横浜みなとクリニック院長・昭和大学兼任講師 福岡 大太朗 MD
[ 2009/7/13 ]
外科手術を超える結果、幹細胞タンパクの再生医療
これからの医療のトレンドの一つが再生医療であることは、間違いない。再生医療の最終的な目標は、臓器や組織の失われた機能の回復であるが、美容やアンチエイジングとしても、注目される技術である。
むしろ、美容やアンチエイジングによる再生医療の活用のほうが、より早く取り組みが行われようとしている。
再生医療に用いられる技術にはいくつかあるが、現在、最も実用的なものの一つが、脂肪由来幹細胞を用いた技術といっていいだろう。すでに国内でも自己脂肪から幹細胞を選別し、体内に戻すという施術を行うクリニックは数箇所あるが、クリーンルームを設置しなければならないなど、どこのクリニックでも行える技術ではない。
そこで幹細胞から必要な成長因子のみを抽出して、活用する技術が開発された。それが、本紙83号でも紹介した『Meso Skin』という方法だ。
幹細胞の注入による皮膚のアンチエイジングでは、幹細胞はあくまで、トリガーでしかなく、幹細胞が放出する、様々な成長因子などのサイトカインが皮膚全体の若返りを促すのだから、必ずしも幹細胞自体が必要なのではなく、その成長因子のみを用いることで、クリーンルームなど、大規模な設備なしに行うことのできる『Meso Skin』は、理にかなった方法といえる。
この『Meso Skin』に研究段階から関わり、日本に導入した医師が、本稿で紹介する横浜みなとクリニック院長の福岡 大太朗MDだ。
昭和大医学部大学院を卒業後、有名美容外科、形成外科クリニックに勤務し、
その後欧米諸国にて美容外科手技について学ぶ一方で、福岡MDの専門はサイトカインの研究だった。美容的な施術を行った際にも、当然ながら、サイトカインが創傷治癒効果を促進することで、その効果が得られているのだ。
例えば「フォトフェイシャルで、光で老化しないのはなぜかを考えると、損傷部位から、何らかの指令が出ているのではと仮説をたてました。その結果、幹細胞の分裂能と、幹細胞に発現するAタンパクがそのキーになっているのではないかという推論にたどり着きました。」と福岡MDは語る。
サイトカイン研究の過程でブレインリサーチ誌に発表した論文が世界的な反響を呼び、05年、韓国で実用化のための研究中の脂肪由来幹細胞抽出タンパクに出会う。06年から日本国内で、安全性に関わる確認を厳重に行ったうえで、本格的に臨床に応用を始める。また、その韓国の研究チームと脂肪由来幹細胞抽出タンパクの研究を進め、現在、論文の執筆を行っており昨年、DERMATOLOGIC SURGERYに掲載された論文に引き続き、さらに詳細な内容を投稿する予定である。
福岡MDは、日本美容外科学会の専門医であり、他にも日本形成外科学会やアメリカ美容外科学会にも所属し、ヨーロッパ美容外科学会では名誉会員となっている、美容形成のプロフェッショナルだ。
その福岡MDは、『Meso Skin』を評して「外科的な治療を超える技術です。レーザーなどは、一定の結果を出すと、それ以上の効果を望むことは難しいが、『Meso Skin』は、これ以上改善しないと思った先に、さらに良くなっていきます。いまだに治療のエンドポイントは見えない。」と絶賛する。
『Meso Skin』は、脂肪由来幹細胞抽出タンパクを皮下に注入する技術だが、その効果は、「肌が白く、ふっくらとします。シワや肌のきめ、毛穴の改善などが、多くの患者さんが体感する効果です。また、メラニンの生成や炎症を抑えるので、年齢にもよりますが、シミにも効果があり、いわゆる皮膚組織の入れ換えとも言える驚異的な効果を与えます。」
安全面についても「サイトカインには、アクセル役とブレーキ役があります。『Meso Skin』に使う脂肪由来幹細胞抽出タンパクは、幹細胞が持つ、本来のバランスそのままのサイトカインを、全て含んでいます。本来のバランスのまま使っていれば、暴走せずにレギュレーションがかかります。もっと研究が進めば、バランスのコントロールをすることで、肌や心臓、骨など、各組織に向いたサイトカインの組み合わせが、見出されるかもしれません。しかし、世界中で研究して、あと4〜5年はかかると思います。」と語る。サイトカインを研究し、欧州の学会から招聘されるほどの福岡MDの言葉には力がこもる。
日本で既に250症例をこえる施術を行ってきた福岡MD、リピーターも多く、クリニックでは、レーザーやフォトよりも、『Meso Skin』が主流となっているという。
「やりたいという患者さんには、もちろんレーザーやフォトも行いますが、その場合でも、事前に『Meso Skin』を行うことで、かなりの相乗効果が期待できます。」とフラクショナルレーザーなどとの併用も行っている。そうしてリピーターとなった患者は、その維持のために『Meso Skin』を受けるために、クリニックに来院するのだという。
加齢によって失った成長因子を補うという意味合いでは、『Meso Skin』は間違いなくアンチエイジング医療である。その一方で、『Meso Skin』は、クリニックで行うことのできる再生医療。さらには美容形成の専門医である福岡MDは「本来の美容はこれだ、という手応えを感じます。」というほど評価している。
今後の再生医療について質問してみると、「再生医療の本来の目的は創傷治癒や機能回復です。しかし、ビジネスとしての再生医療としては、毛髪の再生や美肌です。特に毛髪再生の可能性には大きな期待を持っていまし、これまでの研究ではほぼ全例に毛髪の再生がみられており、副作用の発現もありません。また、現在は韓国で培養されている幹細胞由来のタンパク質を用いていますが、既に自己脂肪由来のタンパク質の研究もはじめています。」と語った。
福岡MDが『Meso Skin』について解説する講演会は随時開催されています。ご興味のある読者は、問い合わせ(03-5778-2171担当:斉藤まで。
(JHM86号より)
これからの医療のトレンドの一つが再生医療であることは、間違いない。再生医療の最終的な目標は、臓器や組織の失われた機能の回復であるが、美容やアンチエイジングとしても、注目される技術である。
むしろ、美容やアンチエイジングによる再生医療の活用のほうが、より早く取り組みが行われようとしている。
再生医療に用いられる技術にはいくつかあるが、現在、最も実用的なものの一つが、脂肪由来幹細胞を用いた技術といっていいだろう。すでに国内でも自己脂肪から幹細胞を選別し、体内に戻すという施術を行うクリニックは数箇所あるが、クリーンルームを設置しなければならないなど、どこのクリニックでも行える技術ではない。
そこで幹細胞から必要な成長因子のみを抽出して、活用する技術が開発された。それが、本紙83号でも紹介した『Meso Skin』という方法だ。
幹細胞の注入による皮膚のアンチエイジングでは、幹細胞はあくまで、トリガーでしかなく、幹細胞が放出する、様々な成長因子などのサイトカインが皮膚全体の若返りを促すのだから、必ずしも幹細胞自体が必要なのではなく、その成長因子のみを用いることで、クリーンルームなど、大規模な設備なしに行うことのできる『Meso Skin』は、理にかなった方法といえる。
この『Meso Skin』に研究段階から関わり、日本に導入した医師が、本稿で紹介する横浜みなとクリニック院長の福岡 大太朗MDだ。
昭和大医学部大学院を卒業後、有名美容外科、形成外科クリニックに勤務し、
その後欧米諸国にて美容外科手技について学ぶ一方で、福岡MDの専門はサイトカインの研究だった。美容的な施術を行った際にも、当然ながら、サイトカインが創傷治癒効果を促進することで、その効果が得られているのだ。
例えば「フォトフェイシャルで、光で老化しないのはなぜかを考えると、損傷部位から、何らかの指令が出ているのではと仮説をたてました。その結果、幹細胞の分裂能と、幹細胞に発現するAタンパクがそのキーになっているのではないかという推論にたどり着きました。」と福岡MDは語る。
サイトカイン研究の過程でブレインリサーチ誌に発表した論文が世界的な反響を呼び、05年、韓国で実用化のための研究中の脂肪由来幹細胞抽出タンパクに出会う。06年から日本国内で、安全性に関わる確認を厳重に行ったうえで、本格的に臨床に応用を始める。また、その韓国の研究チームと脂肪由来幹細胞抽出タンパクの研究を進め、現在、論文の執筆を行っており昨年、DERMATOLOGIC SURGERYに掲載された論文に引き続き、さらに詳細な内容を投稿する予定である。
福岡MDは、日本美容外科学会の専門医であり、他にも日本形成外科学会やアメリカ美容外科学会にも所属し、ヨーロッパ美容外科学会では名誉会員となっている、美容形成のプロフェッショナルだ。
その福岡MDは、『Meso Skin』を評して「外科的な治療を超える技術です。レーザーなどは、一定の結果を出すと、それ以上の効果を望むことは難しいが、『Meso Skin』は、これ以上改善しないと思った先に、さらに良くなっていきます。いまだに治療のエンドポイントは見えない。」と絶賛する。
『Meso Skin』は、脂肪由来幹細胞抽出タンパクを皮下に注入する技術だが、その効果は、「肌が白く、ふっくらとします。シワや肌のきめ、毛穴の改善などが、多くの患者さんが体感する効果です。また、メラニンの生成や炎症を抑えるので、年齢にもよりますが、シミにも効果があり、いわゆる皮膚組織の入れ換えとも言える驚異的な効果を与えます。」
安全面についても「サイトカインには、アクセル役とブレーキ役があります。『Meso Skin』に使う脂肪由来幹細胞抽出タンパクは、幹細胞が持つ、本来のバランスそのままのサイトカインを、全て含んでいます。本来のバランスのまま使っていれば、暴走せずにレギュレーションがかかります。もっと研究が進めば、バランスのコントロールをすることで、肌や心臓、骨など、各組織に向いたサイトカインの組み合わせが、見出されるかもしれません。しかし、世界中で研究して、あと4〜5年はかかると思います。」と語る。サイトカインを研究し、欧州の学会から招聘されるほどの福岡MDの言葉には力がこもる。
日本で既に250症例をこえる施術を行ってきた福岡MD、リピーターも多く、クリニックでは、レーザーやフォトよりも、『Meso Skin』が主流となっているという。
「やりたいという患者さんには、もちろんレーザーやフォトも行いますが、その場合でも、事前に『Meso Skin』を行うことで、かなりの相乗効果が期待できます。」とフラクショナルレーザーなどとの併用も行っている。そうしてリピーターとなった患者は、その維持のために『Meso Skin』を受けるために、クリニックに来院するのだという。
加齢によって失った成長因子を補うという意味合いでは、『Meso Skin』は間違いなくアンチエイジング医療である。その一方で、『Meso Skin』は、クリニックで行うことのできる再生医療。さらには美容形成の専門医である福岡MDは「本来の美容はこれだ、という手応えを感じます。」というほど評価している。
今後の再生医療について質問してみると、「再生医療の本来の目的は創傷治癒や機能回復です。しかし、ビジネスとしての再生医療としては、毛髪の再生や美肌です。特に毛髪再生の可能性には大きな期待を持っていまし、これまでの研究ではほぼ全例に毛髪の再生がみられており、副作用の発現もありません。また、現在は韓国で培養されている幹細胞由来のタンパク質を用いていますが、既に自己脂肪由来のタンパク質の研究もはじめています。」と語った。
福岡MDが『Meso Skin』について解説する講演会は随時開催されています。ご興味のある読者は、問い合わせ(03-5778-2171担当:斉藤まで。
(JHM86号より)