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ダチョウ抗体が美容市場へ

[ 2014/2/10 ]
京都府大・塚本教授が開発の「ダチョウ卵黄エキス」で応用品相次ぐ
鳥インフル騒動で日中の風邪予防市場が火付け役


ナローネ化粧品
アクネ桿菌抗体でニキビケアローション、通年型花粉症アレルゲン抗体のミストスプレー販売へ



今も猛威を振るう中国の鳥インフルエンザは、決して対岸の火事として済まされない。だからこそ、日本は、隣国のこうした公衆衛生上の課題に技術協力を惜しまない。昨年、その成果をみた象徴的出来事をご存じだろうか?京都府立大動物衛生学教室の塚本 康浩教授が開発した「H7ダチョウ抗体」が、H7N9鳥インフルエンザに対して中和することが立証され、抗体を特殊加工で塗布した「ダチョウ抗体マスク」が、庶民の強い味方となった。このマスク、本家の日本でも爆発的にヒットして、日中の風邪予防市場で3億枚は優に超える売上げを記録したという。
そして今年、このダチョウ抗体を配合した化粧品と花粉対応のミストスプレー品が開発され、エステサロン、美容クリニック限定で配荷される。話題のダチョウ抗体に迫る。

ダチョウ抗体は、文科省が主導した産学官連携の研究の中で、京都府立大の塚本教授が突き止めた。
もともと動物界では、ダチョウが極めて強い免疫力をもっていることは知られていた。その生育環境ゆえに身に着けた自己防御能なのだろう。体に入った病原菌に対抗して抗体をつくる能力に優れていることから、研究ではダチョウに病原菌や抗原を注入して、ダチョウの卵にある卵黄から抗体をつくらせ、抗体を安定的に精製する製法に成功したという。
こうして製品化へと結びついたのが「ダチョウ抗体マスク」である。
そしてその後の応用開発で花粉症、さらにはニキビ対策として、このダチョウ抗体(卵黄抽出エキス)の活用の道が広がっていく。
その一つがニキビケアのためのローション『ナローネ オストリッチAGローション』で、アクネ桿菌抗体を卵黄でつくらせ、その抽出エキスを配合した。エキスは120℃でも有用性を発揮する耐熱性を有し、酸アルカリに強い(pH3.9 pH11でも機能保持)。エキス精製では安定性が高く原料のロット差が少ない特性をもつ。
ただ京都府立大のバイベンチャーで製造されたエキスはすべて特許う成分「ダチョウ卵黄エキス」として登録されていることから、製品化に際しては販路ごとに販売契約を結ぶことから、ローションについては日本ビューティコーポレーション系列のナローネ化粧品が任されている。すでに同社では第三者機関で十分なモニター試験をしており、使用後3週間でニキビ肌が改善する知見を得ているという。
ダチョウ卵黄エキスを使ったニキビケアローションは、一般的なニキビケアに使われる配合成分のそれと決定的に違う。つまり殺菌成分サリチル酸などは、毛穴に詰まった皮脂にできるアクネ桿菌だけでなく、肌にある常在菌までも殺菌してしまう。その結果、常在菌のバランスを崩し、pHバランスまでも乱していく。場合によっては長期的な副作用も否めない。
これに対して、このローションは悪玉菌のアクネ桿菌と増殖した黄色ブドウ球菌だけを死滅させ、善玉菌などの常在菌バランスを保つという。ローションにはこのほか、天然ビタミンEトコフェロール加水分解処理をした黒豆エキス、茶葉エキスさらに、潤い肌のための美肌成分である核酸、トリプルヒアルロン酸などを配合する。

一方、ダチョウの産卵卵黄に花粉アレルゲンを注入して抗アレルゲン抗体を大量に産生することもすでに確認されていることから、スギ、ヒノキの花粉症対策として、マスクが昨年から発売されている。インフル向けの抗体マスクと共に、やはりこのマスクも売れ行き好調だ。
花粉症患者の皮膚へのバッチテストからもダチョウ抗体を塗布した被験者では、アレルギー反応が確実に抑えられており、実際の購入者からのヒアリングでもその評価は高い。
先述のナローネ化粧品では、花粉アレルゲン抗体をもつ卵黄エキスをこうした塗布タイプのマスクではなく、ミストスプレー『ナローネ オストリッチPBミスト』として製品化し、ローションと同じ美容ルート限定で、今年2月正式に発売する。 
しかも、その花粉アレルゲン抗体には、スギ、ヒノキに加え、ブタクサ、イネにも対応花粉アレルゲン抗体を処方したスプレーのため、イネ花粉アレルギーに悩む春から秋の時期、また秋に発症するブタクサ花粉症にも有効だ。
いわば通年型の花粉症対策としてこのミストスプレーを提供していくことになる。
「ミストスプレーのため、マスクをしなくても花粉症対策ができます。化粧水型の見えないマス製品ともいえます」と販社のナローネ商品担当者は話す。
事前モニターでは、スプレーを照射してから戸外に外出すると、アレルギー症状らしき反応はほとんど出ないとしている。
◎本稿のお問い合わせは☎03-3671-8731またはemail:reception@nihonbeauty.co.joまで。


(JHM116号より)
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