2010年も実技、実習重視へ JSCAM前期カリキュラム決まる [JHM]
[ 2010/1/6 ]
収支の採算を考えれば引き続き実質マイナス改定を余儀なくされる診療報酬、また保険診療制度下で重い労務負担を強いられる医師、コメディカルたち。医療現場を取り巻く環境は厳しい。
こうした中、積極的な予防医学そして新たな治療術をめざし、「若返り」「美容」「抗老化歯科」「統合医療」の臨床応用と実践を学び、検証する、臨床アンチエイジングの集りJSACM日本臨床抗老化医学会(http://www.npo-jscam.com)に、入会者が増えている。
同医学会では、こうした急増する会員のために、2010年も引き続き「実技・実践」を重視したカリキュラムの体制を敷く。一方で、今年から会員対象として門戸を広げた医療・美容ユーザー(一般会員)をさらに拡大して、受診側と医療を提供する両者が共に、アンチエイジング医学の正しい理解と普及啓蒙を推し進めていく。その啓蒙媒体として本紙JHMに加え、今年2月から本格稼動した、アンチエイジング専門医(医師、歯科医)と患者を結ぶポータルサイト「AAR」をさらに活用していくとしている。
来年1月にJHM内に発足する新たな集まりJAAS(日本アンチエイジング外科・美容再生研究会)の公式サイトとして、「AAR」がリニュアルされることから、内科的抗老化のスペシャリストを育成するJSCAMと、外科的アンチエイジングの専門医が集って新たな施術の習熟をめざすJAASが補完しあいながら、ユーザーと共に臨床アンチエイジング医療をレベルアップしていくことになる。
09年の今年、JSCAM活動に新たな潮流が生まれた。
認定医認定制度下で継承されている「専門認定医」「認定医」「実践指導士」資格のための講習、派遣研修、実技指導、学術フォーラムなどのカリキュラムで、診療科目(8科目)ごとの講義と実技研修を組み込んだ「一日でわかる入門講座」と、「明日から開設できるトレーニング研修」が実施され、資格制度とは別に、その都度「修了認定」を受講者に与えた。
さらに、医師、歯科医の診療の境界線をある部分ボーダーレスとして、VC点滴、オゾンクレンジング療法そしてヒアルロン酸注入などにおいて役割と分担を認め合いながら、共に提携しあう機会をカリキュラムに用意したことだろう。
もちろん、現行下での医療法をあくまで遵守しながら、医科、歯科の診療範囲を専門医からの解釈を参考にして実施したことが言うまでもない。
これにより、09年アンチエイジング診療の集大成として開かれた11月の第7回東京アンチエイジング・フォーラム(第7回 臨床抗老化医学会議・展示)を終え、登録会員数は900名に迫る勢いで、2010年、1000名の陣容となることは間違いない。
10年度の年間カリキュラムは、今年を上回る講座数になる予定で、履修科目も10科目(点滴・オゾン・キレーション、美容再生、アンチエイジング歯科、サプリメント外来、メディカルダイエット、遺伝子医療、統合医療、ホルモンセラピー、メディカルスパ・デンタルスパ)と増える。前期、後期に分け、年間30講座に迫るカリキュラムが組まれることにまる。
2月を皮切りに前期がスタートするが、7日には「アンチエイジング歯科と診療範囲の解釈」が入門講座として開催、そして実技研修として3月14日に現地派遣研修「明日から開設するためのフィラー注入・インプラント治療における術前後の痛くない処置法」が予定され、今年同様、2回受講での「修了認定証」が発行される。
美容皮膚再生では、PRP、遺伝子皮膚再生、幹細胞療法、GFセラピーなどクリニックですぐ使える治療術を医科、歯科対象に3月、5月、7月と断続的に入門講座・現地派遣研修の2回受講制で実施される。また、独クレンツ医師による血液・骨髄系ステムセルセラピーと疾患に対する遺伝子検査・診断から予防・治療としての栄養療法、ホルモンセラピーについて、タイバンコクのバムルンラード病院内の研修施設で、現地トレーニングが2月26日—28日予定されている。
今年好評をえた、医科、歯科医のための「VC点滴、マイヤーズの実際とサプリメント外来」は、3月28日(入門編)で学び、4月17日—18日(医療施設・現地集中研修)で臨床研修していく2回コースを準備した。点滴療法の実際を、そのレシピー、現場での準備、手技、診断、経営手法まで指導にあたるJSCAM理事長・松山医師が徹底指導にあたる。
VC点滴療との併用で、即効性ではVCよりも優れていると受講者からも評価の高かった、「血液オゾンクレンジング療法」も、3月28日の講義に加え、4月4日に東京大田区の東海渡井クリニックで今年に引き続き実施、3回目のコースとして新たにUV照射などのクレンジング手法も加えて渡井医師から伝授される予定だ。
一方、4年前から始まった「JSCAMサプリメントアドバイザー」資格(第7期で77名認定)のための3回講座は、他の診療科目と併用するかたちで第8期目の資格コース(3月28日、4月17日—18日、5月23日)が準備されている。
このほかにも、キャビテーションなど脂肪吸引に代替可能な装置などのデモ講習を交えた「メディカルダイエット」、レーザー、光治療、ラジオ波、高周波、超音波などによる「メディカルエステ・デンタルエステ」の実技講習も5月、6月に予定されている。
こうした講習への受講対象は、JSCAM会員のうちB会員(看護師、薬剤師、エステティシャンなど)にも診療科目によっては可能な限り開放されている。また、参加枠を限定しながらも一般ユーザー会員にも受講機会を与えることになる。
科目ごとの「修了認定」授与のための単位は、認定医など資格要件の履修単位数にも重複加算されることは、来年も変わらない。
今年、JSCAMのカリキュラムを補完するかたちで「美容整形・外科」分野として、実技トレーニングと公開レッスンを提供してきたJHM健康医療ジャーナルでは、1月発足するJAASとの共催体制で10年度もトレーニングを行なう。JAASの中心メンバーには美容外科・整形のスペシャリストを揃え、新しい抗加齢外科を追及するためにスタートする。
美容外科、美容再生としての臨床経験をさらに積んでもらうためにも、美容外科・形成医はもちろん、内科系医師や美容歯科にも入会と受講を薦めていく(ただしトレーニングは従来どおり会員。非会員問わず受講可)。
また10年も、履修単位については、JSCAMと相互補完していくという。
JAAS共催で予定するトレーニングは、スレッドリフト、ふくらはぎ痩身(今号5面参照)、眼瞼形成術、幹細胞・GFセラピー、ヒアルロン酸注入術(今号10面参照)、美容整形解剖学実習、医療・美容機器講習などが日程に組み込まれている。
(JHM90号より)