JAASライブ講習会で中間Methodの発毛治療明らかに
[ 2014/1/6 ]
多額の投資、厳しい規制の「培養療法」に比べ導入し易い
肝はSVF抽出と「3種のカクテル法」
再生医療安全性確保法案は、周知のとおり今秋の国会で法案通過の後、来年1月からは有識者による諮問委員会が設立され、2014年7月をメドに具体的な運用基準が決定していく。新法では、安全性に関わる規制が強化される一方で、幹細胞を培養しない美容アンチエイジング治療は緩やかな基準となる公算が大きい。そしてクリニックには届出制のみしか求められない。多額の投資やイニシャルコストがかかる培養センター併設型クリニックと違い、多くのプライベートクリニックでは朗報といえる。こうした中JAASでは6月、9月と二回にわたって第4回「Stem Cell Therapyと美容アンチエイジング・日露における培養幹細胞療法の実際」を開催。そしてこの12月、シリーズ5回目の「再生医療塾」を実施した。動き出した幹細胞療法の最新の法案の流れと、同塾の指導医・中間 健医師が前機種をさらに改良、開発しKFDAの認可もとった自動分離抽出装置を使った、最新の発毛セラピーについて、講義とライブ実演を繰り広げた。運用ガイドラインに抵触することなく、プライベートクリニックで簡単にそして驚くほど効果的な新しい幹細胞注入メソッドは、今まで中間医師が一切明らかにしてこなかったノウハウで、今回その全貌が明らかになった。中間医師が考案した最大のポイントは、培養しない少量の幹細胞を含むSVFを如何に効果的に有用性をもたせるか?というもので、そのためにScaffoldと成長因子を含むPRPによって、StemCellの体内での固定化をはかり、幹細胞の活性化を促すもの。講義では、ルネッサンスクリニック新宿院の笠井 敬一郎医師からもロボット植毛術の発表が行われた。
ロボット植毛術の名医・ニューヨークのバーンスタインMDに自ら門を叩き、そのスキルを学び、そしてロボット入手にこぎつけたという笠井医師。今やアジアで最多の症例数を数えるまでになった、日本でのスペシャリストだ。
午前の部の講義編では笠井医師が最初に講演を行った。冒頭「ロボット植毛術は、脳外科でのスキル、サイバーナイフの開発メーカーが投資してシステムを作り上げた。私自身がもともと脳外科出身ということもあり、その興味は計り知れなかった」と述懐する。
自身も植毛クリニックでドナー株を一本一本採取していくFUE植毛を5年間で130症例ほど経験したが、術後の瘢痕は避けがたかったという。それがこの自動ロボット植毛で、1年で150例を超えるオペをこなしているというから驚かされる。採取ではミクロン単位の誤差しか生まれず、訓練を積めばそのオペレーションは決して難しくないという。
笠井医師は、動画も交え、頭皮の毛束状態を解析して自動でニードルが侵入していく模様を解説する。その侵入角度、深さ、強度さらには株採取の範囲、採取する株数、剃毛の長さなどを説明しながら、その作業すべてにわたりコンピューター制御してくれることを強調した。
また、来年にはARTAS社がさらに進化バージョンのロボットを完成予定で、現在スタッフによる手作業での植え込みをもフルオートメーションで行えるようになる、と話す。
FUEに比べ格段に瘢痕が目立たないとはいえ、創傷治癒を早めるために、細胞外マトリックスであるScaffoldも使うことを明らかにした(後述中間医師による幹細胞療法で使うScaffoldとは異なるが、講習会の性格上、詳細は控える)。
笠井医師の講演そして質疑応答が終わったのち、本ライブ講習会の主役・中間医師の講演に入った。
幹細胞をテーマにした講義でまず概説するのが幹細胞の定義と基礎だ。その定義と性質の説明に入りながら、「脂肪採取のあとに遠心分離にかけて分離したペレット状の塊がSVF(間質系幹細胞)だが、意外と知られていなのが酵素コラゲナーゼの役割」と断ったうえで、美容医療で導入されるある幹細胞分離法のなかには、この酵素処理をせずStemCell療法と謳うものがあると指摘。誤解を与えかねない幹細胞セラピーの流布にくぎをさした。
そして中間医師は、SVFには血管新生増殖作用、炎症反応を抑える働きがあることが科学的にも確認されており、脂肪細胞注入、培養幹細胞注入とSVF注入の3者比較をマウスで実験した知見を紹介した。「明らかに脂肪細胞に比べSVF群では血管新生がみられる。また培養群に比べてもSVFは遜色がなかった」として、多大なコストと申請許可を必要とする培養幹細胞を採用するよりも、SVFが有利であるとした。
講義では本題の発毛セラピーへと向かう。
男性型脱毛の治療計画では、中間医師とてまずはクリリ療法(ミノキシジル、フェナステリド)を優先するという。
その上で、さらに中間医師オリジナルのSVF、Scaffold,PRPを混合した発毛セラピーを選択していく。
SVFを得るための脂肪細胞は50cc(因みに豊胸治療で行われる同種の分離機では200ccの脂肪細胞を必要とする)で、それを遠心分離して最低限のSVFを取り出す。そしてScaffoldとPRPとの3種混合で頭皮に注射していくという。頭皮の注入深度は1.5〜2mm、つまりバルジ領域に到達する深さだという。
いくつかの症例を映写しながら、中間医師は「1回注入である程度の効果は出る。効果がわかるのは6〜8か月くらい。患者さんによっては1年に2回の治療を施した方がいいケースもある」という。
講義終盤に差し掛かり、「DR中間メソッド」の肝となるScaffoldの選択とその配合、さらには最小自動幹細胞分離抽出装置「CD-300」の動画解説へと移った(講習の性格上詳細は控える)。
午後の部、場所を講義会場から東京皮膚科・形成外科(池田 欣生総院長)に写し、実際の発毛ライブセラピーが実施された。
ライブ講習会と「CD‐300」については、2014年新年号116号で述べてみたい。
(JHM115号より)
肝はSVF抽出と「3種のカクテル法」
再生医療安全性確保法案は、周知のとおり今秋の国会で法案通過の後、来年1月からは有識者による諮問委員会が設立され、2014年7月をメドに具体的な運用基準が決定していく。新法では、安全性に関わる規制が強化される一方で、幹細胞を培養しない美容アンチエイジング治療は緩やかな基準となる公算が大きい。そしてクリニックには届出制のみしか求められない。多額の投資やイニシャルコストがかかる培養センター併設型クリニックと違い、多くのプライベートクリニックでは朗報といえる。こうした中JAASでは6月、9月と二回にわたって第4回「Stem Cell Therapyと美容アンチエイジング・日露における培養幹細胞療法の実際」を開催。そしてこの12月、シリーズ5回目の「再生医療塾」を実施した。動き出した幹細胞療法の最新の法案の流れと、同塾の指導医・中間 健医師が前機種をさらに改良、開発しKFDAの認可もとった自動分離抽出装置を使った、最新の発毛セラピーについて、講義とライブ実演を繰り広げた。運用ガイドラインに抵触することなく、プライベートクリニックで簡単にそして驚くほど効果的な新しい幹細胞注入メソッドは、今まで中間医師が一切明らかにしてこなかったノウハウで、今回その全貌が明らかになった。中間医師が考案した最大のポイントは、培養しない少量の幹細胞を含むSVFを如何に効果的に有用性をもたせるか?というもので、そのためにScaffoldと成長因子を含むPRPによって、StemCellの体内での固定化をはかり、幹細胞の活性化を促すもの。講義では、ルネッサンスクリニック新宿院の笠井 敬一郎医師からもロボット植毛術の発表が行われた。
ロボット植毛術の名医・ニューヨークのバーンスタインMDに自ら門を叩き、そのスキルを学び、そしてロボット入手にこぎつけたという笠井医師。今やアジアで最多の症例数を数えるまでになった、日本でのスペシャリストだ。
午前の部の講義編では笠井医師が最初に講演を行った。冒頭「ロボット植毛術は、脳外科でのスキル、サイバーナイフの開発メーカーが投資してシステムを作り上げた。私自身がもともと脳外科出身ということもあり、その興味は計り知れなかった」と述懐する。
自身も植毛クリニックでドナー株を一本一本採取していくFUE植毛を5年間で130症例ほど経験したが、術後の瘢痕は避けがたかったという。それがこの自動ロボット植毛で、1年で150例を超えるオペをこなしているというから驚かされる。採取ではミクロン単位の誤差しか生まれず、訓練を積めばそのオペレーションは決して難しくないという。
笠井医師は、動画も交え、頭皮の毛束状態を解析して自動でニードルが侵入していく模様を解説する。その侵入角度、深さ、強度さらには株採取の範囲、採取する株数、剃毛の長さなどを説明しながら、その作業すべてにわたりコンピューター制御してくれることを強調した。
また、来年にはARTAS社がさらに進化バージョンのロボットを完成予定で、現在スタッフによる手作業での植え込みをもフルオートメーションで行えるようになる、と話す。
FUEに比べ格段に瘢痕が目立たないとはいえ、創傷治癒を早めるために、細胞外マトリックスであるScaffoldも使うことを明らかにした(後述中間医師による幹細胞療法で使うScaffoldとは異なるが、講習会の性格上、詳細は控える)。
笠井医師の講演そして質疑応答が終わったのち、本ライブ講習会の主役・中間医師の講演に入った。
幹細胞をテーマにした講義でまず概説するのが幹細胞の定義と基礎だ。その定義と性質の説明に入りながら、「脂肪採取のあとに遠心分離にかけて分離したペレット状の塊がSVF(間質系幹細胞)だが、意外と知られていなのが酵素コラゲナーゼの役割」と断ったうえで、美容医療で導入されるある幹細胞分離法のなかには、この酵素処理をせずStemCell療法と謳うものがあると指摘。誤解を与えかねない幹細胞セラピーの流布にくぎをさした。
そして中間医師は、SVFには血管新生増殖作用、炎症反応を抑える働きがあることが科学的にも確認されており、脂肪細胞注入、培養幹細胞注入とSVF注入の3者比較をマウスで実験した知見を紹介した。「明らかに脂肪細胞に比べSVF群では血管新生がみられる。また培養群に比べてもSVFは遜色がなかった」として、多大なコストと申請許可を必要とする培養幹細胞を採用するよりも、SVFが有利であるとした。
講義では本題の発毛セラピーへと向かう。
男性型脱毛の治療計画では、中間医師とてまずはクリリ療法(ミノキシジル、フェナステリド)を優先するという。
その上で、さらに中間医師オリジナルのSVF、Scaffold,PRPを混合した発毛セラピーを選択していく。
SVFを得るための脂肪細胞は50cc(因みに豊胸治療で行われる同種の分離機では200ccの脂肪細胞を必要とする)で、それを遠心分離して最低限のSVFを取り出す。そしてScaffoldとPRPとの3種混合で頭皮に注射していくという。頭皮の注入深度は1.5〜2mm、つまりバルジ領域に到達する深さだという。
いくつかの症例を映写しながら、中間医師は「1回注入である程度の効果は出る。効果がわかるのは6〜8か月くらい。患者さんによっては1年に2回の治療を施した方がいいケースもある」という。
講義終盤に差し掛かり、「DR中間メソッド」の肝となるScaffoldの選択とその配合、さらには最小自動幹細胞分離抽出装置「CD-300」の動画解説へと移った(講習の性格上詳細は控える)。
午後の部、場所を講義会場から東京皮膚科・形成外科(池田 欣生総院長)に写し、実際の発毛ライブセラピーが実施された。
ライブ講習会と「CD‐300」については、2014年新年号116号で述べてみたい。
(JHM115号より)