メディカルエステ、歯科医のためのNon medical Therapy [JHM]
[ 2011/1/13 ]
「美容医療をエステの立場から学んでもらいながら知識、経験を積めば顧客からの信頼はさらに高まる」。こうした活動趣旨のもと、JAAS日本アンチエイジング外科・美容再生研究会がJAAEA日本アンチエイジング美容協会との共催で昨年12月、講習会を開いた。医師にはBOTOX治療術、歯科医、エステティシャンには非医療としての美容皮膚セラピーをテーマに25名の参加者が集い、講義そして実演を交えアンチエイジング・美容学を学んだ。
会場には美容医療機器の専門メーカーであるARTISTICの本社ショールーム・トレーニング施設を使い、医師向けのBOTOX注入の講義、手技実演やフラクショナルCO2レーザーの症例報告と操作デモが行われたが、指導した医師からはドクターだけでなくエステティシャンに対しても、わかりやすく美容医療の知識とテクニック、そして治療効果を伝授した。
「医療、非医療の垣根を越えて、美容医療・アンチイエジングの情報を共有することこそ患者、クライアントを満足させ、質の高い施術・治療技術を双方が住み分けしながら患者の共有をはかる」という、共催団体が共に思い描く美容産業の姿を予感させるものとなった。
そしてプログラム中、参加者から最も話題をさらった美容皮膚再生のための小型美顔器がある。5分で小顔、シワ消し、ハリのある肌にする「DR ARRIVO(ドクターアリーボ)」、医療、非医療バージョンで使える皮膚の若返りを可能にした「reboller(リボーラー」を使った2つの施術法だ。今年、エステサロンで即戦力の美容マシンに、一方美容クリニックやデンタルクリニックではメディカルエステの施術マシンに加え、患者のホームケア用として院内物販の売れ筋となる可能性をもつ。
開催された講習会は「JAAS・JAAEA共催 第1回ビギナーのための美容皮膚・毛髪とボトックス治療術」で、医師には、初心者がトラブルにならないBOTOX注入のテクニックを講義と実演によって山本クリニックの山本 豊医師が伝授した。また、医療用CO2フラクショナル・レーザー「ESPRIT F-O2」と、ヒト線維芽細胞由来の成長因子を処方したGF導入剤とを使った症例報告が、城本クリニック宮崎院の堀 美慧医師から行われた。
プログラム前半は医師向けではあったが、参加人数の半数を占めたエステティシャンや歯科医も、自らの治療・施術の範囲でないものの勉強を共にした。
〜ゼロから学ぶボトックス注射術〜を副題にしたとおり、そもそもBOTOXが96年から顔面けいれんなどの疾病に対して保険適用を受けていることをあえて、紹介。その上で美容医療に応用され需要を高めていった、として美容医療をこれから学ぼうとするビギナーには、プラセンタ注射と共に修学しやすく、また保険診療の患者をもつ医院には薦めやすいメニューだと述べた。そして製剤の作り方、後処理そして注射のやり方などの基本的な治療内容を概説。ただ、始めやすい治療だけに注入テクニック上、一歩間違うとクレームの対象になることから、その手技について参加者にデモ実演を交え解説した。
この場面では医師はもちろん、歯科やエステシャンも見学、「サロンの顧客からの要望を美容クリニックに返すには、エステに従事する側であっても美容医療の知識と実際を知らないといけない」と山本医師。その入門編がいわばBOTOXやフィラー注入だと指摘して、それによって医療、エステ、場合によっては歯科との連携、患者の共有の可能性があることを示唆した。
続いて症例発表を行った堀医師は、現在治療メニューに取り入れ患者からの評判も上々というフラクショナルCO2レーザーの治療効果について、患者よりまず自らが「ハマった」として、自称:アラフォーの自分のBeforeAfterを紹介しながら、鼻尖部の毛穴改善について公開した。「ドット状に照射するこのレーザー技術が肌へのリスクやダウンタイムを抑え、安全で効果的な肌の入れ替え(皮膚再生)を可能にした」と述べ、医療用の導入剤であるGF製剤「SKIN MGF」を合わせて使うことでよりその効果は高まると強調した。さらにクリニックにも採用した肌診断装置「JUNUS」が、こうした治療を薦める際のクロージングでは重要になるとつけ加えた。
さて、ここからが本稿のテーマ、話題の施術をである。
BOTOX、フラクショナルCO2レーザーの講義と実演デモへの関心を上回る参加者からの興味を引いたのが、美容皮膚再生のための小型美顔器だ。
5分で小顔、シワ消し、ハリのある肌にする「DR Arrivo(ドクターアリーボ)」そして医療、非医療それぞれのバージョンで使える皮膚の若返りを可能にした「reboller(リボーラー」による施術法である。
とりわけエステサロンで今年、即戦力の美容マシンとして導入が進む2機種といえよう。また美容クリニックやデンタルクリニックではメディカルエステの施術メニューとしてだけでなく、患者のホームケア用として院内物販の売れ筋となる可能性をもつ。
「DR Arrivo」は、国産メーカーARTISTICだからこそ実現した美顔器の常識を超えた携帯マシンで、手のひらサイズの大きさに5種類のSkinRejuvenation機能を搭載したもの。リフトアップによる小顔、ハリ肌そしてほうれい線などのシワ消しを5分で行うことができる。ノンニードルの導入法としてエレクトロポレーション、メソポレーション、青色LED(除菌)、EMS(リフトアップ)、高周波とその美顔機能は贅沢そのもので、この種の小型器で使われるイオン導入や超音波で浸透できない高分子成分も細胞間の隙間に送りこめる。
同器のプローブには4つの電極がついているため、メソセラピーのような注射針による点ではなく、面による広範囲な施術効果を出すことが可能で、痩身など全身美容にも使えるという。
導入剤には同器専用の化粧導入液を使用、ヒアルロン酸、コラーゲン、プラセンタなど分子量の大きい美肌成分を用意する。
それぞれの操作機能を一台ごと揃えればその負担は大きい。それがこの携帯の美容マシンはこれらを凝縮して、たったの10万円台とは驚く。会場ではその場でインストラクターに施術に頼む参加者が後を絶たず、講習時間を延長したほどだ。
一方、前半のBOTOX注入術に続き、午後から後半のコーチングに入った山本医師が紹介したのが、電動超短針(ギア)を使った皮膚の若返り術。自らがプロデュースして、ARTISTICと共同開発した「reboller(リボーラー)」の提案だ。
針の深さ0.25mmほどのマイクロギア(歯車)の構造をしたプローブを、電動式のバイブレーションを加えながら表皮にローラーをかけるというもので、痛みがないばかりか心地よいマッサージ効果を出す。表皮にマイクロトンネルを作り出し、導入剤を塗布することで皮膚の若返りを期待できる。
表皮だけでは?という疑問には、「最近の研究では表皮を活性化すると真皮層も活性化されることがわかってきた」と山本医師。単に表皮を転がすだけのローラーなどと侮れない。
この種のローラーでは、「ダーマローラー」「ダーマスタンプ」など美容クリニックで使われているが、極細針ということもあり、「reboller」はエステや歯科での活用の道を開いた。
エステでも小じわや毛穴、ニキビ後の凹凸などに適応でき、またローラーが着脱式のため針の長さを深くすれば医療用途として、妊娠線、肝班、毛孔性苔癬などの治療に応用できるという。 「患者さんにとってダーマローラーの痛みから解放されるだけでも満足度は高い」(山本医師)
専用のエッセンスをいれても5万円台と、これもまた安い。
低迷するエステ業界にあって、今年流行る予感を感じさせる小型美容マシンである。
(JHM97号より)