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酸化ストレス評価法で議論白熱 [JHM]

[ 2009/9/28 ]
フリーラジカル分析装置『FRAS4』のサプライヤー、ウイスマー主催の酸化ストレス・抗酸化セミナーが、開催された。毎年恒例となったこのセミナー、今年で第7回となる。毎回、新しい発見のあるこのセミナー、今年のテーマは『d‐ROMs・BAPテストの臨床的意義と生活習慣病予防・抗加齢への貢献』で、FRASユーザーのメインテーマとも言うべき内容だけに、これまで以上の熱い議論が行われた。その内容をダイジェストで報告する。


最初の演者はディアクロン社の専務取締役 製品開発部長のフィリッポ・カラテッリ氏より、d‐ROMsテストの開発秘話と新しいANTI-ROMテストについて、の発表があった。
FRASではなくFREEの測定になるのが残念だが、ANTI-ROMは興味深いテストだ。迅速簡便に1つの試薬で、異なる2種類の抗酸化力を測定できるテストなのだという。
続いて岡山大大学院 山本龍生講師は、歯周病の原因としての酸化ストレスについて、高コレステロール食やアルコール摂取について動物実験データを発表し、ヒトでは、d‐ROMsの高い人ほど、歯周病が悪化傾向にあると報告し、これからの歯周病予防には、全身の酸化ストレスケアを検討すべきであると提案した。
鹿屋体育大 齋藤 和人教授は、運動による酸化ストレスと赤血球の変形能について発表した。
鍛錬されたアスリートでも、100%近い運動強度ではd‐ROMsは上昇するが、70〜80%の運動強度では有意な変化を示さなかった。
続いて東邦大 廣門 靖正客員講師は、線維筋痛症(FMS)と酸化ストレスバランスについて講演した。FMS患者は健常者と比較して、d‐ROMsが高く、痛みの指標であるVASとd‐ROMsが相関しているという興味深い報告で、特異的な検査のないFMSにとって、またその疼痛を検査する、新しい指標になりうるのではないかと述べた。
はるみクリニック 中山 晴美院長は、慢性疼痛患者への星状神経節ブロックによる酸化ストレスの影響について発表したが、後半にクリニックにおいて、自由診療を拡大するためのノウハウと、その中でFRASの果たしている役割を語った。
星状神経節ブロックによって疼痛患者のd‐ROMsは有意に低下しており、中山院長も先述の廣門講師と同様に、d‐ROMsが疼痛の指標になるのではないかと語った。
また、自費診療の入り口としてFRASの役割は大きいが、患者は検査料に敏感であることから、FRASの検査料はメニューに組み込んであるなどのノウハウを語った。
大阪市立大大学院 土屋 正彦准教授は、外科手術と酸化ストレスについて発表した。
通常の手術と腹腔鏡手術では、酸化ストレスに大きな違いが出た。さらに使用する麻酔薬についても、強力な抗酸化作用を持つpropofolを用いることで、酸化ストレスを軽減できることを報告した。
関節炎とフリーラジカルについて講演したのは、近畿大 福田 寛二教授。関節リウマチ患者は健常者に比べ、間違いなくd‐ROMsが高いこと、さらにリウマチ治療を激変させた生物製剤について、使用して効果が現れる患者は、d‐ROMsが下がるが、効かない患者はd‐ROMsが上昇することを報告、薬剤の効果測定にFRASが使えるのではないかと語った。



(JHM87号より)
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