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第12回ドクターアンケート [JHM]

[ 2010/4/15 ]
自由診療で最も使用されているサプリ・点滴・注射・機器・検査を聞く

検査の王道FRAS4、多数回答プラセンタ、今後注目PRP、UVB・血液クレンジングなど



恒例となったドクターアンケートも、今回で第12回となった。本紙前号では、メーカー側から見た、医療流通の実態をご紹介させていただいたが、本稿では実際に医療の現場で、どのメーカーのどのサプリメントや点滴、美容機器や検査機器が使用されているかを、直接アンケートによって聞いている。自由診療において、医師・歯科医師が何をメニューの花形として捉え、何が患者に人気のある施術なのか?医療現場の生の声をご紹介する。


今回のアンケートは記述式で質問項目が多かったため、回答率は前回よりも低く、約1000名の医師・歯科医師にアンケートを行い、5.6%の回答率となっている。

開始する前からわかっていたことだが、集計は困難を極めた。特に使用しているサプリメントを聞いているQ.2についてだが、予想をはるかに超える製品数の多さで、本紙も聞いたことのない製品が多数挙げられている他、素材名だけの記載も多く見られ、集計が正確ではないことを、お断りしておく。

それではまず、毎回聞いているQ.1「保険診療のみで患者は満足しているか?」について、これはほぼ100%Noと言う回答。1名だけ「どちらともいえない」と記入してくれた回答者がいた他、Noと回答しながらも、「ただし保険しか希望しない患者さんは、それだけで満足している」と回答してくれた歯科医師の回答者もあった。


使用しているサプリメント

続いて百花繚乱のQ.2「実際に使用しているサプリメント」の素材名・製品名・会社名・用途を聞いている。
素材名で最も多かったのは総合ビタミン・ミネラルの34名で、以下多い順に、CoQ10、プラセンタ、微量ミネラル類、ビタミンC、C以外の単剤ビタミン(B群含む)、アスタキサンチン、α‐リポ酸、アミノ酸、グルコサミン、乳酸菌生成エキス、コラーゲンと続く。
製品名は飛ばして、会社名では、最多が日本ダグラスラボラトリーズ、以下ヘルシーパス、PureMed、分子生理化学研究所、富士化学工業、ピーエス、MSS、日本生物製剤、B&Sコーポレーションと続く。
ただ、このアンケートの性質上、多くの製品のラインナップがある会社が、上位に来てしまうのだが、『アスタリールACT』のみの富士化学工業や、『DAAC‐01』のピーエス、『JBPポーサイン100』の日本生物製剤、『アルベックス』のB&Sコーポレーションは、ほぼ単一の製品のみで、上位にいる。それだけ多くの医師に支持されている結果と言える。

また、素材で上位のビタミンCの中で、『持続型』とあえて記入してくれている回答者がおり、差別化されている扶桑化学工業の『持続型ビタミンC500&クエン酸』は、多くのビタミンCがひしめく中で、健闘しているといえる。

また、オリジナルサプリを使用している例も散見された。それだけ、医師のサプリメントの利用が増加していることの現われだろう。

気になるのが、EPAやDHA、DPAなどのω3系の脂肪酸の少なさだ。欧米での使用量を考えれば、もう少し回答があってもいいように思える。

また、このカテゴリーでは、DHEAやメラトニンと答えてくれた医師も複数あった。本紙のアンケートとしては、ホルモンや医薬品の適応外使用の例を、別項目として設けるべきであったかもしれない。そうすれば、エストロゲンやテストステロンで、何が主流なのかや、プレグネノロンや5HTPなどの使用実態といった、興味深いデータが得られたかもしれない。



使用している点滴製剤

Q.3はクリニックで使用している点滴製剤について。これは、Q.2と比較して、非常に分かりやすい。ビタミンCとプラセンタで、回答の3分の2を占める。その他の回答も、Ca-EDTAやNa-EDTA、グルタチオンやマイヤーズカクテル、ニンニク注射など。

点滴剤のメーカーを見てみると、ビタミンCではバイオニーシュがトップでマガフと国内製剤が追随している。プラセンタについては、100%日本生物製剤の『ラエンネック』であることは言うまでもない。点滴療法がこれだけ拡大しても、回答のほぼ4分の1はプラセンタだ。

以外だったのは、Ca-EDTAの回答の多さ、Na-EDTAよりも多かった。操作の煩雑なNa-EDTAよりも、国内製剤のCa-EDTAの方が、手軽で安心して使用できるからかもしれない。



注入療法

Q.4は注射剤について、質問している。点滴ではなく、皮下や筋肉に注射するプラセンタ、メソセラピー、PRPやヒアルロン酸、ボトックスなどを便宜上、ここに含めた。そのため、わかりづらい面があったのか、ボトックスと答えた医師は1名も無かった。

ここで最も回答数が多かったのはプラセンタ。点滴と合わせると、アンチエイジングクリニックで最も多用されている製剤と言っていいだろう。プラセンタのメーカーでは、日本生物製剤が回答の6割、メルスモン製薬が4割となった。

続く注入物としてはプラセンタと頻差で、PRPとヒアルロン酸が同率で2位となった。PRPのメーカーは記入してあるものはすべてベリタスで、メーカー名の記入のない回答が少数あった。PRPはマイセルが主流とみて間違いないだろう。

一方ヒアルロン酸は、レスチレインがほとんどで、ジュビダーム、テオシアル、サージダームの回答が散見される。
少数意見ではハイドロキシアパタイトやコラーゲン、エレクトロポレーションなどの回答があった。



美容機器

Q.5は使用している美容機器。このカテゴリーもやや集計するのに混乱した。ライトとRFなど、複合的な機種が多いためだ。それらをできる限りカウントすると、インテンス・パルス・ライトとRFとフラクショナル・レーザーが同率で1位となった。

このアンケートは、患者さんに人気のあるものから記入してほしい旨の注意書きをしてあるため、このような結果となったと思われる。回答数が多い=クリニックにおいてポピュラーである、というわけではない。

その他の回答ではアレキサンドライト、QスイッチYAG、ダイオード、エンダモロジー、赤外線、イオン導入、超音波美顔器など。

メーカーでは、上位の機種を多くラインナップするジェイメックがトップで、アブソルート、キャンデラ、ルートロニックなどが挙げられている。



自由診療の検査機器

Q.6は、自由診療で用いる検査機器について聞いているが、これについては、回答数も少なく、ほとんどまとまったデータが得られなかった。
唯一、まとまった検査機器はウイスマーのFRAS4のみで、アンチエイジングの検査機器としては、既に定番と言っていいだろう。ウイスマーは、このFRAS4を中心とした、酸化ストレスについてのセミナー『酸化ストレス抗酸化セミナー』を4月25日(日)東京の丸ビルで開催する。

非常にレベルの高い内容ながら、臨床に応用できる演題が多く、酸化ストレスの対応をクリニックで行う開業医であれば、年に一度のこのセミナーは、必須科目である。

また、近年では人間ドックなどにも採用されているので、疾病予防という観点からもFRAS4の存在は大きくなりつつある。
話がそれたが、他の検査機器としては、唾液の酸化ストレスを見る『あら元気』や動脈硬化を見る『メディカルアナライザー』などと共に、位相差顕微鏡による血液検査、機器ではないが、遺伝子検査や『サプリメント・ドック』、毛髪ミネラル検査などが挙げられている。

歯科の検査では、複数回答として、口臭測定器が挙げられるが、機種はバラバラで、その他、口唇力測定や唾液検査、短時間う蝕活動性試験などの回答があった。



その他の自由診療

Q.7はその他の自由診療を自由筆記していただく欄として設けた。
複数回答として得られたものは、サプリメント外来と歯科のインプラントのみだ。

その他、医科での回答と思われるものに、栄養療法、血液分析、微小循環測定、オバジ・ニューダーム、ケミカルピーリング、プラセンタのツボ打ち、漢方治療、東洋医学、鍼治療、キレーション、血流機能評価、HARG療法、真空含浸発毛、エアージェント、B-TCES(植物由来成長因子)などが挙げられている。

一方で、歯科での自由診療としては、矯正、審美歯科、咬合治療、表情筋トレーニング、咬みあわせや全身の姿勢と咀嚼の指導、サイナスリフト、ソケットリフト、スプリットクレスト、GBR、舌麻痺に対しての幹細胞療法、CGFを用いた歯周組織再生療法、PRPを用いたインプラント治療、口腔粘膜再建、レーザー治療などがあり、エアナジーや骨盤矯正チェアを用いたエステルームを完備している、という回答もあった。

アンケート全体を通してみると、目につくのがプラセンタの強さだ。サプリメント、点滴、注射と3つのカテゴリーで上位を占めている。これは既に世界に誇れるアンチエイジング医療の一分野だと言える。

また、医療でのサプリが、これほどに多くの商品に分散しているのかという印象だ。前号で医療流通サプリメントのメーカーについては、ある程度紹介しているが、それをはるかに超える企業が参入している。医療機関としてのサプリメント外来、栄養指導でのサプリメントは、既に自由診療として定着してきており、これまでサプリメントをあまり意識していなかった美容外科系のクリニックもサプリメントを使用し始めている。

点滴に関しては、圧倒的にビタミンCが強い。しかし、それに加えて奥行きのあるメニュー構成を考えるとき、血液クレンジングや血液フォトセラピー(UVB)は、魅力のある選択肢だ。

注射剤については、プラセンタは常識化している一方で、充分クリニックの花形メニューになっているといえる。美容系では、ヒアルロン酸注入も同様だろう。

次の花形になりうるものとして、PRPが挙げられる。もっとも身近な再生医療として、PRP注入はその応用の広さからも注目される。
美容機器ではフラクショナルレーザーが注目かもしれない。本来の使用法とは別に、成長因子などのドラッグデリバリーとしての使用が近年注目されている。

検査機器では、FRAS4が王道であることは、今後も変わらないだろう。日本の酸化ストレス測定では、ゴールドスタンダードだ。
一方で、発売の秒読み態勢に入っている、8-OHdG測定器が注目だ。これまで検査に出すしか方法のなかった8-OHdGがクリニックで数分で測定できるようになる。

本アンケートにご協力いただいた先生方にお礼を申し上げるのと共に、本稿が少しでもお役にたてれば、幸いである。



(JHM92号より)
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