ロンザ社L-カルニチンの生産体制拡充 [JHM]
[ 2010/6/1 ]
先日行なわれた健康原料・素材・OEM展でL-カルニチンについて講演するロンザジャパン・王堂氏
L-カルニチンの原料サプライヤー、スイスのロンザ社は、世界的なL-カルニチンの需要の拡大に対応するため、生産設備の移設、ならびに製造方法の変更による生産体制の拡充を行うことを発表した。
生産設備の移設先は中国の広州市にある、ロンザ社の既存工場で、この工場ではすでに世界的トップシェアのビタミンB3(ナイアシンアミド)の生産実績をもっており、ロンザ社の100%独立資本で、品質管理もcGMPに準拠しており、L-カルニチンについても、これまで同様の品質管理の下に行われる。
注目すべきは製造方法の変更だ。L-カルニチンの製造方法には、畜肉からの抽出や発酵法、化学合成法などがある。 これまで、ロンザ社のL-カルニチン『カルニピュア™』は、独自の発酵法による、D体の混じらない製造方法が特徴であった。
一方で、この方法では増産によるスケールメリットを出すことが難しい方法と言える。世界的な需要の拡大と、スムーズな供給体制を整えるため、現在の『カルニピュア™』と同等の製品を化学合成によって得られる技術開発を行い、今までの発酵法を人工的に再現したともいえるL体のみを合成する独自の製法によって生産を行う。そのためブランド名はこれまでどおり『カルニピュア™』となる。製品の規格や供給などについても変更はない。
食品に関しては、天然物志向は根強いが、一方で医薬品はそのほとんどが化学合成によって製造されている。成分の純粋さを求めるのであれば、化学合成という選択肢は、むしろ安全な方法である。
日本国内の供給については、これまでどおりロンザジャパンが行い、新体制での供給は2011年からとなる予定だ。
(JHM93号より)