[JHM] Clinical-Esthitic ②
ではなぜ、ニンニクB1エキスが入浴剤に?と思われることであろう。もともとニンニクB1エキスは、タイやハマチなどの養殖にビタミンB1欠乏予防に使われ始めた。すると養殖用の餌が手に付着すると、ニンニクB1エキスを使用する前には無かった、ひび割れやしもやけの改善が見られたのだという。そこで入浴剤の開発につながったのだという。
気になるニンニクB1エキスの入浴剤としての効果だが、薬用入浴剤だけあって、様々な研究がおこなわれ、検証されている。
まず入浴剤に不可欠な保温効果や抹消血流の増加などはサーモグラフィーやAdvance Laser Flowmeterなどで確認されており、通常のお湯と比較して、有意な結果を示している。
ニンニクB1エキスの温浴効果は、含有されているアリチアミンによるものと推測されている。
このアリチアミンが経皮吸収され、こうした効果を発揮していることは、京都大学医学部の指導の下でラットでの検証ではあるが、検証済みだ。この試験によると、経皮吸収で、ラットの血中・肝臓・腎臓・筋肉でのビタミンB1濃度を増加させていることが確認されている。
通常ビタミンB1は経皮吸収されないが、ニンニクの有効成分アリシンと結合したアリチアミンは、脂溶性となり、腸管や皮膚から吸収されやすくなっているのだという。
またニンニクB1エキス入浴剤は、保湿効果にも優れており、アトピー性皮膚炎患者に対しても改善効果が検証されている。
アトピー性皮膚炎患者12名にニンニクB1エキス2.0gをお湯150リットルに溶かしたお風呂に、4週間毎日入浴し、続く2週間は通常のお湯での入浴をしてもらい、皮膚表面の角質水分含有量をSkin Surface Hydrometer SKICON-200で測定している。
この結果、ニンニクB1エキスを使用した4週間で、角質の水分量は開始前より増加し、通常のお湯の入浴を行なった5・6週目は4週目と比較して速やかに水分量が低下した。これにより、毎日ニンニクB1エキス入りの入浴をすることで、皮膚の潤いを保つことができることが確認された。
同様の試験は健常人14名に対しても実施されており、2週目で水分量は20%以上増加、4週目には30%以上の高い数値を示している。
この結果はニンニクB1入浴剤に含まれるアミノ酸によるものと示唆されている。当然ながら、この試験は気温が低く、空気が乾燥した季節に行なわれている。
ニンニクB1エキスのアトピー性皮膚炎に対しての研究は古く、1988年から行なわれており、学会発表では24種類、学術論文でも22報が行なわれている。
(JHM 第73号より)