美容医療でも導入していない口角挙上術を初公開
JAASアカデミー主催の第1期歯科アンチエイジング美容塾の全8回コースのうち、国内研修の各論編残り2回が3月、4月終わった。6回「リップリフト 上唇小帯切除術・口角挙上ヒアルロン酸・糸リフト」、7回「知っておきたいインプラント骨造成術とシミュレーション実習」をテーマに、リップリフトでは本邦初の糸による口角リフトとヒアルロン酸による口角挙上のコンビネーション・リフトを指導医の中村 徳三、朋美両医師がデモライブを繰り広げ、会場からは驚嘆の溜息が漏れた。本施術は美容医療の世界でもまだ導入されていない。口唇周りの治療に独自の理論と施療を実践してきた中村歯科医師だからこそ考案した「スマイルリフト」だからだろう。国内シリーズ最終を迎えた第7回のインプラント実習では、韓国オステム社の協力を得て、上顎洞の挙上を模型とインプランターキットを使って、中国大連での口腔外科・歯科美容術解剖・治療研修前の予備トレーニングを行った。5月の解剖実習を終え全カリキュラムを修学する第1期生は「JAAS歯科認定医」を授与されるが、1期途中からでも05年9月から再開される第2期にまたがっての受講で20単位以上の要件を満たせば「歯科認定医」資格を受けることができる。(申込みはJAASアカデミーのホームページhttp://www.jaas-academy.comから)
6回「リップリフト 上唇小帯切除術・口角挙上ヒアルロン酸・糸リフト」での実習では受講した歯科医それぞれに豚肉が配られからおもしろい。口腔内の麻酔注射に慣れているとはいえ、歯科医にとって外側からの口唇、口角への麻酔や埋入は戸惑うはず。
歯科塾の講師、中村歯科医らが「豚肉を使って麻酔の侵入点、侵入角度を学ぶ」ために、ユニークな実習のかたちとなった。
今回も、受講者一人ひとりに、徳三DDS、朋美DDSの熱血指導は続いた。
こうした実習の合い間に中村講師らが交互に、リップリフトに関わる上唇小帯切除術・口角挙上ヒアルロン酸そして糸リフトの施術法をスライドで概説した(講習会の性格上くわしい内容は控えさせていただく)。
そして実習が済んだあと、まずは徳三DDSの本邦初!の特殊なショートスレッドによるスマイルリフト術がデモ実演される。受講者が直視またはモニター映像をみながら術中、解説が加えられたがとりわけポイントとなった術式の肝は、「侵入点の浸麻のやり方」「糸の埋入レイヤーと口唇まわりのどのあたりにどういう角度で糸をいれていくか」であった。
続いてコラボレーションを行った朋美DDSからは、「キューピット唇にするためのヒアルロン酸注入と口角挙上をより完成させるためのヒアルロン酸の注射のテクニック」をデモによって供覧していった。
(糸によるスマイルリフトは美容医療の世界でもまだ導入されておらず、口唇周りの治療に独自の理論と施療を実践してきた中村歯科医師だからこそ考案した「スマイルリフト」であるため、受講者も直視のみで供覧し動画、写真撮影は一切NGとした)
国内研修の最後となる第7回「知っておきたいインプラント骨造成術とシミュレーション実習」では、韓国オステム社の協力を得て、上顎洞の挙上を模型とインプランターキットを使ったトレーニングが行われた。
第1期の修了ミッションとしての位置づけをもつ中国大連での口腔外科・歯科美容術解剖・治療研修前の予習セミナーでもある。
実習に先立ち、徳三DDSからはレクチャーが行われ、インプラント治療では骨量のない患者のためのGBR(人工骨を補てんする骨造成)の習熟が欠かせないと述べた。また、サイナスリフト、ソケットリフト、スプリットクレフトは技能の訓練によってある程度のスキルが身につくが、歯槽堤の増大や延長などは修練した歯科医でもむずかしい治療であると強調した。
また骨造成術に欠かせないアイテムがメンブレンの役割であるとして、いかに軟組織と硬組織(骨組織)を確実に遮断するかというスペースメーキングが、インプラント治療では問われることも付け加えた。
こうした講義、解説をもとに実習に移っていったが、オステム社のインプランターキットやドリリング構造が安全で初心の歯科医にも容易に使えるとして、上顎洞挙上の実習に今回、同社のトレーニングキットが用意された。
受講の歯科医らは、中村 徳三講師の指導手順の一挙手一投足に真剣に注視し耳を傾け、それぞれ与えられた模型とドリリングキットそして歯科用具を使って、トレーニングに入った。
実習もほぼ終了したのち、朋美DDSから6回にわたるシリーズ講習の中から、ポイントとなる試問が全員に配布され、回答を求めた。
「本試験の答案による合否は出せないが、講習を通じてどこまで理解して頂いたかを確認の意味でこの試問を投げかけました」としつつ、回収した答案の内容では受講者の理解度が高いことがわかり、満足の表情を浮かべていた。
中村塾の大いなる成功を物語った一コマといえよう。
5月、中国大連での中村講師らの熱血指導はまだつづいていく。
(JHM126号より)