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医療滞在ビザ、1月施行 [JHM]

[ 2010/12/24 ]
50万人の患者で1兆円の経済効果
美容医療のメディカルツーリズムにも波及効果大




医療サービスを受ける目的の外国人が日本に長期滞在できる医療滞在ビザが、この年末にも公布・施行される見通しとなった。

政府は今年6月に閣議決定した「新成長戦略」に21項目の国家戦略プロジェクトを掲げたが、その一つ「国際医療交流」において、医療滞在ビザの設置を明記した。高度な日本の医療技術とサービスを背景に、高まる海外の医療ニーズを取り込み、医療ビジネスの拡大を図るのが狙いで、外国人患者の滞在期限、渡航回数等を弾力化するというもの。
さらに9月には「新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策」が閣議決定され、医療滞在ビザを平成22年度中に設置することが打ち出された。

これを受け法務省では、入管法の在留資格等の改正に着手し、すでにパブリックコメントも終えている。日本国内に相当期間滞在し、入院して疾病または傷害について医療を受ける活動と、入院患者の日常生活上の世話をする活動が新たに在留資格「特定活動」として定められる。受診する医療の種類は保険診療、自由診療を問わない。また、在留資格の申請を本人のほか、親族や入院する病院の職員も行えるようになる。

現行制度のもとで治療を受けるには、外国人患者は観光や商用などの短期ビザで入国しなければならない。最長でも滞在できるのは90日間。延長も認められないケースが多い。そのため長期滞在を必要とする治療には向かない。

今回、医療滞在ビザが創設されると、入国当初から6カ月の滞在期間が認められる。更新も容易になる見通しで、更新回数の限度はない。提出された医師からの診断書等を参考に、入国管理局が許可を決定する。細かい運用規定は今後同局より別途示される。

これに合わせ厚生労働省でも、外国人患者受け入れの環境整備を検討し始めた。具体的には言語、生活習慣等の対応態勢を整えた医療機関への認証制度が挙げられている。すでに2011年度の概算要求検討費で3900万円が計上された。

経済産業省の試算では、海外から50万人の患者を受け入れると約1兆円の経済効果があるという。すでにインドやタイ、韓国、シンガポールなどの国では医療を成長分野として捉え、外国からの患者受け入れに力を注いでいる。

医療滞在ビザの創設で、日本にとっても大きなビジネスチャンスとなることは間違いない。今回の改正をきっかけに日本の高度な医療技術とサービスが世界に向かってアピールできる一方で、アンチエイジング・美容医療の分野でも海外からの医療ニーズの取り込みにも期待できる。外国人患者受け入れの態勢に拍車がかかりそうだ。



(JHM97号より)
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