JAASアカデミー
TEL
お問い合わせ
一般社団法人 JAAS日本アンチエイジング外科学会

JAASアカデミー

一般社団法人 JAAS日本アンチエイジング外科学会

TEL

お問い合わせ

プラセンタに続くアンチエイジング医療の登竜門 [JHM]

[ 2009/10/5 ]



近年PRPにFGF(線維芽細胞成長因子)などを添加する方法が散見されるが、これに対し久保田MDは、製造元も噴霧用に製剤化しているもので、注入を推奨していない上に、反応が過剰になった場合に対処ができないため、PRPに添加すべきものではないと啓蒙している。
作業としては、10ccの静脈血を採血し、7分ほど遠心分離をかけた後、分離された血漿成分の上澄みを捨て、採血管にスリーブを挿入し、PRPを注入用シリンジに吸引し、患者に施術する。慣れれば難しい作業ではない。患者への注入もクリームやテープで表面麻酔を行った後、真皮や皮下にシリンジでゆっくりと注入する。

ここ数年、急速に広まっているPRP注入療法=ACR(Autologus Cell Rejuvenation)について、どのような施術間隔で実施するのが効果的なのかを久保田MDに伺った。「年2回で良い状態はキープできます。ただ、間隔は短ければ良いというのではなく、3ヶ月に1回、年4回という間隔がベストだと思います。」

また、単純にマニュアル通りに行うのではなく、患者の年齢や状態に合わせて、血小板の濃度を調節(遠心分離後の上澄みの捨てる量を調整)て施術することや、改善したい部位の周辺に広く注入することなど、工夫次第で効果をさらに向上させることも出来るのだという。本来PRPはフィラーのように使うものではないが、多く採取でき、PRPがあまった場合などは、脂肪層に多めに注入し、フィラーのように使うと、患者満足度も高いのだという。
PRP注入療法の適用としては、先述のチリメンジワや通常のシワ、フィラーでの対応の難しい下眼瞼周辺の治療が特に効果的だが、成長因子を放出するというその作用機序を考えれば、顔全体のアンチエイジングに効果的であることは、想像に難くない。

また、外科的な手術やレーザーなどよりの低侵襲で安全性が高いことに加え、イニシャルコストが30万円程度ではじめられることが、大きな魅力だ。

ただ、以前のキットは、同一人物の血液を分離するにも、試験管ごとに結果が違ってしまうなど、血球の分離を行うゲルセパレーターが不安定だったため、経験を踏まえた改善の要望をメーカーに投げかけていた。
それに対して明確な回答が得られなかったため、改めてPRPを分離できるキットを探索してみると、イスラエル製のマイセルのキットにたどり着く。
このマイセルのキットによって、PRP注入療法は、その安全性と効果に対する安定性を高めたといえる。

久保田MDは「マイセルのキットの優れている点は、輸血に使用できる品質であることです。」と語る。
チューブやセパレーターの材質、使用する抗凝固剤やガラスのコーティング剤まで含めて、分離した血漿を、体内に戻すことを前提とした材料で構成されている、世界で唯一のPRP分離キットである。
もちろん、血球を分離するゲルセパレーターの機能が安定しており、これまでのキットと比較して、1回の収量と血小板の回収率も良いという。
また、誰でも安全に操作できる工夫がされていることも特徴の一つだ。PRPを注入用の注射器で吸い上げるときに、セパレーターに当たらないようにするスリーブがセットされていることなどの工夫が施されている。PRPを得るまでの作業時間も以前のキットと比較して、約2/3に短縮できるという。また、注入後の患者の灼熱感も抑えられるため、採血から、施術終了までの時間もトータルで短縮される。

「PRP注入療法の成功の可否を決める一つのファクターは、無菌操作が出来るか否かです。」と語る久保田MDは、PRPを血液製剤として捉えており、マイセルのキットはその条件に合致するものとだという。
幹細胞や線維芽細胞の培養など、再生医療を応用した施術をクリニックに導入するとなると、クリーンルームや培養に関わるクリーンベンチなど、大規模な設備投資が必要になり、いきおい施術も高額にならざるを得ないが、PRP注入療法=ACRについては、必要な設備はPRPのキットと遠心分離機のみで始めることが出来る。現時点で最も身近な再生医療であり、様々な意味でローリスクなアンチエイジングの手法と言っていいだろう。
例えば、プラセンタ治療を行っているクリニックであれば、より美容的で高度なその次のメニューとしてPRP注入療法は、抵抗無く受け入れられるし、ヒアルロン酸などフィラーほどのテクニックも必要とせず、レーザーほどのリスクも無い美容医療として、医師の技能習得の労力も最低限で、クリニックに導入することが可能な医療だ。

ACRについては久保田MDが主催するACR研究会に参加することで、最新の情報とコンタクトできる。本稿に掲載した情報についてのお問い合わせは、弊紙編集部(03‐6222‐3121までお問い合わせください。




(JHM87号より)
Copyright (C) JAAS ACADEMY. All rights reserved.