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連載:メディカルユースの化粧品製造に向けて No1<

[ 2016/4/17 ]
「いかにローカルに、いかにグローバルに」動き成長し化粧品市場そしてユーザーが求める製品開発を提案していけるか?そんな信念と熱意を持ち続けている酒井 良明・プロテックジャパン代表取締役に同社が歩んできた足跡とこれからの取り組みについて取材をかけた。

この言葉の意味するもの その象徴が昨年、愛媛県松野町の四万十源流地域に工場立地の協定(愛媛県および松野町と)を締結したことだ。 今年工場が操業する予定の敷地約1160平方㍍には桃の葉、ヤマブドウ、柑橘類、カワラヨモギ、漢方やハーブなどの農産物を自社栽培や契約栽培もしながら、その原料から工場で化粧品・スキンケア製品を製造していく。酒井代表のふるさとでもあるこの愛媛の地で、工場新設は地域活性化の起爆剤となることはもちろん、雇用創出もこの工場は担う。 「最後の源流ともいわれる四万十の自然の中で安全で良質な原料を収穫し、京都本社の研究・抽出拠点で新規有効成分を見出していく。また弊社が共同研究をお願いしている奈良女子大並びに奈良先端科学技術大学・大学院とは引き続き産学連携の中であくまでもサイエンスの目で有用な化粧品エキスを解明し製品化していくことはいうまでもありません」(酒井代表) ローカルな地から日本のみならず世界に発信できる化粧品づくり。今やグローバリゼーションの波は日本のモノづくりとて例外ではない。いや日本製品こそ、世界市場で勝ち抜く高付加価値製品の真骨頂であるはずだ。 酒井氏はそう見抜いてきたからこそ、同社が世界を代表する化粧品製造のプロフェッショナル集団になることを追い求めてやまない。 「たとえば松野町のお年寄りにもお化粧についてお困りだったり悩んでいることは少なくないはず。一方、本社を置く京都は世界で最も有名な日本の観光地であり古都である反面、その文化、風習、風土はある意味ローカルな色合いを持つ。その京都に製造拠点をもち京都ブランドの美容製品を世界に発信していくことはもちろん、松野町のお年寄りためにフォーカスした商品提案も決して無駄にはならない。これこそローカリズムとグローバリズム双方を考えた市場開拓の視点だと思います」 こうした自信の裏には確かな足跡と着々と事業の拡大をつづけてきた背景がある。 同社は今年完成する松野町の工場の稼働によりさらに事業拡大へと進むが、現在、京都本社の製造および開発拠点(京都府相楽郡精華町)をはじめ、自社ブランド「ハホニコ」を販売する関連会社(大阪あべのハルカスに所在)、企画・プロデュースを受け持つ大阪オフィス(大阪・天王寺区)、東京オフィス(東京・港区)さらには、インドネシア、上海にも拠点を展開しており、グループ総額で年商約40億円の規模を誇る。 このグループ会社を一代で築きいまなお第一線で陣頭指揮をとる酒井代表だが、若き青年時代、美容師のプロフェッショナルをめざし修行を重ねる。やがてそのたゆまぬ努力と生来の熱意と探究心が美容サロンを次々に拡大し、一躍業界で名をはせることに。しかし、美容師としてのプロ根性はやがて、職人としてではなくプロ美容師が現場で培ったヘアケア製品の使用感、効果、ユーザー目線からのニーズをベースに自らレシピーを考案し製造することになる。 平成6年、現在の会社が設立する4年前のことだ。個人事業プロテック・ジャパン研究所創業だった。その後、自らが開発したブランド「ハホニコ」が大成功を収め、本格的な化粧品OEM企画・製造の拠点となる京都本社工場を構えるに至る。 酒井代表、現在でも多くの研究員、企画スタッフと議論を重ねながら自らがこだわる製品作りを行うが、シャンプー、トリートメント、育毛剤(一部医薬部外品も製造)、ヘヤケアのためのオイル製品など、「頭皮のフィールドはとくにスペシャリスト」と自負するため、医薬品基準の製造工程から新たなプロダクツを次々に市場に投入している。そして自社、OEM共にヒットを続けている。 いまは大実業家となった酒井氏だが、その多彩な才能は美容師として成功した足跡をみれば疑いようもない。その一つに美容師時代、すでにメイクアップアーティストとのコラボで従来の美容業態に一石を投じた人でもあったという。 本紙でたびたび取り上げてきた東京皮膚科形成外科の池田 欣生医師(JAAS日本アンチエイジングエイジング外科・美容再生研究会理事長)もまた、メイクアップアーティストとのコラボで、美容医療の新たな世界を切り拓いてきたドクターとして知られるが、酒井氏もまた自ら追い求めてやまないヘアケア・スキンソリューションとしての商品開発を美容医療のステージで融合させていきたいとしている。 「美容医療のプロフェッショナルである美容皮膚科や美容形成の先生方と私どもとでエビデンスのあるマテリアルを見出しながら、安全で確かな薬理作用をもちなおかつ使用感がある化粧品の開発をしていきたい」 そう話す酒井氏のこのストーリーは、単に共同開発してクリニックオリジナル製品の販売にとどまらない。 クリニック専用もしくはドクターブランドをいかにプロデュースして販促に結び付けていくかまで考える。  ホンモノの商品はヒットしなければ意味がないとまで言い切る。  事実、最近同社に舞い込むOEMの依頼には美容皮膚科はじめクリニック専用の化粧品需要が増えており、レチノール、EGFなどメディカルユースの原料を処方した製品受託がとりわけ増えているという。もちろん小ロット対応のOEM化粧品も製造可能であることはいうまでもない。 その製造拠点が京都の学術研究都市(相楽郡精華町)にある本社工場であることは先述のとおりだ。徹底した衛生管理と品質管理で医薬品水準の製造環境を有しクラス1000相当のクリーンルームを備え、100%RO水を使用して小~大の乳化釜や充填機で製造されていく。また同社のR&Dを支えるラボには高性能液クロ、抽出・精製分離カラムをもつ液体クロマトグラフィー分取精製装置、SEM(電子顕微鏡)、皮膚画像解析カウンセリングシステムVISIA Evolutionなど充実の分析、解析機器群を設置し専門研究員が新たなマテリアルの発掘、検証を行っている。 ここが同社の心臓部ともなり、最先端の皮膚科学、毛髪科学に基づいた新規成分の開発や、産学協同研究での「菌体からの新規機能性成分の解明」などが続けられている。 次号では、この舞台裏をR&Dの様子そして工場のさらに詳しい全貌そして、産学協同研究の一方の拠点奈良女子大、奈良先端科学技術大学・大学院の最新研究の進展事情を明らかにしたい。    (つづく)
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