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海藻コンブの機能性に迫る [JHM]

[ 2011/11/2 ]


海藻の食文化は、日本古来からなじみは深い。ワカメ、ヒジキなど共に昆布は今なお食卓にのぼり「健康食」として認知されている。昆布といってもその種類はマコンブ、ミツイシコンブ、ナガコンブ、羅臼コンブ、利尻コンブなど多い。そんなコンブも市場に出荷される際、葉状体の先端部、両側部、下部(仮根)は除去されてしまう。そして、その廃棄される仮根に、今までの生物学的な知見を覆す働きがあることが近年、明らかになってきた。仮根は岩に張り付くさまから『ガニアシ』(カニの足に近似)と呼ばれ、他の葉状体よりも豊富なミネラル類やアルギン酸、フコイダンなどの多糖類、食物繊維が含まれている。そして何より、ヒトへの健康に及ぼす機能性、有効性が次々と解明されてきた。抗腫瘍作用、乳がん細胞の増殖抑制効果、抗菌活性など『ガニアシ』による有用性は広い。さらに、ここ最近、アンチエイジングやメタボリックSに対しても強い活性をもつことが確認され始めた。生体内メカニズムのキーワードとなるのは「アディポネクチン」の関与説で、『ガニアシ』がその分泌量を促進するという。アディポネクチンは、脂肪細胞が分泌するサイトカイン(松澤裕次医師らが1996年に発見)として知られ、糖尿病、高血圧、動脈硬化をはじめある種のがん疾患にも、関与しているとして研究が盛んだ。今最も注目される、この脂肪細胞から分泌される「善玉ホルモン」は、海藻類の仮根部『ガニアシ』の摂取によってそのスイッチが入るというわけだ。伝統食が秘める機能性に迫る。

『ガニアシ』についての研究は盛んだ。大学や公的研究機関はじめ製薬メーカーなどから実施された基礎、臨床試験は少なくない。最近では、こうした研究・学術領域を横断的にまとめた「ガニアシ研究会」も発足。その有効性について薬学、医学、農学、食品機能などの視点からアプローチを行う。

なかでも代表的な研究は抗腫瘍作用であろう。『ガニアシ』には、海藻類に特長の豊富なフコイダン(LフコイダンとGAフコイダン2種)が含まれることから、そのアポトーシス誘導作用による乳がんなどが確認されている。In vitro試験ではあるものの、胃がん、大腸がん、肝がん、前立腺などの接着性がん細胞にアポトーシスを誘導する活性をもつことが、東大農学部の研究チームで明らかになっている。

海藻類である『ガニアシ』、身近な有用性と言えば「頭髪への効果」と期待するはずだ。研究会ではもちろん検証を試みたことはいうまでもない。モニター調査として実施したもので、30〜70歳の男女110名に4カ月、ガニアシのカプセル剤(サプリメント)を朝2カプセル、夜2カプセル、一日1,000㎎服用させ、その改善効果をみた。その結果、4カ月後にはおよそ7割のボランティアが「有効」「著効」判定を得ている。

さて『ガニアシ』に含まれる栄養素性をみてみよう。
ミネラル類は昆布の2倍、またアルギン酸、フコイダン、セルロースなどの多糖類、食物繊維が1.7倍もの含有量である。ミネラル類でとくにカリウムが豊富で、カルシウムやMnも昆布に比べ多い。

こうした『ガニアシ』の特徴的なミネラル組成は、食塩感受性の高い高血圧症の人には恩恵をもたらす。食塩感受性をもつモデルラットを使った動物試験では、食塩から『ガニアシ』エキスに置き換えたところ、血圧の上昇を有意に抑えたという。ナトリウムをカリウム組成に優れた『ガニアシ』に置き換えたことが奏功した理由だ。
『ガニアシ』がもつ生理活性機能には、まだまだ未知の領域が横たわっている。しかしここ最近、アンチエイジングやメタボリックSに対しても強い活性をもつことが確認され始めた。生体内メカニズムのキーワードとなるのは「アディポネクチン」の関与説で、『ガニアシ』がその分泌量を促進することがわかってきた。

アディポネクチンは、脂肪細胞が分泌するサイトカイン(松澤裕次医師らが1996年に発見)として知られ、糖尿病、高血圧、動脈硬化をはじめある種のがん疾患にも、関与しているとして研究が盛んでいる。脂肪細胞というと誰しも過剰エネルギーの「貯蔵庫」というイメージが先行してしまう。しかし多くの生理活性物質を分泌する内分泌細胞としての役割をもつことがわかってきている。
この脂肪細胞から分泌される生理活性物質こそ「アディポサイトカイン」と呼ばれ、善玉のサイトカインが少ないと内臓脂肪が蓄積した状態となる。つまり健常人では善玉サイトカインがバランスよく分泌した状態になっているといっていい。アディポネクチン(=アディポサイトカイン)は
「善玉ホルモン」との異名をもち、その血中濃度は一般的なホルモンに比べて、桁違いに多い。そして生体内では肝臓のAMPKを活性化させてインスリン感受性の亢進、動脈硬化の抑制、抗炎症、心筋肥大の抑制などその作用は広い。



つまり、こうしたメタボリックSに対して、海藻類の仮根部『ガニアシ』の摂取によって、この「善玉ホルモン」分泌のスイッチが入ることになる。
そして最近、『ガニアシ』によるアディポネクチン低下抑制の動物試験が行われ、老化促進モデルマウスの加齢に伴うアディポネクチン分泌の低下を食い止めることが確認された。
試験ではSAMP系のいわゆる老化促進マウスをモデル使い、『ガニアシ』を毎日1回6週間反復で経口投与した。2週間ごとに末梢血を採血して、アディポネクチン濃度を測定したところ、対照群と比べて明らかにアディポネクチンの産生を促していることがわかった。

加齢に伴なってメタボリックSという病態、疾患へと進むことは多くの医学者が知るところだが、各種ホルモンと同じように老化によって「善玉ホルモン」の欠乏がまたこうした“現代病”を引き起こすことに他ならない。
抗老化作用、そしてメタボリックS発症を未然に食い止めるには、昆布などの海藻類そして、何よりも有用成分の宝庫『ガニアシ』を手軽なサプリメントとして摂取することをお勧めしたい。


(JHM101号より)
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