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クロージングの必要性増す [JHM]

[ 2010/7/22 ]


臨床の適用が美容医療にも広がる血液オゾンクレンジング療法は、内科的アンンチエジングのなかで最も体感が得られる治療としてIVC(高濃度ビタミンC点滴)の普及を超える可能性もみせる。治療に入れば確実にリピーターになる半面、この診療の優位性を患者に理解させ納得させるには医師自らのオゾン療法への理解度と、コミュニケーション能力が問われることは言うまでもない。さらにこうした保険外診療による新たなセラピーでは、医師と患者との信頼関係が大事になる。多店舗型の美容クリニックでは、経験の浅い医師らが治療を行なうことも少なくなく、新規クライアントを馴染みの薄い施術でクロージングさせるには容易ではない。美容医療の世界にとって、こうしたクロージングの重要性は経営に直結するだけに、いかに正しくわかりやすく治療、施術の良さを患者に納得させるかが問われることになる。


血液オゾンクレンジングを日本に逸早く普及し、自らのクリニックで多くの症例をとってきた故・伊藤 一裕医師。一昨年TV放映されたことをきっかけにこの治療法が一躍脚光を浴びることになるわけだが、映像を媒介として視聴者の目に飛び込んだのは、オゾンでクレンジングされ還流された血液が施術前に比べ明らかに改善していく検証だった。毛細血管のシミュレーションシステムMC‐FANによって、血液の流速が見事に増すという実験である。さらに、被験者のBeforeAfterをサーモグラフで計測し上・下半身そして手、足の指先の変化をとらえた画像を映しだしていた。

こうしたビジュアルによってその治療効果を訴求したことが、やがてオゾン療法の飛躍的な普及になる。伊藤医師の遺志を継ぎ、いまオゾン療法で最も多くの症例をこなす東海渡井クリニック・渡井健男MDは「血液オゾンクレンジングの理論とメカニズムは奥が深い。よほど熟知したドクターでも患者さんにわかりやすく説明し納得してもらうには時間がかかります」と話す。つまり治療時間と治療費とのコストパフォーマンスを考えれば、映像に訴えて治療効果を説明した方が時間の短縮にもなり、説得しやすい。

クリニックでは、医療用の持ち運びも便利な簡易タイプのサーモグラフカメラを用意、またMC-FANも設置して、新患向けに活用しているという。

先ごろJAASトレーニングとして東海渡井クリニックでの第4回現地研修を行なった際も、参加した美容整形の医師から「せっかくの優れた治療術を、患者さんに説明できないことがある。美容医療ではカウンセリング即クロージングが求められる」として、オゾン療法を美容の世界に普及させる方法としてビジュアルによる多少のパフォーマンスは欠かせないと強調した。

もちろんこうしたクロージングにおける手段は、何もオゾン療法だけに限らない。とりわけ美容整形、皮膚科では顔かたち、肌改善を治療の主たる目的としていることから、施術前後の顔写真は必須の手段となることはいうまでもないが、あくまで撮影写真は治療後の"出来ばえ"を患者に評価・納得させるもの。あるいは、一部広報用に使う意味合いが大きい。どちらかというと、美容皮膚科向けのクロージングの手段として数年前から導入が進む肌分析・診断のためのスキンアナライザーが、その好例といえよう。

クリニックで医師がカウンセリングを行なう際、あらかじめ患者の肌の状態を分析、診断するもので、しみ、しわ、皮脂、色素沈着、肌の色調などが克明な映像と共に数値で割り出されると同時に、総合評価として肌年齢を算出する。

いま、こうしたスキンアナライザーにさらに進化した医療ユースの画像分析、診断システムが開発され、7月から市場に発表された。

その機能、治療における優位性そして圧倒的なコストパフォーマンスをもつフォト、レーザー、RF、キャビテーションなどを美容医療機の世界で次々に発表してきたアーティスティックが、発表した「肌分析・診断・クロージングシステム JANUS」である。

最大の特長は、カウンセリングから分析、診断に加え、クロージングのためのユニークな機能を備えていること。クライアントの登録後、正面、側面をシステムの一方である撮影カメラ(1000万画素デジタルSLRカメラ、光源:一般光、偏光、紫外線光)で撮影、拡大された映像をイメージプロセシングしていく。そして、しわ、毛穴、しみ、色素沈着、皮脂の状態など数多くのチェック項目を分析・評価しそれぞれの結果を算出する。一方で顔の部位を選択しながら、3D映像によって皮膚のしわの起伏、深さなどが断面として観察できる。

こうした結果と映像をもとにシミュレーション動作がついていることがこのシステムの特長で、しみ、毛穴、ほうれい線などのしわを映像が映し出されるパソコン上で、あたかも治療しているように修正していき、BeforeAnfterを画面上で患者にみせることができる。ボトックス、ヒアルロン酸、レーザーなどによる治療をデモンストレーションによって画面操作していく。

シミュレーションは、平面のみならず立体的に鼻、顎、唇などにも操作できるため、整形術のカウンセリング、クロージングにも充分対応できるため、美容医療のドクターにとってはありがたい。

こうした履歴は10回分までデータベース化されることから、リピーターを獲得する大きな手段となるはずだ。
また「JANUS」には、さらにクリニックオーダーメイドの治療、施術プランをつくることができ、シミュレーションからドクターお薦めの"治療カルテ"へとつながっていくことになる。


特殊な治療メニューを選択するケースはともかく、クリニックが決める標準的なメニューがこうしたオーダーメイドの客観的な分析、診断で割り出せることは、マニュアルに基づいて施術を行いやすい。そしてクロージング能力にも差がでにくい。
一度はこのシステムの操作を体験してみてはいかがだろう。



(JHM95号より)
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