えて早々に３種申請の認可がおり、その数は先述のとおり。 ところがここにきて、第２種の特定認定再生医療等委員会のみならず、第３種分類に関わる委員会でさえ、その審査基準にバラツキがあり、審査基準の統一性に欠けるとの指摘が少なくない。 とりわけＰＲＰ治療など第３種申請の「駆け込み需要」をこなすため、地方厚生局がその処理能力を超える業務を受けて認可をとってきたことや、第２種分類の体性幹細胞に関わる治療計画に対してもそれぞれの委員会から厚労省に提出された申請、審査基準にバラツキがありながら、認可を出したことが問題視されているようだ。 こうした声を受け、厚労省では見直しに向けた動きもあるという。

再生医療新法 再生医療新法に関わる２法「安全性確保法案」と「改正薬事法」は、０３年１１月２０日の参議院本会議で可決成立し同２７日に公布されたが、昨年１１月２７日に運用ガイドラインも正式に定められ施行された。 再生医療のリスクに応じた三段階の提供基準と治療計画の届け出などの手続き、さらには細胞培養加工施設の基準、許可などについても盛り込まれた。これによりｉＰＳ細胞や体性幹細胞などの細胞加工物を用いた再生医療を実施する医療機関に対しては、ガイドラインに準じた治療をしているかどうかを第三者機関が審査し、厚労相に再生医療提供計画書の提出を義務付ける。 再生医療を目的として細胞治療をリスクに応じて第１種、第２種、第３種と分類し、レベルに相応した審査と実施手続きが進められており、ｉＰＳ細胞はいうまでもなくＥＳ細胞、体性幹細胞、培養表皮、軟骨さらにはリンパ球活性化療法や樹状細胞療法などその対象範囲は広い。このうち、リンパ球活性化療法や樹状細胞などは第３種に、さらにＰＲＰなど美容医療で多用される再生医療技術は相同利用（厚労省課長通知　省令第３条第４号）であれば同じように第３種のリスクに分類され、厳しい審査が課せられる第２種への分類から免れた。また幹細胞については培養細胞を用いた「治療目的」の再生医療については第２種に組み込まれたが、培養を用いない幹細胞で「美容分野」での治療は予想どおり第３種のカテゴリーにおさまった。　 届出を怠って、第３種の当該再生医療行為を行った場合は、３年以下の懲役か３００万円以下の罰金または併科が課せられる。