老いを予防するアンチエイジング美容術を


銀座いけだクリニック
池田　欣生医師


各界、さまざまな議論はあるものの、美容整形学のルーツは再建医療から端を発した、形成外科であろう。
専門医として修練した末に、そのオペ術を美容整形術として応用、転用していったという事実は否めない。私もその一人である。

しかし今、形成外科—美容整形外科という登竜門ではないルートを経て美容整形の門にたどり着く医師も少なくない。美容皮膚も含めた美容医療と総称される、こうしたCosmeticもしくはAesthetic Surgeryは、そもそもその英訳が示す通り[美学]というこだわりを追求した整形術に他ならない。
であるなら、その美容医療を実践する者にとって、その出身とする診療科目、経歴はそれほど意味のないことになるのかもしれない。

もちろん、外科学がベースである美容整形学にとって、形成外科はお手本となるべき専門科目である。
しかしアジア諸外国がそうであるように、この世界に参入する他科の医師は年々増え続けている。そうした新たな入門者や経験の浅い医師たちに、形成外科の専門医に加え、整形、外科、麻酔などなど他科出身から美容整形術を研さんし専門性を熟知した先生たちが、より健全でレベルアップした美容医療界をつくるために指導的な役割を担ってもらうべきではないだろうか。

私も役員理事の一人として昨年、発足したJAAS日本アンチエイジング外科・美容再生研究会は、こうした方々のご協力とご参加をいただいて今年も、活動をつづけている。美容医療の黎明期から御苦労され、業界の発展のために尽力され今日の市場を創り上げてきた諸先輩そして、医学団体には敬意を表しながら、共に友好的に連携、協調しながら、業界を盛り上げていきたい。
そして、このJAASの役割はその名称にみられるように、加齢に伴う容姿、機能の衰えをアンチエイジングと美容再生によって食い止めていこうとするもので、そのためには、シニアそして場合によっては高齢者に対しての美容医療術の確立と実践をしていきたいと考えている。
老いに対抗する。そして年齢と共にあらわれる皮膚の機能低下を、積極的に予防するための美容整形術に焦点をあてた施術法を会員の先生方と一緒になって創り上げていきたい。


（JHM98号より）