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臨床医のための参考書「製品の治験データファイル」 [JHM]

[ 2010/12/6 ]
医師開発の「ナチュラルマリンコラーゲン」

消化器内科の専門医である新日本橋石井クリニック院長の石井光医師が開発したコラーゲンサプリメント、「ドクターウエルネス ナチュラルマリンコラーゲン」。白身魚の魚皮から抽出したこのサプリメントは、骨密度上昇、育毛効果、関節痛の解消、美肌効果、バストアップ効果、便秘解消、血管再生などのエビデンスを重ね、この度、ヨーロッパ特許庁からも血管老化抑制および抗老化剤として国際特許予備審査を取得した。今やコラーゲンと名のつくものが巷にあふれているが、石井医師の開発した製品はどこに違いがあるのだろうか。その特性を紹介したい。

タンパク質の一種であるコラーゲンは、人体内に存在するタンパク質のおよそ30%を占め、皮膚、骨、軟骨、血管、内臓を含む膜、眼球などを構成する。その主たる役割は、細胞同士をしっかりと結合させることにある。たとえば腱が非常に強い力に耐えうるのも、骨や軟骨に弾力性があるのも、さらには皮膚の弾力性や強度の保持も、コラーゲンの働きによるものだ。
だがコラーゲンは二十代半ばに早くもピークを迎え、その後は歳を重ねるごとに減少していくという。その結果として、皮膚にたるみやしわが目立ち、髪は白くあるいは薄くなり、骨密度も下がって関節痛が起きたりする。その他、高血圧、老眼、動脈硬化、骨粗しょう症など、体に不都合な異変が見られるようになってくる。

だからエイジング(老化)とは、体内のコラーゲンが減少することだと言うこともできよう。したがってアンチエイジング(抗老化)を図るには、足りない分を摂取して体内コラーゲン量を元に戻してやればいいわけだ。
石井光医師はその方法として、これまでの臨床研究から「高品質コラーゲン」でなければだめだと訴える。コラーゲンの主な原料には牛、豚、鶏(牛はBSE以後使用されていない)など動物由来と魚由来の二つがあり、いずれも皮に多量のコラーゲンが含まれる。

まず動物性コラーゲンであるが、分解能に難点のあることが研究論文等で明らかになっている。同じ分子量で比較した場合、魚コラーゲンの七分の一というデータもある。コラーゲンはもともと吸収されにくいタンパク質であり、そのままでは体内に吸収されない。胃腸で消化酵素によって分解され、最終的に二〜三個のアミノ酸ペプチドの固まりとなって初めて腸管から吸収されるようになる。したがって七倍の分解能はそのまま高吸収能となり、歴然とした差が表れる。
だが、魚コラーゲンあるいはフィッシュコラーゲンの表示にも落とし穴があるという。低価格で市場に出回っているもののほとんどが、ウロコのコラーゲンだ。魚皮もウロコもⅠ型コラーゲンで組成は同じ。しかしながら、抽出過程で問題が起きる。魚皮は柔らかなため加熱と酵素でコラーゲンを完全な形で抽出できるが、一方、ウロコは硬質のために加熱や酵素では溶かすことができない。しかたなく強塩酸で溶かすことになるのだが、この使用によって二つの問題が生じることになる。

一つは残留塩酸発生の可能性があること。塩酸は胃炎を進行させる。二つ目はウロコを溶かす際にコラーゲンも溶かしてしまい、ペプチド結合が壊れたコラーゲンは生理活性が損われてしまう。
本来廃棄物であるウロコは採取も容易で、人手を使って一枚一枚はがさなければならない魚皮に比べ確かに安価ではあるが、以上のような理由から「良質なコラーゲン」とは言えない。

さらに石井医師は安全性の面から、魚皮のうちでも天然か養殖かを問う。養殖されたものは抗生物質や添加物注入の可能性が否定できず、抗生物質は微量でも飲み続ければ耐性ができると警鐘を鳴らす。
そしてもう一点、体温の高いサケ、マグロといった回遊魚よりもタイ、ヒラメのような白身魚がいいという。これは、アミノ酸の一種であるプロリンが高温の魚に多く含まれるが、それによってコラーゲンの分解が妨げられてしまうためである。
石井医師は開発したサプリメントを商品化するにあたり、エビデンスを着実に積み重ねてきた。それらは骨密度の上昇、関節痛改善、乾燥肌および肌荒れの改善、バストアップや便秘解消、アトピー性皮膚炎の改善、育毛効果となってデータに表れた。

ここではヨーロッパ特許庁の国際特許予備審査で特許性が認められた、血管老化抑制のエビデンスを紹介したい。特許は現在、EU、アメリカ、中国、韓国、台湾、シンガポール、ロシア、オーストラリアにも移行申請中で、日本でも特許が認められた。

骨密度上昇効果などで確かな手ごたえを得た石井医師は、コラーゲンを動脈硬化予防にも応用できないものかと考えた。大血管はコラーゲンとエラスチンから成る。毛細血管に至っては100%がコラーゲンである。そうであるならば、高品質コラーゲンの摂取によって血管は再生されるのではないか。
石井医師によると動脈硬化の原因は、血管内コラーゲンのターンオーバー劣化であるという。ターンオーバーとは、古くなったコラーゲンと新しいコラーゲンが置き換わることだが、その周期は加齢とともに遅くなる。その結果、血管内部に残った多量の古いコラーゲン(老化コラーゲン)が架橋形成し、繊維化していく。それに血中の余分なコレステロールが巻きつき、動脈壁に粥状のプラークが生じる。このプラークが内腔を狭くする状態が動脈硬化である。プラークは剥がれると末梢に飛んでいき、詰まって脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす。

動脈硬化が認められる患者57人に三カ月間、ドクターウエルネスを内服させて、前後の頸動脈内膜厚を計測してみた。使用した計測用超音波装置は石井氏のクリニックにある横河GE社製LOGIQ7 PROで、百分の一ミリメートルまでの分解能を誇る最高機種。また石井医師本人が計測するとバイアスが入るので、第三者である東京医科歯科大学循環器内科の専門医に依頼。その結果は57人中36人、実に約63%に0.1ミリメートル以上の改善効果が認められた。



さらに動脈硬化の特徴である血管の弾力性低下に着目した診断方法であるPWV(四肢脈波伝導速度)を用いての検証実験でも、確かなエビデンスを得ることができた。石井医師のクリニックに通う患者9名に三カ月にわたり一日5グラムのドクターウェルネスを飲用してもらい、その前後で計測。やはり期待通りのデータを採取できた(表参照)。

PWVは心臓から押し出された血液により生じた拍動が、血管を通じて手や足に届くまでの速度のことで、血管の壁が硬いほどその速度は速くなるという原則を利用して測定するものだ。単位はcm/sで数値が高いほど血管の硬化を示す。ABIは足関節上腕血圧比。
石井医師によるとドクターウエルネスは、委縮性胃炎の治療、視力改善、アルツハイマー予防、加齢臭対策などにもその効果が期待できるという。



(JHM96号より)
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