Lee医師 地方都市のアンチエイジング外科需要を掘り起こす [JHM]
[ 2011/6/16 ]
韓国・大邱/郡山 MiMi(美)Clinic
美容医療のレベルアップめざし、後継育成へ
時代は後戻りはしない。日本に学び、追いつけ追い越せ!と邁進してきた韓国に、かつて美容医療の世界でもその技術を伝授してきた日本だが、いまやその整形術が彼ら韓国の医師によって独自のスキル「Made in Korea」となって生まれるものが少なくない。技術立国として戦後、世界マーケットをけん引してきたMade in Japanとしての輝かしい時代をつくってきた日本も、最近その影は薄い。美容医療の分野もまた例外ではない。施術に対する研さんとあくなきアイデアの探究、そして熾烈な競争の中でこそ生まれる、患者への治療効果と満足度に対する美容術の進化と発展が、彼らのモチベーションをさらにあげるのだろう。先達の日本の美容整形医のかつての教え子たちが勇躍、アジアでの評価をあげる。しかし、技術を伝承したかつての時代を回顧しても始まらない。いま再び、日本の美容医療の技とその美的センスを海外に輸出する時である。時代を後戻りするのではなく、時代をリードしていく日本の美容医療界にエールを送る意味でも、韓国の美容整形医そしてクリニックを探訪しながら、そのヒントを探してみたい。シリーズ2回目は韓国MiMi Clinic院長のLee Jong Ki医師を訪ねた。
昨秋、JAAS日本アンチエイジング外科・美容再生研究会による「第2回JAAS Live Forum」に招聘され、独自の美容整形学に対する理論と目頭切開の術式についてレクチャーしたLee医師を覚えているだろうか?
韓国の大邱(テグ)と郡山(グンサン)の2カ所に「MiMi(美) Clinic」を開院する院長・Lee Jong Ki先生である。
What is the Mongorian Epicanthal Fold?から始まった同医師の講演には、参加した美容形成の専門医からも高い関心を呼んだ。モンゴリアン・フォルドのタイプによって、その術式を柔軟に変え最も適切な形成術を行っていくとする考えには、「あらゆる症例を数多くこなしているからこそ言える」(聴講者)と半ば、羨望のまなざしでLee医師の講演を聞きいった日本の医師も少なくないはずだ。
美容整形のスペシャリストとして韓国でも、その名を知られるLee医師だが、その道のりは紆余曲折だったという。87年、釜山の名門医大、仁済大医学部を卒業し市内の有名病院に外科医として勤務。未来を嘱望される外科の専門医として日々、入院する患者の病巣の執刀に明け暮れる。そして、同じ外科医と共にクリニックを共同で経営することに。しかしクリニックの経営はうまくいかず挫折する。後、昼夜にわたり病院で勤務する苦労の毎日を送ることになったという。
やがて転機が訪れる。
「外科医として自信満々だった若き時代、美容整形に対してある種、軽蔑さえしていました。しかしソウルの有名な美容外科医と知り合い、そのオペ術をみせられた時、愕然となった」
外科医としてほぼオールラウンドのオペ術を身に付けたはずの同医師だが、美容術の“花形”の部位、顔までは及んでいなかった。そして眼瞼形成、鼻形成、フェイスリフト術に圧倒される。
他科から転身したからこそ、意欲満々にあらゆる術式を学び実践していった。このLee医師のように転身組の医師に、自らの施術を惜しげもなくOPENにし教える土壌が、韓国の美容整形の世界には過去そして現在に至るまであることは言うまでもない。こうして経験がない顔の整形術をマスターし、現在の地に開業する。Lee医師、持ち前のセンスと外科医としての経験、そして何よりも努力によって、そのスキルは美容形成の専門医にも負けない。
開業する大邱(テグ)と郡山(グンサン)は、どちらかというと地方都市である。しかしソウルなどの都心部では確かに需要は見込めるものの、患者獲得の激しい競争やそのための広報宣伝、そして何よりテナントにかかる経費などによって収益性は決してよくない。
「ソウルからおよそ2時間、3時間かかる振興エリアでは、ソウルの何分の一にも抑えられるテナント費に加え宣伝費などもほとんどかけず、口コミで集患できるケースが少なくありません。治療費もソウルの60%と安めで総収入が半分としても、充分収益をとることができる」と話すLee医師。
そしてその需要は明らかに都心とは違う。受診者の年齢だ。来院する患者の6割から7割が40〜60歳代だという。場合によっては70歳以上の「元気老人」でさえ足を運ぶ。
本紙記者が訪れた時、重瞼切開術がちょうど行われていた。その男性は、優に60は超える患者である。
手術の立会が許され、一部始終を供覧した同行の美容整形医は、「手術の手際の良さ、そして時間をかけずに丁寧な縫合さばきをみせるLee先生はさすが」と感心していた。
「韓国人は日本人に比べて美容整形に抵抗感がない。しかし年齢の高い人たちがすべてそうかというと決してそうではない。その韓国社会がいま、加齢に対して美容整形術を受け入れ出しています」
地方でこそ、こうした中高年の若返り需要を掘り起こせると、Lee医師は強調する。現在およそ28万人の新興都市、群山もやがては50万人にまで人口は増えるといわれ、地方都市でのアンチエイジング美容外科の需要は確かに増加するはずだ。
MiMi Clinicでは、美容皮膚もこなすが、この分野は勤務医を雇い、Lee先生自らはもっぱら美容形成術に特化する。眼瞼形成、鼻形成、フェイスリフト、豊胸、シリコンなどによる輪郭形成、エクボ形成さらにはペニスサージェリーなど幅広い。他院からきた患者の修正術もこなす。
豊胸術は過去10年で1000症例に迫る症例を重ねてきただけに自信をもつ。
そんなLee医師が、いま美容整形医の門をたたく若き医師たちに、スキルアップのためのレッスンを開始、韓国美容整形フォーラム(KAF)を立ち上げ後継の指導、育成に力をいれる。
「技術の練磨と共に、私が経験してきた手術を教材として出版しながら、臨床と教材による反復学習で、美容整形のレベルをあがり、より信頼されるマーケットになっていくことを望みます」と話す。
(JHM99号より)
美容医療のレベルアップめざし、後継育成へ
時代は後戻りはしない。日本に学び、追いつけ追い越せ!と邁進してきた韓国に、かつて美容医療の世界でもその技術を伝授してきた日本だが、いまやその整形術が彼ら韓国の医師によって独自のスキル「Made in Korea」となって生まれるものが少なくない。技術立国として戦後、世界マーケットをけん引してきたMade in Japanとしての輝かしい時代をつくってきた日本も、最近その影は薄い。美容医療の分野もまた例外ではない。施術に対する研さんとあくなきアイデアの探究、そして熾烈な競争の中でこそ生まれる、患者への治療効果と満足度に対する美容術の進化と発展が、彼らのモチベーションをさらにあげるのだろう。先達の日本の美容整形医のかつての教え子たちが勇躍、アジアでの評価をあげる。しかし、技術を伝承したかつての時代を回顧しても始まらない。いま再び、日本の美容医療の技とその美的センスを海外に輸出する時である。時代を後戻りするのではなく、時代をリードしていく日本の美容医療界にエールを送る意味でも、韓国の美容整形医そしてクリニックを探訪しながら、そのヒントを探してみたい。シリーズ2回目は韓国MiMi Clinic院長のLee Jong Ki医師を訪ねた。
昨秋、JAAS日本アンチエイジング外科・美容再生研究会による「第2回JAAS Live Forum」に招聘され、独自の美容整形学に対する理論と目頭切開の術式についてレクチャーしたLee医師を覚えているだろうか?
韓国の大邱(テグ)と郡山(グンサン)の2カ所に「MiMi(美) Clinic」を開院する院長・Lee Jong Ki先生である。
What is the Mongorian Epicanthal Fold?から始まった同医師の講演には、参加した美容形成の専門医からも高い関心を呼んだ。モンゴリアン・フォルドのタイプによって、その術式を柔軟に変え最も適切な形成術を行っていくとする考えには、「あらゆる症例を数多くこなしているからこそ言える」(聴講者)と半ば、羨望のまなざしでLee医師の講演を聞きいった日本の医師も少なくないはずだ。
美容整形のスペシャリストとして韓国でも、その名を知られるLee医師だが、その道のりは紆余曲折だったという。87年、釜山の名門医大、仁済大医学部を卒業し市内の有名病院に外科医として勤務。未来を嘱望される外科の専門医として日々、入院する患者の病巣の執刀に明け暮れる。そして、同じ外科医と共にクリニックを共同で経営することに。しかしクリニックの経営はうまくいかず挫折する。後、昼夜にわたり病院で勤務する苦労の毎日を送ることになったという。
やがて転機が訪れる。
「外科医として自信満々だった若き時代、美容整形に対してある種、軽蔑さえしていました。しかしソウルの有名な美容外科医と知り合い、そのオペ術をみせられた時、愕然となった」
外科医としてほぼオールラウンドのオペ術を身に付けたはずの同医師だが、美容術の“花形”の部位、顔までは及んでいなかった。そして眼瞼形成、鼻形成、フェイスリフト術に圧倒される。
他科から転身したからこそ、意欲満々にあらゆる術式を学び実践していった。このLee医師のように転身組の医師に、自らの施術を惜しげもなくOPENにし教える土壌が、韓国の美容整形の世界には過去そして現在に至るまであることは言うまでもない。こうして経験がない顔の整形術をマスターし、現在の地に開業する。Lee医師、持ち前のセンスと外科医としての経験、そして何よりも努力によって、そのスキルは美容形成の専門医にも負けない。
開業する大邱(テグ)と郡山(グンサン)は、どちらかというと地方都市である。しかしソウルなどの都心部では確かに需要は見込めるものの、患者獲得の激しい競争やそのための広報宣伝、そして何よりテナントにかかる経費などによって収益性は決してよくない。
「ソウルからおよそ2時間、3時間かかる振興エリアでは、ソウルの何分の一にも抑えられるテナント費に加え宣伝費などもほとんどかけず、口コミで集患できるケースが少なくありません。治療費もソウルの60%と安めで総収入が半分としても、充分収益をとることができる」と話すLee医師。
そしてその需要は明らかに都心とは違う。受診者の年齢だ。来院する患者の6割から7割が40〜60歳代だという。場合によっては70歳以上の「元気老人」でさえ足を運ぶ。
本紙記者が訪れた時、重瞼切開術がちょうど行われていた。その男性は、優に60は超える患者である。
手術の立会が許され、一部始終を供覧した同行の美容整形医は、「手術の手際の良さ、そして時間をかけずに丁寧な縫合さばきをみせるLee先生はさすが」と感心していた。
「韓国人は日本人に比べて美容整形に抵抗感がない。しかし年齢の高い人たちがすべてそうかというと決してそうではない。その韓国社会がいま、加齢に対して美容整形術を受け入れ出しています」
地方でこそ、こうした中高年の若返り需要を掘り起こせると、Lee医師は強調する。現在およそ28万人の新興都市、群山もやがては50万人にまで人口は増えるといわれ、地方都市でのアンチエイジング美容外科の需要は確かに増加するはずだ。
MiMi Clinicでは、美容皮膚もこなすが、この分野は勤務医を雇い、Lee先生自らはもっぱら美容形成術に特化する。眼瞼形成、鼻形成、フェイスリフト、豊胸、シリコンなどによる輪郭形成、エクボ形成さらにはペニスサージェリーなど幅広い。他院からきた患者の修正術もこなす。
豊胸術は過去10年で1000症例に迫る症例を重ねてきただけに自信をもつ。
そんなLee医師が、いま美容整形医の門をたたく若き医師たちに、スキルアップのためのレッスンを開始、韓国美容整形フォーラム(KAF)を立ち上げ後継の指導、育成に力をいれる。
「技術の練磨と共に、私が経験してきた手術を教材として出版しながら、臨床と教材による反復学習で、美容整形のレベルをあがり、より信頼されるマーケットになっていくことを望みます」と話す。
(JHM99号より)