寝たきりを予防するロコモティブシンドローム [JHM]
[ 2010/8/24 ]
日本の総医療費に占める、高齢者の割合は高い。そのために介護保険制度や後期高齢者医療制度などが導入されてきており、高齢者専門のケアが独立して行われている。また、最近では、メタボリックシンドロームの特定健診・保健指導が積極的に行われている。メタボリックシンドロームは、中高年に対する肥満予防のように捉えられているが、本来は動脈硬化を予防し、脳卒中や心筋梗塞など、将来的に寝たきりにつながる疾病を予防するための、高齢者医療費の抑制対策だ。さらに近年、ロコモティブシンドロームという概念がしきりに提唱され始めている。本稿では、新しい介護予防の概念、ロコモティブシンドロームに対し、機能性食品やサプリメントでどのように対応すれば良いのか、考えてみたい。
ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)とは、簡単に言うと骨や関節、筋肉などの衰えによって、運動機能が低下する状態を指す。この状態が進行することで、寝たきりなど要介護の高い状態になる原因として、注目されている。
これまで、寝たきりの予防としては、骨粗しょう症治療や、転倒予防のための筋力トレーニングなどが、転倒予防外来などで行われてきている。
これまでの転倒予防外来はその名の示すとおり、転倒を予防する、つまり転倒することで、股関節や大腿骨などを骨折し、寝たきり状態になってしまうことを予防するものだった。そのため、骨折しやすい状態を作る、骨粗しょう症予防という側面が大きい。
一方でロコモは、骨や関節、筋肉など運動器全体が徐々に機能低下を引き起こし、寝たきりになることを予防しようというもので、これまでよりも統合的・予防的な概念であり、骨粗しょう症だけでなく、変形性膝関節症や腰部脊柱管狭窄症などが予防の対象となってくる。
ロコモとその予備軍は国内で4700万人と言われ、メタボリックシンドロームや認知症のリスクとも関連も指摘され始めている。
ロコモの症状には、
●片足立ちで靴下が履けない
●横断歩道を青信号の間に渡りきれない
●15分くらい続けて歩けない
●階段を上がるのに手すりが必要
●家の中でつまづいたり滑ったりする、
などの自己チェック項目があり、これらに一つでも当てはまれば、ロコモである可能性があるとされている。
そのロコモの対策として行われているのが、片足立ちやスクワットなどの運動療法だ。しかし、前述の自己チェックに該当するようなロコモ対象者の場合、既に変形性膝関節症を発症し、運動を継続することが困難な場合もあるのではないだろうか?
そうした場合にはサプリメントの活用が、効果的といえる。その期待はある意味、メタボ以上だといっていい。メタボ対応のサプリは、体感のないものばかりだったが、ロコモ対応のサプリ素材には、体感の大きいものが多く、それゆえ運動の継続をサポートする効果も高い。ロコモ対応を行うのであれば、サプリの活用は真剣に検討すべき仮題だと考えられる。
変形性膝関節症などに実績のあるサプリにはどのようなものがあるのだろうか?まずは、関節の材料となる、グルコサミンやコンドロイチン、コラーゲンなど。それに加え、消炎鎮痛効果のあるキャッツクローやMSMが挙げられる。
筋肉に対しては、BCAAなどのアミノ酸やクレアチンにも高齢者の筋力トレーニングをサポートするエビデンスが知られている。
運動によって増加する酸化ストレスに対応する抗酸化素材なども、運動を継続するためには、効果的な選択肢だ。
こうした関節・筋肉対応サプリメントには、欧州や日本で医薬品となっているものもあり、また、スポーツサプリメントとして研究されているなど、しっかりしたエビデンスを持つものが多い。
また、実績のある素材だけに、素材の開発も盛んに行われており、通常のグルコサミン塩酸塩に対して、生体適合性の高いN-アセチルグルコサミンなどが流通しているし、骨や関節の材料となるコラーゲンでも、関節に特異的に多く含まれているⅡ型コラーゲンを、構造を壊さずに製品化しているUC・Ⅱ(アピなどが国内に供給)など、特徴ある素材も提供が始まっている。
一般的にコラーゲンと呼ばれている製品の多くは、コラーゲンペプチドであり、タンパク質はその構造によって機能するという考え方からいえば、UC・Ⅱの構造を崩さずにサプリメント素材とすることは、理にかなっている。それゆえ、この非変性コラーゲンUC・Ⅱは、腸管免疫を刺激し、変形性膝関節症だけでなく、関節リウマチなど自己免疫疾患に対しても多数のエビデンスがある。
また、通常のコラーゲンペプチドも、摂取することで関節炎が改善するケースが多数報告されており、ピーエスが製造販売する『DAAC-01』は、医療機関専用のコラーゲンサプリメントとして、長い実績を持ち、エビデンスも豊富だ。
消炎効果についてはキャッツクローやMSMが良く知られている。近年ではMSMが、運動に伴う酸化ストレスの抑制についての研究報告が、Acta Veterinaria Scandinavicaに掲載されている。
この研究は、跳躍競技用の馬を対象に行われた研究で、跳躍競技によって増加した資質過酸化反応や一酸化窒素、一酸化炭素、減少したグルタチオンや抗酸化酵素の活動に対し、8mg/kgのMSMを投与することで、これらの変化を著しく改善したことを報告している。また、MSM摂取に加え5mg/kgのビタミンCを同時に与えた場合、いくつかの項目については、競技前と同程度に改善しているという。
これらの結果から、本研究では、MSMは運動によって引き起こされる酸化的、炎症性の負傷を保護する効果を発揮しうることを証明したと結論付けている。
MSMについてはCICフロンティアなどが、医療に積極的に供給している。
ロコモに対して、運動療法が効果的であることは間違いないが、運動を継続することが困難な高齢者においては、こうしたサプリメントの活用が効果的であるのではないだろうか。
(JHM95号より)
ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)とは、簡単に言うと骨や関節、筋肉などの衰えによって、運動機能が低下する状態を指す。この状態が進行することで、寝たきりなど要介護の高い状態になる原因として、注目されている。
これまで、寝たきりの予防としては、骨粗しょう症治療や、転倒予防のための筋力トレーニングなどが、転倒予防外来などで行われてきている。
これまでの転倒予防外来はその名の示すとおり、転倒を予防する、つまり転倒することで、股関節や大腿骨などを骨折し、寝たきり状態になってしまうことを予防するものだった。そのため、骨折しやすい状態を作る、骨粗しょう症予防という側面が大きい。
一方でロコモは、骨や関節、筋肉など運動器全体が徐々に機能低下を引き起こし、寝たきりになることを予防しようというもので、これまでよりも統合的・予防的な概念であり、骨粗しょう症だけでなく、変形性膝関節症や腰部脊柱管狭窄症などが予防の対象となってくる。
ロコモとその予備軍は国内で4700万人と言われ、メタボリックシンドロームや認知症のリスクとも関連も指摘され始めている。
ロコモの症状には、
●片足立ちで靴下が履けない
●横断歩道を青信号の間に渡りきれない
●15分くらい続けて歩けない
●階段を上がるのに手すりが必要
●家の中でつまづいたり滑ったりする、
などの自己チェック項目があり、これらに一つでも当てはまれば、ロコモである可能性があるとされている。
そのロコモの対策として行われているのが、片足立ちやスクワットなどの運動療法だ。しかし、前述の自己チェックに該当するようなロコモ対象者の場合、既に変形性膝関節症を発症し、運動を継続することが困難な場合もあるのではないだろうか?
そうした場合にはサプリメントの活用が、効果的といえる。その期待はある意味、メタボ以上だといっていい。メタボ対応のサプリは、体感のないものばかりだったが、ロコモ対応のサプリ素材には、体感の大きいものが多く、それゆえ運動の継続をサポートする効果も高い。ロコモ対応を行うのであれば、サプリの活用は真剣に検討すべき仮題だと考えられる。
変形性膝関節症などに実績のあるサプリにはどのようなものがあるのだろうか?まずは、関節の材料となる、グルコサミンやコンドロイチン、コラーゲンなど。それに加え、消炎鎮痛効果のあるキャッツクローやMSMが挙げられる。
筋肉に対しては、BCAAなどのアミノ酸やクレアチンにも高齢者の筋力トレーニングをサポートするエビデンスが知られている。
運動によって増加する酸化ストレスに対応する抗酸化素材なども、運動を継続するためには、効果的な選択肢だ。
こうした関節・筋肉対応サプリメントには、欧州や日本で医薬品となっているものもあり、また、スポーツサプリメントとして研究されているなど、しっかりしたエビデンスを持つものが多い。
また、実績のある素材だけに、素材の開発も盛んに行われており、通常のグルコサミン塩酸塩に対して、生体適合性の高いN-アセチルグルコサミンなどが流通しているし、骨や関節の材料となるコラーゲンでも、関節に特異的に多く含まれているⅡ型コラーゲンを、構造を壊さずに製品化しているUC・Ⅱ(アピなどが国内に供給)など、特徴ある素材も提供が始まっている。
一般的にコラーゲンと呼ばれている製品の多くは、コラーゲンペプチドであり、タンパク質はその構造によって機能するという考え方からいえば、UC・Ⅱの構造を崩さずにサプリメント素材とすることは、理にかなっている。それゆえ、この非変性コラーゲンUC・Ⅱは、腸管免疫を刺激し、変形性膝関節症だけでなく、関節リウマチなど自己免疫疾患に対しても多数のエビデンスがある。
また、通常のコラーゲンペプチドも、摂取することで関節炎が改善するケースが多数報告されており、ピーエスが製造販売する『DAAC-01』は、医療機関専用のコラーゲンサプリメントとして、長い実績を持ち、エビデンスも豊富だ。
消炎効果についてはキャッツクローやMSMが良く知られている。近年ではMSMが、運動に伴う酸化ストレスの抑制についての研究報告が、Acta Veterinaria Scandinavicaに掲載されている。
この研究は、跳躍競技用の馬を対象に行われた研究で、跳躍競技によって増加した資質過酸化反応や一酸化窒素、一酸化炭素、減少したグルタチオンや抗酸化酵素の活動に対し、8mg/kgのMSMを投与することで、これらの変化を著しく改善したことを報告している。また、MSM摂取に加え5mg/kgのビタミンCを同時に与えた場合、いくつかの項目については、競技前と同程度に改善しているという。
これらの結果から、本研究では、MSMは運動によって引き起こされる酸化的、炎症性の負傷を保護する効果を発揮しうることを証明したと結論付けている。
MSMについてはCICフロンティアなどが、医療に積極的に供給している。
ロコモに対して、運動療法が効果的であることは間違いないが、運動を継続することが困難な高齢者においては、こうしたサプリメントの活用が効果的であるのではないだろうか。
(JHM95号より)