[JHM] キレーションの是非を問う①
[ 2008/7/2 ]
抗加齢医学会でバトルセッション開催される
先日、東京フォーラムで行なわれた第8回日本抗加齢医学会総会で、Na2-EDTAキレーション(以下:キレーション)についての是非を問う、バトルセッションが行なわれた。
テーマは『キレーション治療による動脈硬化予防』で、血管内皮へのキレーションの臨床的な意義について、賛否両論の議論が交わされた。
アンチエイジング医療では、既に診療の1ジャンルとして定着しているキレーションだが、その一方で循環器医にとっては、抵抗感のある、エビデンスに乏しい代替医療の一つに過ぎないという指摘もある。
今回のバトルセッションは、肯定派の医師2名、否定派の医師2名に加え、座長についても肯定派・否定派各1名によって議論が行なわれた。
セッションはまず肯定派座長である満尾クリニック院長、満尾 正MDによるキレーションについての概要説明から始まった。
その後、具体的な論戦に入り、先鋒は否定派の広島大大学院の石田 隆史MDが務めた。石田MDはキレーションによる、CaやMgといった必須ミネラルの排出によって骨代謝や心臓、血圧や不整脈への悪影響の可能性を述べた。
続いて肯定派のハートフルクリニック平良 茂MD(JSCAM指導医)が発表を行なった。平良MDは、キレーション治療20回前後でのd-ROMs・BAP・有害金属などの変化や治療中の血液状態をLBAで観察した結果、PWV・ABI・FMDによる血管内皮への影響を報告した。
その結果、治療前に高値のPWVが改善する傾向やd-ROMsが低下する傾向などが見られ、特にFMDにおいて、キレーションの回数を重ねるごとに、内皮機能が改善することが、相関係数0.80という高い正の相関関係にあることを報告している。
(JHM75号より)