エステ導入は漢方相談前のカウンセリング空間 [JHM]
[ 2012/2/13 ]
埼玉県深谷市「大慶堂漢方薬局」
更年期など、漢方の独自処方とオイスターで
美容系クリニックや歯科医院でエステ部門を併設するところが少なくない。いわゆるメディカルエステ、デンタルエステの開設だ。医療施設で受けられるエステ術には信頼性が高い。こうした試みは“敷居の低いクリニック”としての効果も生み、医療側の増患・増収へと結びつく。そして今、漢方相談薬局がエステサロンを開設、漢方のカウセンリング・処方をする傍ら、施術を行っていることをご存じだろうか。独自性が求められるホームファーマシーのリポート第2弾、そんな薬局を紹介する。
日本の近代資本主義の礎を築いた渋沢 栄一生誕の地、埼玉県深谷市に、その薬局はある。「大慶堂漢方薬局」だ。そこはエステサロン?か美容クリニック?かと、疑ってしまうほど外観は薬局とは思えない。
入店すると広いスペースを構え、気軽に漢方相談できる大きなテーブル、そしてプライベートを重視した個室までが何部屋がある。開放的な調剤ルームには、独自に調剤・処方する漢方各種が円筒形の容器に入れられ棚一面に収まっている。その配置が何ともセンスがいい。まるで、都心のクリニックにある「サプリメント外来」コーナーを見るようだ。
この店舗の特長はそれだけに留まらない。「漢方スチーム」、そしてエステ施術としての「フェイシャルトリートメント」「リンパ・ドレナージュ」などと、およそ薬局とは思えない取り組みをしている。しかし、この独自の業態展開が漢方相談へと結びついているからおもしろい。
「漢方スチーム」は、エステでみられるヨモギなどを使った流行りの「漢方スチーム」ではない、漢方の陰陽五行説に基づいた自然薬「薬草」を処方したもので、導入するにあたり東京北区の松下先生(デュ・アン漢方薬局)に師事するという力の入れよう。
生薬、ハーブ5種類の独自処方でスチームをかける。処方は生活者(患者)の症状別にブレンドするという。
一方、エステ術では単なる“マッサージ”に終わらない。「スタッフがからだを触ることでその人の状態がわかる。弱い部分を把握して、漢方処方によって補っていきます」(岡 理絵薬剤師、漢方カウセンラー)と、いわばこの店のエステ部門は漢方調剤へのカウセンリングの一つと捉えていいだろう。
「大慶堂漢方薬局」には薬剤師2名の他に、登録販売者をおく。彼らがこうした処方前の施術、カウセンリングをし、薬剤師が適切な調剤・処方を施していく。エステの施術料は思ったほど高くない。「漢方相談というと構えてしまうお客(生活者)さんが多い。気軽にできる施術にまずは来店されて、漢方相談へと結びつくケースが少なくありません」(大谷 まり子取締役)ということからも、エステ開設が時流に乗っただけでは決してない。
「患者(生活者)さんには、子宝相談、アトピー性皮膚炎、不眠・自律神経、更年期、慢性疾患などその悩みは多い。この症状を根本的に治す手立ては、医師からも決定的な回答が得られない。私どもは、それを中医学と日本の漢方をあわせながらベストな回答と処方で応えています」(岡薬剤師)。
そしてここでも「活性型牡蠣エキス ワタナベオイスター」が、この漢方処方に加わることになる。因みに、同店はじめ4店舗をもつ大慶堂グループは、オイスター取扱・販売額で全国トップ3に入る。
「グループの薬剤師そして登録販売者スタッフの多くが、休日返上で勉強をしてくれるのがありがたい。中でも渡辺オイスターセミナーでは、多くの勉強をさせてもらっています」(大谷取締役)と、その意欲が販売に結びついていることは間違いない。
(JHM101号別冊より)